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27日目 選挙ポスター

 目が覚めたら、貼り付けられていた。

 また平べったい体。最近多いな。その平べったい体の背中側が、垂直な面にぴったりと貼り付けられている。……うん。これだけじゃ何も分からん。


 前を見る。道路沿いだ。そんなに太くはない。住宅街の中の、ギリギリ車がすれ違えるくらいの道。よく見ると向こうに通学路の看板がある。じゃあ学校の近くなんだな、ここ。

 時間帯は朝早い。車がまばらに通っていったり、ゴミ出しにエプロンつけた女性が出てきてすぐ戻ったり。

 現代日本だ。やっぱり、なんだかんだこれが一番落ち着く。最近は過去に行ったり海外行ったりでどたばたしてたからな。これがいいよ。

 にしても、学校の近くで朝早いっていうのに、生徒がひとりもやってこない。先生も通りがかる気配がない。そういえば家々からも仕事っぽい人はあんまり出てこない。休日なのかもしれないな。


 ところで、俺は何なんだろう。情報が無さすぎてわからない。平べったいから、なんかのポスターだったりするのかな? 自分が貼られている壁面は見れないから、どんな感じかもわかんない。


 頭を悩ませているうち、俺を見た人がいた。右手にスマホ、左手にハガキ?を持って、ちらっと俺を見て、俺の周りも見て、去っていった。うーん?

 一度人が来たら、それを皮切りにどんどんやってきた。何かオープンでもしたの?

 みんな、俺(とその周り)のことは意識しつつ素通りって感じだ。きっちり読んでいく人はほとんどいない。まあ、ポスターなんてそんなもんだと思うけど。でも、見られることは見られるんだよな。……そこそこ重要だったりするの、俺?


 人間じゃないのに視線に晒されるっていう中々意味不明な経験を味わっているうちに、答え合わせしてくれる一団が現れた。

 推定休日だっていうのに、制服にばっちりと身を包んだJK3人組。

 それが、俺の前に来るやいなや、こんなことを言ったのだ。


「誰に入れる~?」


 この瞬間に、納得した。今日の俺は、選挙のポスターになっている。あの、投票所の入口あたりにある、候補者がみんなポスターを貼るアレだ。

 今日も、神をぶん殴るのは難しそうだ。


「この人ウケる。『国会をぶっ潰す』だって」


「ほんとだー」


 俺の向かって左下あたりを指して盛り上がってる。何その党。ヤバ。


「イケメンいないかなー?」


「これは?」


 俺が指差された。ほれ? 俺はどうっすか?


「んー、54点」


 辛辣ゥ!


「ナシではない?」


「ナシではないけど、こっちの方がかわいい」


 右の方を指してこんなことを言い出す。


「かわいい……」


「なによ」


「いい趣味してるなあと思って」


 どんな趣味なんだ。気になる。誰か俺の前に鏡を持ってきてくれ!



 ……ま、その願いは届かないまま、一日が終わったわけだけれど。明日は何になるのかな。

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