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徒然とはいかない喫茶いしかわの日常  作者: 多部 好香


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545 広士です。

 マスターのお名前を広士ひろしさんに決めたのなら、やはりこれをしておかないといけない気がしてしまって(笑)

(ペピーノ・ガリアルディの「ガラスの部屋」がBGMで流れる)



 広士です。

 喫茶店のマスターをしています。

 店長ではなくマスターと呼んでもらうのがこだわりです。


 広士です。

 愛嬌抜群な自慢の娘が看板娘として働いてくれます。

 楽しそうに働いてくれるのが嬉しいです。

 ただ最近、鼻の下が伸びたおっさん客が増えてます。どこかぽけぽけした娘が少し心配です。


 広士です。

 勉強させてほしいというハイスペックイケメンがバイトを始めました。

 本業があってなかなかシフトに入れませんが、看板息子と言って差し支えないほど働きます。


 最近は看板息子が評判になり、看板息子のいる日だけ大量の女性客で埋め尽くされます。ありがたい集客力ですが、丸一日、ちょっとの休憩すら取れない忙しさは困りものです。


 広士です。

 ハイスペックイケメンはハイスペックすぎました。季節の新メニューもしっかり提案してきます。

 ただ、新メニュー考案を口実に看板娘をあちこちデートに連れ回すのはいかがなものかと思うとです。

 ちょっぴり文句を言おうかと思ったタイミングで、デパ地下高級菓子やとてもイイお値段のソーセージなどの差し入れをしてきます。悔しいけれど高いだけあっていい材料を使ってて、すごく美味しいです。

 娘に加え僕だけじゃなく妻まで餌付けするのはやめていただきたいとです。


 広士です。

 イケメンくんが店を辞めて娘が寂しそうです。あまりにもわかりやすい空元気は痛々しく見えてしまって「本当は好きだったんじゃないの?」なんて触れられません! 恋愛に疎い娘が無自覚なのは知ってますが早く元気になってほしいとです。


 広士です。

 海外に行っていたイケメンくんがこの町に戻って来ていると風の噂で聞きました。娘はまだ帰国を知らんとです。

 イケメンくん、なぜかウチの店には顔を出さんとです。

 もしや気付かないうちに、彼にとんでもない嫌な思いをさせていたのでしょうか。気になります。


 広士です。

 イケメンくんがついに店に顔を出しました。

 ちょくちょく顔を見せるようになって、娘も常連さんも喜んでます。

 最近のイケメンくんはどう見ても全力で娘を口説きにかかっているのですが、娘は華麗にスルーしまくっています。

 さすがにスルーされすぎて気の毒です。

 娘を狙っていた他の独身男性がイケメンくんの応援を始めるくらいスルーされまくってます。

 それでも諦めない根性は凄いと感心してしまうとです。


 気の毒すぎてほんのちょっとだけ協力しようかと思いましたが、プライドエベレストな彼にどう協力すればいいか分からんとです。しばらく放置します。


 広士です。

 ついに娘にスパダリ彼氏ができました。諦めなかったイケメンくんの勝利です。

 娘も幸せそうで嬉しいです。

 もったいないくらいのスパダリ彼氏はこれでもかと娘を溺愛しています。すかさず口説く様はこちらが恥ずかしくなるくらいです。


 少し……いや大変困るのが、店で娘に近付く男をスパダリ彼氏が尽く撃退してしまうことです。

 ただ注文しようとしただけの客を軒並み追い出されたら商売あがったりです。


 広士です。

 お客様に圧をかけちゃダメ! と娘に叱られたスパダリ彼氏くんがシュンとしています。まるきり粗相した大型犬です。


 広士です。

 スパダリ彼氏くん、男と見れば軒並み撃退するのを止めたのは良いのですが、その代わりとでも言うようにこれでもかと娘とイチャつこうと隙を伺うようになりました。

 娘に抱き着いたりわざとリップ音を響かせてキスしたり手を握って仕事終わりに迎えに来るからデートしようとぐいぐい押したり。

 一応ディープなのは控えてちゃんと弁えていると彼は言いたいようですが、僕や娘にとってここは職場です。ディープじゃなくても控えてほしいとです。


 広士です……広士です……広士です……。


(照明が暗くなりフェードアウトする広士)

 ネタ的にしゃべりはあちらのひろしさんに寄せました。

 軽めのやつで調えてみましたが、どうでしょうね。

 おそらくもっと細かいのがいっぱい溜まってそうな気はしてますが、表では言えないのが殆どかもしれないなぁ……なんて。ははは。


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― 新着の感想 ―
[一言] あちらのひろしさんはキャンパーでもありますから、こちらの広士さんが孫をキャンプに連れて行くのもアリですね。
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