嫁と出会った記念日-2 魔物との戦い
今回の目的地である廃城はいかにも魔物の住処です。という言わんばかりの風景を醸し出していた。
活火山の上にある城のようで、
堀の代わりになっている溝の部分のは真っ赤かも溶岩がゴボゴボと音を立てていた。
橋というにはあまりにもお粗末な木と縄でできた橋の前でタカノとシンは立ち止まった。
シンは腰にある細い剣を抜いた。
よく見ると両刃の剣のようで、古代日本で造られたような剣だった。
「ところでタカ兄...武器は?」
「持ってるよ。本当なら使い慣れたアサルトライフルとかハンドガンが良かったんだけどな....」
タカノはそう言って、
服の下に隠していたナイフを出した。
「あれ、これって銃剣?」
シンはそう言って物珍しいそうにタカノが取り出したナイフを眺めた。シンの言った通りでこれは生前使ってたものと同じ銃剣だ。
「一番使い慣れてるんだ、
まだ日も浅いし世界のことをあまり知らないが長剣だか刀は使い慣れてない。
変に転生してから使い慣れない武器をバンバン振り回すのも好きじゃないし、怖い。だからこいつで十分....あとは自分の身体能力を信じるだけだ」
「え、でも一本だけ?」
シンは心配そうにタカノを見てこう言った。
タカノは頷いた。
「タカ兄使い慣れたのがいいんだよな?だったからこれなら大丈夫でしょ」
シンはそう言って、懐から札を出して地面に置いた。すると光と共に上半身を隠せるぐらいの大きさの丸い盾と大きめのダガーナイフのようなものが出現した。
「斬れないこともないけどほぼ鈍器だから、盾と警棒の要領で使えると思うよ。あと、突きだけは刺さるかさ」
「ありがとよ。これなら使えそうだな。しかしよく知ってるな」
「ま、伊達にあの世界を見てないよ」
シンはそう言って鼻の穴を大きくして嬉しそうに胸を張っていた。
「さー行くか!」
タカノはそう言って盾と短剣を手に取って、
橋を渡り始めた。
渡った先の砦の入り口前には、
吊るされた骸骨がぶら下がっていた。
それを見たシンは驚いたのか声を上げた。
「ひぃっ!」
「おいおい。こんなんでびびってどうすんだよ」
タカノはそう言って、吊るされた骸骨を調べ始めた。
性別は男性のようで来ている鎧や武器から、何かしらの兵士か冒険者かなと推測した。
しかし、骨の経年劣化具合だけが気にかかった。
こんな環境下でまだ真新しい骨の感じがあったからだ。埃も被っていないし。
「おい、シン。この世界の魔物ってのは骸骨を見たいなのもいるのか?」
タカノはそう骸骨にびびって後ろにさがたシンの方を見て聞いた。
「いるんじゃねー....のかってタカ兄後ろ!?」
タカノは振り替えると同時に、骸骨の骨盤に裏拳をかました。
実はあまり分かってはいなかったが、橋の向こうから何か骨らしい人影が近づいていたのが見えていた。
「やっべー一撃で粉砕しやがった」
タカノの足元の吊るされていた骸骨の頭が落ちてきたので様子を見た。
黒い煙に囲まれて変な声を出して動いていた。
どうやら、魔物のようだ。
タカノはそれを踏み潰してこう叫んだ。
「後ろからきやがった。シン構えろ」
タカノはそう言って剣を構えた。
シンも剣を構える。周りを見渡すとすでに20体ほどの武器を持った黒い煙を発する骸骨に囲まれていた。
「侵入者。排除セヨ」
骸骨達からそう口々に聞こえ始めた。タカノはシンに背を向けてこう言った。
「離れるな、背中は任せた」
「はいよ!タカ兄」
シンと背中を合わせながら、
襲いかかる骸骨をその場に足を止めて撃破していった。
盾で体当たりすれば粉々に粉砕するし、骨の大きい部分を剣で突き刺せばいとも簡単に破壊することができた。
思いの外、
敵はあっという間に蹴散らしてしまっていた。
しかし、シンは少し息が上がり始めていた。
「すまねタカ兄。元々前衛職が専門じゃないんだ...
次来るよ」
肩で呼吸をしているのが目にとれた。長いこと続けばシンのスタミナが尽きてあまり戦況が良くならないように感じた。
砦の中から、
今度は鎧に身を包んだ2mぐらいの大男のような魔物が走って10匹飛び出してきた。
手には盾と長剣を持っている。
全身を西洋ファンタジーでありようなフルプレートアーマに身を包み口ものだけが露出した兜を被っていた。
魔物達は口を上げて牙を見せて、吠えてきた。
「崖を背にする!俺の背中から、魔法かなんかで支援しろ!」
タカノはそう言って、シン背中で覆い隠すようにして武器を構えた。
さっきの戦い相手は弱かったが、戦ってる中で自分の能力値が見えはし始めていた。
「タカ兄。やばい相手だよ!ウルクハイだ!」
ラハトが言っていた帝国軍が一番手間をとっている魔物の一種。
人工的に強化された殺戮と戦闘のために作られたオークの改良版それがウルクハイだ。
人間と同等の知能を持つが残忍で凶悪な殺戮と戦闘を好む魔物で、街を蹂躙して暴力という暴力で埋め尽くされたという話もあるらしい。
冒険者でも上位クラスの討伐クエストを組むか国軍が鎮圧に乗り出す強さを誇るらしい。
「おいおい、冗談じゃねーぞ...まぁいいさ。俺にはまだ生きてなきゃいけない理由がある」
「タカ兄...水の魔法で支援するぜ」
ウルクハイ達は盾で正面を守りながら横一列に隊列を組んでジリジリとタカノ達に距離を詰めていった。
タカノは足元にあった、
投げるのに程よい石を手に取ってニタリと笑みを浮かべた。
「そういえば、暴徒鎮圧訓練を思い出すなぁぁぁ!頭を守れ馬鹿野郎が!」
タカノはそう叫びながら、暴徒鎮圧訓練時で投石を頭めがけて投げたらものの見事に当たって、気絶させたことを思い出した。
なので、列の真ん中にいるウルクハイの頭に向かって投げた。
身体能力が強化された今のタカノが投げたら石はただ一般成人男性が投げただけの石ではなく、
トップクラスのアスリートが投げた豪速球と同じだった。
兜をが石の形にへ凹んで、そのウルクハイは崩れ落ちるように前のめりに倒れ込んだ。
「やるぅー」
シンがそう言って喜んでガッツポーズをしたが、倒れたウルクハイはよろけながらも立ち上がって雄叫びを上げて兜を脱ぎ捨てた。
そして、隊列から飛び出してきてタカノに長剣を振りかざした。
タカノは間一髪でそれを避けて、
バク転をして距離を取った。
「あぶねーな。どうやら、普通の人間レベルよりもだいぶタフなようだな」
あの投擲で一度気を失って入るのであるが、
強敵であることを確信した。
残りの9匹は隊列を乱すことなくジリジリと距離を詰めてきた。
長剣の懐に飛び込まないとどうしようもないと判断したいタカノは盾で身を隠しながら突進した。
体当たりで剣は触れないのを魔物は知っていたのだろう、同じく盾で体当たりをしてきた。
盾と盾がぶつかり合って、ドスンと鈍い音が響いた。
魔物はよろけたが、同じくタカノもよろけた。
ほぼ互角ーー
「どうやら、チート級の身体強化といっても所詮は人間レベル最高峰なのかっ」
少しばかり、身体能力負けしたことに落胆したがすぐに気持ちを切り替えた。
短剣で鎧の隙間になっていた喉を狙うが、上体をそらされて当たらなかった。どうやら、この魔物は狙ってくるのを読んでいたようだ。
だが、上体逸らしの弱点があった。
タカノはもう一回、盾で体当たりをする重たいフルプレートアーマであれば倒れると思ったからだ。
ウルクハイは仰向けにバランスを崩し倒れた。
タカノは胸に踏み付け蹴りとでもいうような、威力の踏み付けをして鎧を凹ませた。
そして、短剣で喉を突き刺した。
どうやら、身体強化によって判断力から反射神経も上がっていることに気がつけた。
もしも、その二つが揃ってなければ今頃倒れて首を刺されてたのは、タカノ自身だったかのように思えた。
「後、9匹か....」
タカノは自分自身も息が上がっている事に気がついた。そして、強烈な空腹感に襲われてきたのだ。
「タカ兄ぃ...」
シンもタカノの体力の消耗具合には気がついたようだった。
シンを守るために崖を背にして戦った事を後悔し始めた。逃げるにも退路がウルクハイの盾で妨害されているからだ。
さっきは、一匹だったから勝てたが複数同時に来られるとどうしようもない。
「ちきしょーここで終わりなのか...最後ぐらい、お前のねーちゃんみたいな可愛い女とやりたかったのにな...」
タカノはそうシンの方を見てため息をついて、
すぐに笑みを見せた。
本心からそう思ってしまった...
その時だった、
タカノの中にある感情が芽生え始めた。
その感情が一気に膨れ上がり、
タカノは手に持っていた短剣を捨て、大きく息を吸った....
「なぁーシン。魔王退治したら御褒美に天女とやりまくれたりするのか?」
「え、タカ兄...何を言ってるんだよ、こんな時なのによ!」
シンはそう言って、剣を構えて戦おうとした時。
寒気を感じるほどの殺気をタカノから感じ取ってしまった。
目に見えて黒いオーラがタカノを包んでいた...
「バーサク化しちゃった....」
シン「タカ兄が『性欲の猛者』が発動しちまったよぉ』
リン「ねえねえ、シンその『せいよくのもうしゃ』って何ですの?」
メイ&マオ「気になるぅー」
シン「あーそれは.....」
シュンテイ「お嬢様方。それはタカノ様がミミ様を愛してるって意味ですよ」
メイ&マオ「そーなのねー」
リン「え、でもこの話に中では天女のイズミ様が....」
シン「はいはいはい!リーンそれは言っちゃダメ。わかってて聞いてるだろ」
リン「そ、そんなことないです。辞書に....」
メイ&マオ「次回『レンバスとティータイム』ですの!」
リン「あ、レンバスってあのエルフ族のお菓子でしょう」
シュンテイ「御名答!流石リンお嬢様」
リン「ふん、すごいでしょ〜」