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嫁と出会った記念日-1 宦官ラハト

タカノが異世界転生した始めの頃、

それは同時に愛する嫁ミミとの出会いのきっかけにもなった冒険。


仕事終わりの一番の楽しみは、

家族と過ごす時間だ。


所謂、日常生活というやつだ。


タカノとその家族が家にいて一番好きなのはこの家の料理長であり一番付き合いの長いシンが作る手料理で家族団欒の食事をする事だ。


ただ、

いつもなら娘達はシンの料理を楽しみにしているが、今回ばかりは娘たちはデザートのお菓子に目が行っていた。


シンを交えた家族団欒の食事を終えて、

タカノは絵本の読み聞かせという世界で一番重要な仕事を終え、風呂に入った。


風呂上りの後、三つ子達を寝かしつけたミミがタカノのいる部屋で待っていた。


この世界だと夫婦で同じ部屋で夜を過ごすというのは珍しいらしく、

その時でない限りは異性の部屋に夜には入らないという風習があるらしい。

特に貴族はそれが顕著だとか。


だから、

今日はミミが求めてやってきたというところだった。


「もっこりちゃん」


はい、そんなことを考えるだけでスキル

『性欲の猛者』

が発動してしまったーーー



「もータカノ様は....」



そびえ立つテントを見ながら、

恥ずかしそうにミミは顔を隠しながらそう呟いた。


「今日は確か私を連れ出してくれてから、7年が経ちますのね」


「そうだな」


タカノはそう言って笑みを見せて、

ミミを抱き寄せた。



タカノはふと、

ミミと出会った日のことを思い出した。


あれは、

7年前、転生した後で最初にこの世界の社会に接触した頃の日だった.....



ーーーーー


「タカ兄は、前の世界ではなにやってたんだよ?」


そう、

やっとこさ街道を見つけた。

タカノとシンは道もわからなく、どこに行けばいいのかもわからない状態だったので村か街を探して歩き続けていた。



「兵役だった。ちょうど、除隊最後の任務で手榴弾で爆死したんだ」



「へー今ってどっかで戦争でもしてるの中東かどっか?」


「いいや、日本国内だ.....すまない、この話はやめてほしい。思い出したら嫌な気がしてきた」



タカノは爆死したんだ瞬間を思い出して、

足を止めて深呼吸をした。


ふとお腹に手を当ててなにもないことを確かめた。

生々しい感覚が残っているのを感じ取れてしまった。

当分は思い出さないでおきたいと思った。



「すまん。タカ兄」



「いいんだよ。こうして、新たな人生送れてるんだ。気にはしなさーーー

お、見えてたな!」


タカノは足を止めたところから見えた城壁を見てそう言った。そして指を指した。


「城だな」


「え、どこどこ?」


シンはそう言って必死に見ようとしていたが、見えてないようだった。

どうやら視力もスキルの影響でかなり良くなっているようだ。



城だと思ったものは街だったようで、

もっと分かりやすく言えば、城塞都市というところだろう。


ただ、

西洋ファンタジーの世界だと思い込んでいたが自分自身の服装と髪型に合ってる感じでアジアンファンタジーな世界にいることが確信できた。


街は昔の中国にあるような建物が多く並んでいたし、唯一いる人というか衛兵の格好が、着物のような服を着ていたからだ。


城塞都市の入り口にいる兵士がタカノとシンが門を通り過ぎようとした時、手に持っていた棍で道を塞がれた。


「待て」


兵士に止められた二人は、首を傾げた。



「身分を証明できるものを出せ」



タカノはそのセリフを聞いて、シンにアイコンタクトを取ったが、シンは首を振った。



(おい、まじかよ)



タカノがそう思った瞬間、

一人の黒いローブを着て、フードを深く被った杖を持つ人物が門の内側から声をかけてきた。

格好だけでいえば、ファンタジーの世界の魔法使いと言ったところだろう。


なので、どこか浮いた印象があった....


「あ、お待ちしておりましたよ!」



そう言ってその人物はフードから顔を出すと、30代後半ぐらいの緑色の長い髪をしたモデル風のイケメン男性が手を振ってきた。



「すみません。私の護衛をやってくれてる人なんですよ。通して貰えませんか?」



「そ、そうでありますか。ではどうぞ!」



タカノとシンは顔を見合わせた、

二人ともお少し不思議には感じたのだがとりあえず、城塞都市の中に入ることができた。



モデル男性に導かれて、

寂しい風景が広がる街を見ながら、茶屋と書かれた看板の店に通されて席についた。


飲茶のようなメニューが目の前に出されて、


「どうも、はじめまして。

私はラハト・ウル・ラシュトと申します。お見受けするところにあなた方は...」


タカノは、

この見ず知らずの男性を警戒していたが

反面シンはなにも疑うことなく、出された食べ物を口にしはじめていた。


こういう世界ではあるかはわからないが、

見知らぬ人に対して親切にいきなり振る舞ってくるのには何かあると思い、タカノは警戒心を持つようにと思っていた。


「タカ兄!この焼売うまいぜ」


「あ、ああ....」


モデル男性はお茶をすすりながらタカノを見つめてこう言った。



「あなた方は転生者か召喚者ですよね?」



タカノは頷いて答えたそして気になっていたことを聞いた。


「この世界だと割とよくある話なのか?」



「いいえ、私は考古学者や魔術師なだけで。

転生者や召喚者の存在は一部の知識層だけしか認知されていませんよ。


あなた方は二人から感じた、魔力がこの世界のものとは少し異なったものだったのでお声をかけさせていただきました。


タカ兄というお方も、お召し上がりください」



タカノはそう言われたので、

手に持った湯飲みに注がれたお茶の臭いを確かめて飲んだ。

特に何かしらの知る限りの毒とかは入ってないようにかんじられた。


ラハトは、

うんうんと頷いてがお茶を飲むタカノを見て何か納得したような顔をしていた。


「武人としての心得がありそうなお方だ。警戒心が非常に強いようで.....安心しました。


あなた方から溢れる魔力をみてそれ相応の実力をもつ武人と見受けまして、一つ頼みごとをしたいのですがよろしいだろうか?」



それを聞いて、飲茶を頬張るシンが手を止めてこういった。


「俺はいいぜ。な、タカ兄!飯奢ってもらったお礼にやってやろうぜ」


シンのその言葉を聞いて、タカノは饅頭を手に取ってこういった。


「たく、呑気なこと言うなよ....ろくにこの世界の事わからねーに」


タカノはそう言って、饅頭を半分に割って中身を確認した。

どうやら牛肉挽肉の餡を詰めたものらしく美味しそうな匂いがタカノの話に入ってきた。


タカノはそれを口に加え、

飲み込んでからこう言った。



「ああ、問題ない。ただし、俺たちはあまりこの世界の事を知らない。色々教えて欲しいーーー」



それを聞いたラハトは笑みを見せ、懐から筆と紙を出してこうタカノに言った。


「お安い御用ですよ。

是非、あなたの世界のことも聞かせてください」




ーーーそして、翌日ーーーー


ラハトはこの街では顔が利くらしい。

この一帯を支配する大焔帝国の官僚というか皇室付きの宦官らしく、主に魔術と魔物に関しての研究をしているらしい。


そのラハトの力添えがあって、街で一番いい宿に泊まる事ができた。

それで、ラハトがこの街に訪れた理由は二つあるらしくその二つに関して手伝って欲しいと受けた。


一つはこの近辺は西域と呼ばれる西の辺境地で近年、今までに見ない魔物の出現がありその調査できていた。


もう一つはよくファンタジー世界である定番の話だった。



「で、その言葉を喋る魔物....人間が知性を持ったまま変異して魔物化した使徒という存在にさらわれた。

とある国の王女を救出するってか」



魔物のアジトとなっていると思わしき、廃城に足を向けて歩き始めていた。

シンはそう言って、眠そうに伸びをしながら水筒の水を飲んだ。


「王道な感じだな。

今のところ、クエストとして受注した冒険者のパーティが戻ってきてないという事はそれなりにやばい事は確定だな」


タカノはそうシンに言った。

この世界では転生ファンタジーあるあるの冒険者ギルドというのが存在しているらしいことも知れた。


格好こそアジアンファンタジー感は否めないが、それなりに王道なファンタジーの世界観も混じる不思議な世界のようにタカノは感じた。


「まー、ラハトって人。本物の魔術師みたいだし。俺とタカ兄の『神の加護を受けた力』所謂、神の世界では『チート級』のスキルを見抜けた人だしな。あの人この世界だとかなりすげーやつだぜきっと」


「まさか、神の力が宿ったとかどうとか言ってた、羽衣なくても『水属性魔術』と『剣術』のスキルがあるのは、心強い。期待してるぞシン」



「そう言われると照れるな〜」


タカノはそう言って、シンの頭をポンポンと叩いた。

シンは嬉しそうになりながらも少し恥ずかしそうな顔をしていた。


タカノは実戦経験という実戦は路上の喧嘩と立てこもり事件に遭遇した時の銃撃戦と...

自分が爆死したあの事件だ。

一ヶ月だけ国連平和維持活動の部隊に遂行して中東に行ったことがあったがそこでは平和を体現したような後方勤務だったというのもあるが...


魔術がある世界でどんな攻撃をされるかわからないが、魔術を使えるシンがいるのは本当に心強いものがあった。


タカノ自身が持っているチート級スキル。

『超新陳代謝』『超身体能力』『性欲の猛者』

の三つのようで、身体能力を人間の最大値に引き上げているものばかりだそうだ。


厄介な事は、かなり燃費が悪い事と空腹と性欲が強まれば見境なく...

狂人化する事のようだった。


ラハトの考えで、

もっと西の世界にいるエルフ族が作る特殊なレンバスという保存食パンを何個か狂人化防止のために貰った。



なんだかんだと色々考えながら、歩いているといかにも魔物が住んでいそいな砦がモクモクと煙を上げる火山の上に見えていた。


「あれか。それじゃ....魔王退治の予行演習だな」


タカノはそう言って、ニンマリと笑った。

戦闘狂というわけでは無いがそのイズミがくれた力が気になっていたからだ。


タカノ「今回から、やっと本編が始まったな」


ミミ「そうですね〜タカノ様のご活躍がかっこよすぎて.....私あっ〜」


シン「姉御!?言わせねーぞ。確かにタカ兄はかっこいいけどさぁ」


タカノ「お前もしかして、前々から思ってたんだがそっちの気があったりするのか?怪しい...」


シン「いや、ないないないないない!そんな腐女子受けするつもりはなぃっ」


ミミ「あら、そうでしょうか?結構所々でホモォーな展開を期待してますわ」


タカノ・シン「え....」


ミミ「次回は『魔物との戦い』です。タカノ様の戦いっぷりにご期待なさいませ!」


タカノ「ちょっと勝手に放っておいて話進めるなよぉ〜」

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