表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/72

24日目 キャベツ(無農薬栽培)

 目が覚めたら、気持ちいい陽光に照らされていた。


 栄養豊富で湿った黒色の土がどこまでも続く地面に、緑色の塊が等間隔で並んでいる。

 小学校の時、学校の片隅で育てていたのを見たことがある。ここまでたくさん並んでいるのは、はじめてだけれど。

 どうやら――今日の俺は、キャベツ畑のキャベツになってしまったようだ。神様を殴ってやるのは、ちょっと厳しそう。


 朝、らしい。

 俺の身(というか葉か)と周りのキャベツどもは朝露でいくらか湿っており、空気はひんやりとまだ冷たい。太陽の高さからすると……8時、9時、それくらいだろうか? 日光を浴びて体が温まると同時に、全身にじわりじわりと満足感が押し寄せる。満腹感に近い、満足感。休日に昼食を食べた後、どこかに横になってまどろむ感覚に近い。

 ……これ、光合成か。日光浴びて、養分作ってるから、満足感があるのか。

 ほへー。植物ってこんな思いしてたんだな。けっこう気持ちいい。


 そんな風にぽけーっとしている俺を、ひとつの違和感が襲う。

 例えるなら――髪をつまんで抜かれたような、そんな痛さ。俺の葉が、何かによって、傷つけられたのだと思う。自分の方見えないけど。

 一度で終わったのなら気のせいだろうと思うけれど、繰り返し痛みが走るとなると、もうこれは偶然ではない。右の脇腹くらいに相当するところの葉を、少しずつ痛みが移動している。


 ……移動、している?

 なんだろ、これ。

 ちくちくと身を苛む痛みに耐えながら空を見ると、モンシロチョウがひらひらと飛んでいる。ペアだ。2匹のチョウが、お互いを意識しているのかは分からないけれど、俺たちキャベツの上を自由に舞っている。

 いいなー。そろそろ俺も自由に動き回れる奴になりたいよ。


 ……と。愚痴はその辺にして。

 あれだ。

 この痛さ、たぶん、あいつらが原因だ。

 小学校で習った記憶がある。モンシロチョウの幼虫であるところの、アオムシ。あれは確か、アブラナ科の植物の葉が主食で、その代表例がキャベツである。

 つまり俺。


 なるほどな?

 俺についた幼虫が死なずに元気に俺をバリボリ貪ってるってことは、この畑は無農薬栽培の高級キャベツってわけだ。なるほどな?

 ……えっ何。俺、こいつが満腹になるまで微妙な痛さに耐えなきゃならんの?


 ……うへえ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ