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移動遊園地失踪事件簿-2 お父様とお母様はどこ?


「シンはまだ戻ってないか....」


タカノはそう言って、職場の自分の席に着いた。

珍しく書類は山積みになってなくて

遊園地に関する情報収集を終えた書類が何枚か机の上に置かれていただけだった。


シンが珍しくすでに3日も戻っていないのだ。

だいたい、シンがどこか何日か離れる際は必ずタカノに言伝をしていくはずなのだが今回はそれもない。


「なーシュンテイ。シンを見たって話はないか?」


シュンテイは首を横に振って、

お茶をタカノの前に置いてこう言った。


「いいえ。街のものに昨日聞きましたが....もしかして都の外にいるのではないでしょうか?」


「おかしいなー...そんなはずは無いと思うんだが。気になるから調べてほしい。大切な友人だ頼む」


シンが街を出ることは今まで一度もなかった。

同じ釜の飯も食った仲でもあるし、この世界に来て背中を預けていた1番の仲間であったのでタカノは心の底からそう言った言葉が出た。


「わかってますよ。旦那!お任せください。絶対に見つけ出しませぇー」


シュンテイはそう言って、部屋を後にした。

タカノは移動遊園地の情報書類とネクロマンサーに関する資料に目を通し始めた。


この資料はエミリがまとめてくれたもので、ポップな絵とともにネクロマンサーについての説明が書いてあった。


「冒険者ギルドのクエストに近年、アンデッド系の魔物の討伐が多いのは関係あるかもって....なー」


推測を書かれてもなぁー

と思わず資料の一番下に書いてあった言葉を声に出して読んでしまった。


ーーーーー


結局シンは戻ってくることなく、

家族とアルス、エミリと共に移動遊園地に行く日になった。

だが、アルスは風邪を引いてしまったようで家で一人お留守番となってしまった。


「チケットはまた別で二人分用意してやったのに...よかったのか置いてきて?」


入場ゲート前で、タカノはエミリに入場券を手渡してそう言った。

恋仲と聞いてるアルスと一緒に後日二人でと思いタカノはそう言ったが、

エミリは首を振ってこう答えた。


「いえいえ、アルスとは後日行きます。

私たちももう立派なB級冒険者ですし稼いだ自分のお金に行きます。


ずっとタカノ様のお世話になりっぱなしというわけにもいきません....


あとはリン、メイ、マオと一緒に回るのを約束してしまいましたし」


3人の娘はそう言ったエミリに抱きついてリンがこう言った。


「電影劇っ!」


それに続いてメイとマオもリエゾンするようにそう言った。


「幻術も使った絵と音だけじゃなくて、匂いとか風や水も出るんだってー楽しみよね〜」


エミリがそう娘達にいうと3人も揃ってねーと言った。


「先に電影劇を見に行こうか。な、ミミ?」


タカノはそう言って、

今過ぎにでも速箱に乗りたいであろうミミにそういうと、ミミはうーんと悩んだあとメイとマオが母親の手を握りにいって、こう言った。


「行きましょう〜ね?」


娘たちよよくやったっ!と思わず拳を握ってよしと小さい声で言った。


「タカノ様!あとでちゃんと速箱に乗りましょう?」


ミミはそう、タカノの肩をポンと叩いてそう言った。

タカノは少し引きつった笑みをして


「うん。わかった....」


そう言って頷いた。

ミミの欲望への強さと正直さには毎度毎度タカノは折れる側に回っているーーーー



入場チケットを門番に手渡して中に入ると、

軽やかなテーマパークの音楽が耳に聞こえてきてあの昔行ったことのあるテーマパークのことをタカノはふと思い出した。


広場ではジャグリングをしていたり、手品をしている大道芸人がいてその周りには人集りができていた。


「いやー俺がいた世界の遊園地とほとんど変わりがないなー」


視察の時は音楽や、広場で雰囲気を見てタカノはそう思わず感想を述べた。


「いやー最高じゃないですか!ワクワクしちゃいますよぉ〜」


エミリはそう言って、周りをキョロキョロ見ていた。

リン・メイ・マオ・ミミの四人もルンルンと楽しそうに雰囲気を楽しんでいるようにタカノは見て取れた。


電影劇のテントは長蛇の列で、プラカードを持った若い少女のピエロが案内をしていた。


「幻術電影劇『勇者とドラゴン』の開演まであと10分です。残り4席となります」


それを聞いたエミリがパッと走っていって、そのピエロと話をして入場半券を受け取っていた。


「ミミ様。お嬢様方は私が見ておきますので....タカノ様と一緒にどうぞ」


ミミはそれを聞いて、目をキラキラさせタカノの腕を両手で掴んでこう言った。


「さすがですわ。エミリ!ありがとう〜。ではタカノ様!」


タカノははーっとため息をついてこう言った。

流石に嫁のここまでキラキラして楽しみを期待してる顔を見ると毎度心が折れてしまう。


「わかった。そしたら子供達を頼んだ」


タカノがそういうと、ミミはリン・メイ・マオの方に近寄って三人の頭を撫でてこう言った。


「父上と母上は二人で少しだけ行ってきます。いい子にできますわね?」


「「「はい」」」


三娘はそう言って頷いたあと、ゴロゴロ言いながら手を繋いでエミリの方へ向かって行った。


それを見届けたミミもゴロゴロ言い始めた。

親子で嬉しくなると癖はそっくりなようだ。


ーーーーーー


タカノはなんだかんだ、

楽しそうに叫び声を上げていた。


小学生の頃に修学旅行で乗せられた絶叫マシンの頃に比べればなんのその....

タカノは速箱に乗ってテンションが上がっていた。


乗り終わったあと、ミミは自慢げそうにこう言ってきた。


「ほら、楽しかったでしょ」


タカノはそれを聞いてこう答えた。


「ああ、よかった。嫌だったのは昔のトラウマだったみたいだ、案外乗ってみれば楽しいものなんだな」


タカノがそう言って少しばかり昔のことを思い出していると、

熊の人形を持ったゴスロリ少女エリザベートがタカノの視線に入り彼女と目があった。


彼女は軽く会釈をして二人の方に近づいてきた。


「こんにちは。ラシュト卿。遊園地は楽しんでいただいてますか?」


「ええもちろんよ。であなたは?」


ミミはまだ速箱での興奮が取れてないのだろう、少し鼻息を荒くしながらうんうんと頷いて言った。


エリザベートはスカートを少し上げてお辞儀をして自己紹介をした。


「申し遅れました。ラシュト夫人。私はこの芸能集団の副団長を務めています。

魔術師のエリザベートでございます。


よろしければ、お二人に特別な出し物をがありますのでどうでしょうか?」


「いいわね。行きませんか?タカノ様?」


ミミはエリザベートに興味津々なようで、タカノの腕を引っ張っていた。


怪しい人物ではあるが、

情報も根拠もないただネクロマンサーであるというところだけだったが....

タカノはどこかで不信感を感じていた。


でも、

ミミが楽しそうにしているのを見てこう答えを出した。


「ああ、わかった。よろしく頼む」


タカノのその言葉を聞いてエリザベートは笑みを浮かべてこう言った。


「では!ご招待いたします。不思議な幻術の世界へ!」


エリザベートに案内されてきたのは少し遊園地の中心から離れた小さなテントで、

焔帝国では見たことがないアルファベットにも似た文字の書かれた看板を掲げていた。


「占い?」


ミミは看板を指差してそう言った。するとエリザベートは

うんうんと頷いて、


「そうでございます。私は魔術師でもパペッターなんですが幻術を使った占いをこの遊園地で開いております。では、お二方中へどうぞー」


テントに入るように促されたタカノとミミはテントの中に入って中に置いてある椅子に腰掛けた。

テントの中央には大きな水晶玉が置いてあって、タカノとミミの姿を映していた。


「ミミはあの文字を読めるんだな?」


タカノはふと、見たことがない文字についていくとミミは自慢げそうにこう言った。


「ラシュトスタンにいた頃に、西方の国の商人様から教えていただきましたのよ。ついでに私この占いの術式は知っておりますわ」


「へーすげー」


パンとエリザベートが手を叩いて、二人を注目するように仕向けた。


「ここでは、お二人のうちどちらかの思い出を二人で見てもらおうと思う出し物をしております」


「へーってことは、ミミに俺が住んでいた世界を見せられるってことか?」


タカノはふと、

頭の中に日本の風景が浮かんだ。故郷の街や四季折々の風景など....


「ええ、そうでございます」


「面白そうではありませんか?

タカノ様、私タカノ様が過ごした日本というお国を見てみたいですわ」


ミミはそう言って、

にっこりと見つめてきてタカノの手を握った。

ミミはどこか期待してそうな雰囲気を感じ取れた。


「うん、わかった。じゃー頼む」


タカノはそう言って笑みを浮かべた。

7年前以来日本の風景を一緒に愛する人と見てみたいと感じたからだ。


「では、術式を発動しますね。目を閉じてリラックスしていてください」


タカノは、指を絡めてミミの手を繋いで目を瞑ったーーーー


「では、お楽しみくださいーーー」


エリザベートの声がテントの中に聞こえて、

タカノとミミの足元に紫色の魔法陣が出てきて黒色の影が2人を包み込んだ。


2人が座っていた椅子にはタカノとミミのぬいぐるみがちょこんと座っていたーーーー


タカノ「てか、なんで新兵時代の思い出が流れてるんだよ」


ミミ「あータカノ様ちょっと若い!これっていつの時ですか?」


タカノ「大学卒業してからすぐだから...22歳とかかなあの時の思い出なら...せめて卒業旅行で行った南の島の思い出とかで...なんでこう泥まみれになって匍匐前進してるところなんだよ...」


ミミ「タカノ様も苦労された時期があったのですね。(タカノ様カッコいいタカノ様カッコいい....)」


タカノ「あ、ありがとう。リン・メイ・マオにも日本を見せてあげたいな〜」


ミミ「そうですわね。でも、あっちだと大変なことになるみたいですよ〜」


タカノ「あ、なんで次の話の台本もってるの?」


ミミ「次回、パペッターvsウィザード。頑張れーエミリ!!」


タカノ「もーネタバレさせないで〜」

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