89-2 SS5 if~たとえばこんなプロポーズ~
本日のSS2本目。
ギャグテイストのパラレルプロポーズです。
「和樹さんのことが大好きです!」
「どのくらいですか?」
「え?」
「僕への愛はどのくらいです?」
真剣すぎる眼差しで、じっと見つめられる。
「えっと、こ、このくらい! ……わたしの目一杯です!」
両手を精一杯広げてパタパタと振ってみる。
「そうですか。ちなみに僕のゆかりさんへの愛は、紙切れくらいですけどね」
ガーーンッ!
ゆかりは衝撃を受ける。それなり以上に愛されていると思い込んでいた。そんな答えが返ってくるなんて、まったく想像していなかった。すうっと血の気が引いていく。
「かっ、紙切れって、薄っぺらいってことですか!? もしかして一ミリも……」
私への愛情なんかないんですか? とはあまりにも怖すぎて口にできやしなかった。
「いえ、そういう意味ではなくてですね……」
ガサッ!
ゆかりの目の前に広げられたのは、妻の名だけが書かれていない婚姻届。
「結婚しましょう!」
和樹さんから提示されたのは、薄っぺらいどころか分厚すぎる愛情でした。
どうしよう。違和感が仕事してくれない。
本日のSS、もう一本あげます。




