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#01 正午

お昼ご飯です。

昼食



  茸と川魚の燻製を仕掛けた後、ダンテはアリスと子供たちを連れて溜め池に来ていた。


  ナトとハンナにはゴーグルを、優にはバケツを持たせて、子供たちには上流の浅瀬で沢ガニ捕りを担当してもらい、ダンテはアリスと川岸の水草の中に隠れている川エビを捕ることにした。


  ダンテとアリスは膝上まで水に入ると、バスタオルほどの大きさの網を2人で両端を持ち、水面に伸びた草の下からそっと広げて持ち上げる。

5㎝程の大きさのエビが一度に15匹ほど掛かっている。 大量だ。 あっという間に十分すぎるほど捕れた。


  ダンテとアリスは優たちの元へ戻り、慣れた手つきでエビの殻を向いていった。

優たちもサワガニが50匹ほど捕れたところで切り上げた。



  腕に自信のあるハンナは昼食を作る係を買って出た。


  『いいわねぇ、料理のできる魔法使いがパーティーにいるって』とアリスは茶化す素振りもなく言って、ハンナの料理をする手元をまじまじと子供のように見ている。

  『いい匂い♡』 本当にハンナのことを魔法使いだと思っているらしく、『若いのにすごいわね』とべた褒めしてハンナが否定するのを聞かない。

ハンナも本物の魔法使いに付きまとわれて居心地が悪そうにしていて、ダンテが夕食用のピザを作り始めるまでアリスはハンナに張り付いていた。


  昼食はエビとポルチーニのピラフと、サワガニの素揚げに酸味の利いたソースを合わせたもの、そして、山菜のお吸い物の3品を作った。

相変わらずの腕前のハンナの料理に、初めて食べた3人は絶賛し、ひたすらにカトラリーを動かしていた。



この後の予定



  アリスはハンナの入れたお茶を飲み終えると、 『洗い物は任せて』 とお付きの2人を連れて川の方へ降りて行った。


優 「父さん、この後の予定は?」


ダンテ 「ん? 言ってなかったか?」


そう言うとダンテは丁寧に優たちに説明をはじめた。 


  ここから国境までは、急げば1日で行ける距離にいる。 だが、無理をせずにゆっくりと2日くらいかけて行く。 


  アリスの情報によると、Ryhtaiが王都にまで侵攻してくるのに後4日くらいは時間の余裕がある。

その時、王都は全勢力をもってRyhtaiの侵攻に抵抗するだろうから、まださらに幾何かの時間がある。


  絶対にSteigmaは、Ryhtaiに勝てない。

RyhtaiのバックにはSauresがついていて、RyhtaiはすでにSauresの属国に下っている。

  だから事実上、 Saures/Ryhtai連合軍 VS Steigma の戦争で、その力の差はもはや大人対子供だ。


  王都はそれでも、1日くらいは籠城戦で持ち堪えられるだろうとダンテは言う。

王都にはアリスくらい優秀な結界師が何十人もいて、守りだけは強力らしい。

だが、彼らのチカラが尽きたら終わり… 数時間内に国境の物理防壁が消える。

  そしてその隙に国境を越えて防壁の外側にでる。 防壁の外はアウトフィールド…


ダンテ 「――と、ここまではいいか?」


優 「大丈夫、それらは分かってるよ。 で、ジーナさんたちはLedasで僕らを待ってるんでしょ? でもLedasに着いた後はどうするの?」


ダンテ 「Ledasに着けば後はどうにでもなる。  馬車にはアリスが国庫から“持ち出した”貴重品がのっているから、それらを換金すれば全員の2・3年の生活費にはなる。 もちろん、アリスも跡が付かない品を選んで持ち出しているはずだ」


優 「なるほど。 それで、ジーナさんたちとはどこで落ち合うの?」


優は黙って聞いているナトを見て言った。


ダンテ 「ジーナたちとはLedasの西の海岸沿いのMiestaという港町で落ち合うことになっている。 その町で一番大きな教会に毎週月曜日、正午にジーナたちは俺たちを待つことになっている」


  3人はうなずく。



  優は笑って、『じゃあ、最初の質問に戻るよ。この後はどうするの』と指で下を指した。


「あっ、ああ、そうか、こっちか。 ハハハ、そうだな―」


ダンテは頭を掻きながら答えた。


ダンテ 「―魚の燻製も終わった。 あとは2回に分けてスクウォルを燻すだけだから… 2時間半後に出発だ」


優 「じゃあ、水浴びしてくるよ。 汗かいて気持ち悪いし」


ハンナ 「私も!」 ナト 「ぼくも!」

アリス 「わたしも!」 


「「「 !? 」」」


いつの間にかアリスも戻っていたようだ。


優 「早いですね…」


アリス 「はい♪」


ベレとコールが2人3脚で帰ってきていた。


ダンテ 「女性陣から順番にいこう、アリス、ハンナ」


「「 はい 」」



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