表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
徒然とはいかない喫茶いしかわの日常  作者: 多部 好香


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

136/758

89-3 SS6 if~たとえばふたりが幼なじみだったら~

 本日のSS3本目。

 石川ゆかり、3歳。


「ゆかりねー、かじゅきくんとけっこんすゆー」

「ほんと? うれしいなあ。じゃあこれ、婚約指輪ね。こないだのお祭りで買ってあげたやつ。あ、食べちゃダメだよ」

 ゆかりの無邪気な一言に、和樹はそれはもう嬉しそうに、にこにこと、指輪を模した飴を渡してくる。


「こんにゃく?」

 コテリと首を傾げるゆかりの手をそっと包みながら、和樹は穏やかに説明する。

「婚約。結婚しますっていうお約束の指輪だよ」



 そして十年後。


(……なんて、あんな話、和樹さんはもう忘れてるんだろうなあ)

 ボックスから取り出した飴玉の指輪を、ゆかりは寂しそうに眺める。そっと左手の薬指を通そうとするが、第一関節までしか入らなかった。懐かしさと苦いものを飲み込むような表情を薬指に向けるゆかり。

「……もう、入らないや」




 さらに十年後。


「これ」

 和樹からスッと差し出された紙には、なにかの枠線と、ぐるぐるまきのクレヨンの線。どう見ても幼児の落書きだが、はて?

 コテリと首を傾げると、和樹は自分の手で隠していた紙の左上をあらわにする。そこには婚姻届の三文字。

「ゆかりさんが三歳のとき下書きしてくれた婚姻届だよ」

 にっこり。和樹は笑みを深めた。



「さ、こっちの紙に、清書してくださいね」


 これはあくまでもパラレルです。

 が、こんなお誂えむきで言質がとれてるシチュエーションがそこにあるなら、和樹さんならやりかねないなと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ