45-1 SS1 ふたごちゃん
本日はちょっと趣向を変えて、SSを。
12時・18時分とあわせて3本投稿します。
卵をぱかりとボウルに割り入れたゆかりが、弾んだ声をあげる。
「あっ! わぁー、ふたごちゃん!」
ゆかりはボウルを持ってパッと振り向く。
「和樹さん、和樹さん! 見てください! この卵、ふたごちゃんです!」
「おや、本当ですね、珍しい」
目を合わせてにこりと笑う。
少し名残惜しそうにボウルを見つめるゆかり。
「あーん。出汁巻たまごは美味しいけど、これ混ぜちゃうの、ちょっともったいないなぁ……」
「それなら、メニュー変更で目玉焼きにしませんか?」
「うわあ、さすが和樹さん、ナイスアイディア! いいんですか?」
「ええ、もちろん。ゆかりさんの出汁巻たまごは絶品ですが、ゆかりさんの笑顔はもっと絶品ですから」
「もう、すぐそういうこと言う」
ちょっと照れながら返すと、返事の代わりに微笑んで額にくちづける。
「きっといいことありますよ。双子の卵は幸運の象徴であると言われてますからね」
「えっそうなんですか? 初めて知りました。じゃあきっと、和樹さんにもいいことありますね!」
ぱっと花が咲く笑顔を和樹に向けるゆかり。
「僕もですか?」
「そうですよ! だって一緒に見つけたようなものじゃないですか。一緒に幸せになりましょうね!」
「そうですね」




