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第一話 英雄の目覚め
とある名もない川に大きな桃が流れていました。
その日は前日の大雨で洪水が起き、川の流れが早かったので、
桃は誰にも拾われず、
上流から中流に、
中流から下流に、
下流から河口に、
そして海に流れ、海流とともにとある島に流れ着きました。
そこは鬼ヶ島と呼ばれていました。
鬼は桃を拾い、真っ二つに割り、子どもを喰らった
――――わけではありませんでした。
そもそもただの海賊が住処にしている島で、その近隣の島や大陸への横暴から、鬼ヶ島と呼ばれているだけでした。
海賊は桃を割った後、とても驚きました。
なんと、中から赤ん坊が出てきたのです。
子どもは大陸の奴隷商人に売れば高値で買い取ってもらえるので、すぐさま売り飛ばした
――――わけではありませんでした。
鬼ヶ島では少子高齢化が進み、今すぐにでも将来の働き手となる子どもが必要でした。
海賊は自分達の子どもと等しく、愛情を注いで育てました。
名前は、桃から生まれたことにちなんで、桃太郎と名付けられました。
そして月日が経ち、桃太郎は大きくなりました。