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#04 オッドアイ



  親子の会話が『慶』のことに触れて、アリスが入りづらそうにしている。


ハンナ 「私の目、慶さんと同じ? 慶さんもオッドアイだったんですか?」


優 「うん、母さんのはオレンジと灰色だったよ」


ダンテ 「すごいじゃないか、ハンナ、アリス。 しかも、こんなに早く―― それで? ハンナは何が見えるんだ?」 


「「 えっ? 」」


ダンテの質問に、アリスとハンナは同時に声が出た。


優 「…まだ、わからないの?」


ハンナ 「どういうこと? この目には何かあるの?」


優 「えっと? アリスさん?」


アリス 「えっと、わたしはわからないんだけど... オッドアイだと何かあるのかしら?」


優 「うん、母さんは少しだけど、何秒か先の未来が見えてた」


ハンナ/アリス 「「 !? 」」


アリス 「えぇ? オッドアイって邪眼の一種なの!? …って、ごめんなさい、ハンナ。 言い方が悪かったわ。」


ハンナ 「...大丈夫です、師匠。 ダンテさん、教えてください」


ダンテ 「いや、俺も身近にいたから知っているだけで、詳しいわけじゃない。 オッドアイを見るのはこれで2人目だ」


「「「「 … 」」」」


優 「目は… まぁ、その内わかるよ」


ダンテ 「ああ、そうだな。 だが、あまり目立つオッドアイじゃないのは幸いだ。 ――それでも、Ledasに着いたら隠した方がいいな。 淵源の上にオッドアイでは、身の安全に関わる問題が跳ね上がる。 対策が必要になりそうだ」


アリス 「ごめんね、ハンナ。 わたしは何も知らなくて… うれしくって、ただはしゃいじゃってた」


ハンナ 「大丈夫です、師匠。 私、強くなりますから。 自分で自分の身を守れるようになります。 そのために、師匠がいるんです!」


アリス 「それもそうね。 あっ、そうよね。 いざとなれば、ナイト君もいるしね? ねぇ、優君。 2人で1つ的な――」


優 「――どうかわかりませんけど、守ります。 …できる範囲でですけど…」


アリス 「あらぁ? そこは、『オレに任せとけ』でいいのよ? そうでしょ、ハンナ?」


ハンナ 「…絡みますねぇ、そのネタ――」



アリス/ダンテ 「 ん!! 」


  「「 !? 」」


同時に、アリスとダンテが動いた。 進行方向の200m先、動くものがある。

  2頭のヴィルカスウォルフが森から出てきて、道の上に座る。 斥候のヴィルカスウォルフよりも一回り体が大きい。


アリス 「――仕掛けて来るかしら?」


ダンテ 「わからん。 近くにボスがいるはずだ。 仕掛けて来るなら、そいつの咆哮が合図になる。 アリスは御者とジルガスを頼む。 優! ハンナとナトを。 ベレとコール、アリスに付け!」


「「「 はい! 」」」


ダンテ 「オレがボスを叩く。 お前らは守りに徹しろ。 何があっても飛び出すな!」


  ダンテたちは、すぐに臨戦態勢を取った。 馬車は距離を詰めていく。


  しかし、何も起こらなかった。

馬車が近づくと、2匹のヴィルカスウォルフは両脇によけて道を開けた。

鼻をひくひくとさせて臭いを嗅ぎながら、ダンテたちの馬車が通り過ぎるのを見送った。

  馬車との距離が十分に離れると、2匹のもとにさらに一回り大きなヴィルカスウォルフが大小の個体を連れて出てきた。 群れのボスだ。

ボスは馬車の方を少しだけ見て、すぐに興味がないように道を横切っていった。 群れもボスに次いでいなくなる。


  『ハハハ、デカかったな。 腹が減ってなかったみたいでよかった』 ダンテが大声で笑い出す。 他が『ハー』っとため息をつく。

ダンテに続いたのはナトだった。 テンションが上がっていて、『ヴィルカス、カッコイイー!』大きな声を出す。

ぷっとハンナが噴き出して、皆に笑いが伝染していく。 


  ブナと針葉樹の森が開けてきた。

そう遠くない距離に白い山々が連なって見える。 国境は近い。



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