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アルスとエミリ旅のきっかけ-6 アデルの大切なもの


バルカニアの領民を全て軍艦に移送を完了して

一隻の軍艦を沖合に残して、港には輸送用の中型の帆船が一隻だけを残していた。


港にはアルス、エミリ、ルド、アデルそして、

ディンワンとラハトだけが残ってラルフを待っていた。


ラルフが約束した期日になっており、まだかまだかと待っていた時だったーーー


アデルはラルフに持たせていたペンダント式の魔導具から異変を知らせて来ていたことを感じ取った。


並々ならぬ魔力を感じたにであった。

不穏に感じたアデルは荷物から箒を取り出して、それに乗って向かうことにした。


空を飛んでどこか行こうとしたことに気がついたエミリが慌ててそれを止めに来た。


「だめだよ。お姉ちゃん!」


そして耳元でこう言って来た。


「一人の体じゃないんでしょ....ラルフさんを待とうよ」


アデルはそれを聞いて、ため息をついてこう言った。


「うん。わかったわ...じゃあ、エミリ。頼める?」


「何したらいいの?」


アデルはそういうと、箒から降りてこう言った。


「かなり強い魔物がラルフを襲ってるの...ラルフを助けて欲しい。

彼は今必死になって逃げてるわーーー

きっと黒旗衛将の二人がいるなら倒せるはずだから」


アデルはそういうと急に込み上げて来た吐き気を我慢できずに妹を影にしながら吐いた。


それに気がついてアルスが慌てて駆け寄って来たが...

アデルは手を手を伸ばして手のひらを見せて彼を止めて首を振った。


「強敵がくるわ。備えて!みんなにも伝えて!」


「あ、はい!」


アルスはそう言ってまったりと構えている焔帝国陣営に向かって走っていった。


ピューと甲高い音が遠くから聞こえて、

それを聞いたルドが弓を取って、矢を取ってこう叫んだ。


「来た!」


ルドがそう叫ぶと、ボロボロになったラルフが馬に乗って森から飛び出して来たのが目に入った。


それを見たアデルは嬉しそうな顔をして、


「ラルフ!!」


と彼の名前を叫んだ。

ラルフはウィンクをして馬から飛び降りてこう叫んだ。


「待たせたなハニー!」


ラルフは追っ手としてやってきていた、魔物を見つけて矢を放った。

アルスが急いでラルフの元に駆け寄って、迎えに行こうとした瞬間だった。


アルスの目の前に黒い魔法陣が現れて....

一人の黒いマントに身を包む男が現れた。


背中には黒いカラスのような翼が生えていて不気味な笑みをフードの下から覗かせていた。


アルスは剣を抜いてその男に剣を振ったが、それを手に持っていた杖で受け流した。


「どうも皆様。私は魔王軍西方遠征軍指揮官代理のバルバリッチです」


そう魔導士が何ったら森からドンドンと大きな足音を立てて大きな体格をした牛の顔をした魔物が飛び出して来て、ラルフの前に立ちはだかった。

その彼にも同じく黒い翼が生えていた。


「バルバリッチ!そっちは任せた。俺は領主の首を取る!」


魔物はそう叫び声手に持っていた大斧を振り回して構えた。

ディンワンが偃月刀を構えてラルフの方に行こう走り出しディンワンは大声で笑ってこう言った。


「まさか、使徒が2体も来るとはな!これは楽しめそうだな!!


我が名はザン・ディンワン!

大焔帝国、元黒旗衛将が一人。

魔物共よ。冥土の土産にこの偃月刀で斬り刻んでやるわい」


そう言った時にはラルフの横に並んで偃月刀を魔物に向けてた。

牛の魔物は大声で吠えてこう言った。


「貴様が我が友の仇とはな!ラシュトスタン戦役で討たれた我が仲間はこんな老ぼれにやられていたとはな...


それは置いておこう。


まー今日は、お前にはようがない。

この魔王軍六神将のジュナンはバルカニア公ラルフを討つことのみ!さて覚悟してもらおうか!!


バルバリッチ!魔法陣の展開はできてるな!」


そうジュナンが叫ぶとバルバリッチは大きな声でこう答えた。


「大丈夫ですとも。そちらには弱体魔法をかけておきました。

いくら黒旗衛将といえど魔法には疎いはず!足止めはできています!」


それを聞いた、ディンワンは眉を潜めてこう言った。


「わしも歳か、罠に引っかかるとは....足が重いな」


「ディンワン様!今お助けに」


ラハトはそう言ってディンワンに近づこうとしたが、何か見えない壁のようなものがあることに気がつき舌打ちをしてこう言った。


「魔導防壁ですか...クソ」


それを見た、バルバリッチは笑いながらこう言った。


「そうですよ。ラハト・ウル・ラシュト王子...いえ今は違いましたかな....


ともかく、

ディンワン様には少しの間止まって置いて頂きます。

そして、ラハト殿はそこで見物ということして置いてください」


バルバリッチはそういうと杖をラハトに向けたすると、ロープが飛んでいきラハトをぐるぐる巻にして身体の身動きを封じた。

ラハトはバランスを崩して地面に倒れ込んだ。


アルスとルドはバルバリッチに向かって、各々武器を構えた。


エミリはアデルを守るように前に立って盾のようになり杖を構えた。


「C級冒険者3人とB級一人ですか....これは骨が折れますね…」


「何言ってるんだ!そんな呑気なこと言えたタチかよ」


アルスはそう言って剣を振りかざしたが、バルバリッチは軽くそれをいなしてアルスの顔面に蹴りを入れ込んだ。アルスは吹き込んで地面に倒れ込んだ。


「魔術師相手に剣士が接近戦で負けるなんて...」


エミリがそう呟くとルドがバルバリッチに向かって矢を放ってこう言った。


「俺たちじゃ太刀打ちできない。レベルが違いすぎるっ!」


ルドが放った矢をバルバリッチはひらりと避けたーーー


「ええその通りですよ。駆け出しの冒険者如きが使徒に敵うとでも?

でも心配しないでください。私たちの目的はバルカニアの占領と領主を討ち取ることだけですーーー

あなたたちを殺しはしませんのでご安心を」


アデルは必死に戦うラルフをずっと見て、

最強と言われたディンワンも弱体魔法のせいで動きが明らかに鈍いこと目に見えていた。


アデルは息を呑んだ。

このままではラルフがあの使徒に殺されるとーーー


でも、

今ある魔法でバルバリッチとジュナンを倒せる魔法はなかった。


アデルはふとあることを思い出していたーーー

それは召喚魔術の契約の話だった。


以前魔導書を読み漁っていた際に、

自分の適性属性である炎属性の召喚魔術を調べていた際に魔法力の基礎を底上げして召喚術を使用できる方法を見つけてはいた。


その時に必要だったのは....

『穢れなき生贄と身体の機能不能』を生贄にすることだったーーー


見つけた時は半分諦めていたが、

それをしないともしかするとラルフが殺されてしまうと思ったからだ。



アデルは思考を巡らせて迷いに迷ったが、

お腹を撫でて涙を流した....


「ごめんなさい…でも、大好きな人を救いたいの」


アデルはそういうと、チョークを取り出して地面にその契約の魔法陣を書き始めた。

涙を流しながらーーーー


「だから、力を貸してっ....」


エミリは魔法陣を書き始めたのに気がついていたようだったようで、顔を真っ青にしてこう言った。


「え、本当にいいのお姉ちゃん!?」


「あなたたちだけじゃ、あの使徒は倒せないし、ラルフが戦ってる魔物はどう考えても敵わないわ….


急がないとラルフが殺される。

だから私は決めたのよ。


エミリ…術式が展開するまで時間を稼いでーー」


強い意志を感じたのだろう、エミリはうんと頷いた。

アデルは魔法陣を書き終えて呪文を詠唱し始めた。



大好きなラルフ。

彼とに出会いはこのバルカニアに幼いエミリを連れてやってきたところからだったーーー


彼は私とエミリを暖かく迎え入れてくれた。

彼と親しくなって身分に差はあったけど恋に落ちた。


今からきっと、このバルカニアで静かに暮らせると思ってたーーー


だからこそ、その希望を消されたくなった。

大切な人を守りたかったーーー


アデルは目を閉じると、

真っ暗な世界に

目の前に大きな炎でできたドラゴンがいることに気がついた。


『我は地獄の業火を司る精霊。汝、力を求めるか?』


「はい」


『では、穢れなき生贄と汝が思う幸せをいただく。良いな?』


「はい。私には今守らないといけない人がいます。力をください!」


炎の龍は再度確認するかにようにこう言ったーーー

どこか、その質問のは慈悲があるようにアデルは感じた。


『その身と幸せな未来を捧げてでも力を欲するのか?』


アデルはその言葉を聞いて、

ふと目の前に見えた幸せな家族に囲まれた、ニコニコと笑みを浮かべてラルフと自分自身と沢山の子供達との楽しく魔導書を読む姿が炎に包まれるのが見えたーーー


ほっと胸を撫で下ろして、幸せを感じていた。

でもーーーー


それが今目の前で大切な人が消えて無くなりそうになっていた。

それを救うためにーーーー


「ええ、私はそれでも力を欲する。だから、私は大切なものを捧げる」


ドラゴンは少し沈黙した間を開けてこう言った。


『承知した』


アデルはそのドラゴンの声を聞いた後目を開けると身体が炎に包まれることに気がついた。

身体中から悲鳴が上がるほど熱いけど...叫んではいられなかったーーー


頭に浮かんだ、呪文を詠唱し召喚術を発動させた。

見たこともない複雑な赤色の魔法陣がアデルの足元に展開された。


「仇なす者を冥界の業火で焼き払え、契約者の名において命ず。出よ、サラマンドラ!!」


バルバリッチ「久々の登場ですな....ジュナン様」


ジュナン「ああ、確かにそうだなーー」


シン「でも、お二人ってタカ兄に瞬殺さ...」


ジュナン「うん....それは言わないで欲しい。これでも使徒でも上位である私とその配下のバルバリッチですから」


イズミ「タカノのバーサクモードがおかしいだけの話やと思うけど....」


アルス「俺それにしてなんか毎回、噛ませ犬っぽくない。だいたい毎回やられてるし今回も...」


シン「一応、使徒でも幹部クラスだからね。タカ兄がおかしいだけだよ。うん、きっと....


とりあえず、ラルフさんがマジで危ないよな。

大丈夫なんだろうか、召喚されたサラマンドラはどうなるのか!?

次回、アデルとエミリ。乞うご期待!」


イズミ「珍しく告知っぽいわ〜」

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