威勢の焔~二人目から四人目
40分もたった頃であろうか、いつの間にか魔法士のウスリアがエリンより少し離れたダンジョンへの防御扉の横に立っていた
騒がしさを好まないウスリアはいつの間にかそこにいてじっと本を読んでいることが多い、エリンはいつもそれに怒っている
何故私に挨拶がないのか?平民が不敬であろう、そこへなおれっとわめくがウスリアはまるで聞こえてないないかのようである。
リックはいつも思う、 もしかして聞きたくない声だけ聞こえなくなる魔法があるのか? 教えてもらえないかとひっそりと考えてみるのだった。
そろそろ時間なので掃除にきりをつけ集合場所へ向かうリックの後ろより声がかかった
「おはようリック、今日も掃除か?」
前衛・武闘家のイリーナである、彼女はほぼ時間通りに到着し挨拶をしてくれる、深く付き合いがあるわけではないが仕事仲間としてとても礼儀正しい女性であるとリックは密かに尊敬していた、
なにせ武闘家としての腕もさることながら彼女が休憩時間で作ってくれる料理はとても美味しい、
一人暮らしのリックは多少料理はするが簡単な物しか作らないので比較すらおこがましいと常々考えていた、。
「おはよう御座いますイリーナさん、準備は整っていますよ!」
イリーナさんへ挨拶の返事を返しながら振り向いた、しかしこの人は美人だな~、朝日の中でますます輝くようである、
ウスリアもエリン様も美人ではあるがイリーナさんの美は生命力の輝きからくる美しさのようだとひっそり心の中で賛辞するのであった。
「二人はもうきているか、アレンは相変わらずいないな、あいつは前もって来るってことを知らんのか?」
溜息をつくお姿もすでに美しいです!などとは言えないので
「いつも通りなら後1時間ってところでしょうか、あ、椅子をご用意しますね?」
いそいそとマジックバック(偽)を開くが止められてしまった。
「いやいい、少しここらを散策してみるよ、そろそろ店も開き始めるころだろう」
と歩いていってしまった、ここはダンジョンに近い商店街、冒険者がダンジョンに入る前の売り上げも見込んで開店が早いのである
そう言えばパンやお肉を焼くにおいが漂っている、活気のある商店街の姿はそれだけで町の活力だ
僕自身はあまり活気とか考えたことはないが活気の中にいるのはそれはそれで楽しい、疲れたら離れればいいのだから。
「こないな」
独り言ちてみる、もうすでに集合時間より1時間半はたっている、ウスリアは本を閉じ瞑想に入り
イリーナは一通りの準備運動を終え暇を持て余しさらに腹筋に勤しんでいる
エリン様にいたっては・・・うん、ひな鳥が今日も元気だな!と思っておく、まともにきくと心が荒むから!
でも僕はじっと不動に立ち尽くし待つのである、アレンが来た時に何かしているととても怒る人なのだから。
先日も時間があるから荷物の最終確認でも再度するかと数えていたら
「雑用!俺様が来ているのになんだそれは!俺様を出迎える以上の仕事がどこにある!てめぇは俺様の言うことを優先して仕事をしやがれ!他の仕事はクソだ!」
・・んなばかな、ダンジョンに潜るのに備品チェックは大事ですよ?と言ったら問答無用で手を挙げてきた
その時はさすがにイリーナさんが腕を掴み、ウルスラが爆炎魔法の詠唱に入ったのでアレンも止まってくれた、
しかしわがままなリーダーである、最近はちょっとついていけないなと思い始めており、ついつい一日に1回は転職について考えてしまうのが日課になった
僕は雑用係に命をかけているのではなくて皆の命を守り雑用をすることによってお給金をもらうのが大事なのだ、
決してエリン様のバトラーになりたいわけでもアレンの奴隷になりたいわけでもない、雑用もみんな生きている!
なんて考えが脳裏に横切る、お金や強さで区別のある世の中だとはわかっているけど僕はただのんびり穏やかに生きたいだけなんだ・・・・
などと思いつつも体は動くもので二日酔いでお酒の匂いをプンプンさせて来たアレンに挨拶とともに水を差しだすのだ。
「おはようございますアレンさん、はいお水です。」
アレンは乱暴にコップをひったくり一気に飲み干しコップを投げて返してきながら
「へっ、お前に出されても美味くねぇ水なんだよ、おいエリン、てめぇも女なら水の一杯も差し出せねぇのかよ!」
遅刻のわびもせず挨拶もせず女性に女をしろと平気で大きな声で言うリーダーである、商店街でも好かれないのはわかりきっている事実である。
エリンもあまりの事に金切り声を挙げて反論するがその内容も又アレであるが。
「なんですって!?貴族の私が平民になぜそんなことしなければいけないのであって?まず遅刻したこと対して頭を下げるのが先でしょう!地べたを這いつくばりなさい!」
うん、言ってる内容の半分は同意するけど言い方がな!うんうん、ダメだよ?ハハハハハ・・・・
心の中で乾いた笑いをするしかない僕に反してイリーナは
「もういいだろう、時間の無駄だ、行くぞ」
もう後ろ姿になっており、ウスリアも追従している、僕もあわててエリンが座っていた椅子をマジックバック(偽)に入れ肩から斜めにかけなおし後を追おうとするが
「てめぇ!俺の前を行くんじゃねぇ!」と襟首をアレンに掴まれ後ろに転がされてしまった
「・・・ハイ、スミマセン」僕の心の中に棘が出る、にょっきりチクチク棘が出る、口を開いたら毒が出そうになる
これは仕事だ
アレンが言うならしょうがないじゃないか、コレハシゴトダ・・・・
僕はだまって後ろにつくが、エリンも追加してきた
「雑用!言われなくても従者は後ろにつくものですのよ!イリーナとウスリアが何も言わないからってお調子にのるべきではなくってよ!」
はい、僕は雑用です、でも仲間の一人だと思っていました、仲間じゃないんですか?そして心に呪文をかける
コレハシゴトダ コレハシゴトダ コレハシゴトダ
まだ大丈夫、仕事なのだから!
読んでいただきありがとう御座いました。