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移動遊園地失踪事件簿-1 ネクロマンサー

3年に一度、

焔帝国には大規模な移動芸人集団がやってくる。


今回やってきたのは遥か遠くの国からやってきた移動遊園地だった。

タカノは仕事でその遊園地の視察にやってきた....


連続で多発した失踪事件が巻き起こるのを知らなかったーーーー


陽都の郊外に大規模な移動芸人集団が3年に一回訪れる。


今年はその年だったようで、

芸人集団というかサーカス団なんだが、

正確にいえば移動遊園地がやってきた。


ド派手ではないはジェットコースターや観覧車やメリーゴーランドや歌劇にサーカスやお化け屋敷などタカノがいた日本の遊園地とさほど変わりはない出し物が催される。


ミミやシュンテイの話では、遊園地サイズの旅芸人はかなり珍しいらしく。

都でも噂の的になっていた。


ちなみに乗り物は魔術で動かしてる、

だから国の魔法を管轄する幻魔術庁の宦官がサーカス団の身元と使用する術式の確認を行う。


今回は少し特殊で、

普段よりも大掛かり且つ、極西のある国から来たらしく。国家に対するスパイ行為等がないかを審問する仕事を義禁庁は請け負っていた。要は魔王軍の息がかかっていないかを調べるのが仕事だ。



審問を行うのは義禁庁の将軍クラスでタカノなどの将校は、部隊を率いて場所の視察に訪れていた。

視察というのは名ばかりで、オープンより先に遊園地を楽しむことが出来た。


「残念過ぎるだろう……50人の大人の男だけで、遊園地楽しむとか」


タカノはそう言って、はしゃぎまわる部下を見ながら思いっきりため息をついた。

秘書の下士官がそれを聞いてこう言った。


「いいじゃないですか大尉。この国だとこんな大きな旅芸人団は一生に一度か二度あるかないかなんですよ。楽しみましょうよ」


「いや、むさい男ばっかりはつらい」


タカノがそういい返すのも簡単だ、

禁軍とくに義禁庁に採用される兵士や下士官はそこら辺の地方から徴兵されてきた兵士や城衛の兵士やら、冒険者とはわけが違う、士気も高く難しい試験を突破した鍛え上げられた帝国が誇る最強集団だからだ。


そんな、

普段、訓練や仕事ばかりではっちゃける場を欲しがっている血の気の濃すぎる集団が子供のようにはしゃいでいるのを見ているからだ。パワーが桁違いなわけだ。


とりあえず、

そんなむさ苦しい集団は置いておいて幻魔術庁の宦官から手渡された資料を基に一つ一つ確かめることにした。


今回魔法魔術に詳しいシンは、

所要で出かけているので詳しいことは聞けない。


ちょっぴり気になる話で言えば、

この芸人集団のでかいピエロと言えるような容姿の団長イリシュットとゴスロリファッションの少女エリザベートが少しばかり怪しい人物だというところだろう。


なんせ、二人は黒魔術師ではあるんだが

アンデッド族を召喚できるネクロマンサーと呼ばれる部門出身者だから。


父ラハトから昔に聞いた話でネクロマンサーは闇属性と死に対しての学を深める分類だと聞いていたからだ。世界にも数は少ないし....


まー人形を操って芸をするというのを得意と言っていたのだけど....

確認した限りでは布でできた人間と同じサイズの人形を動かしてジャグリングや腹話術で喜劇を演じていた。


せめて、

屋敷の離れたに住んでる居候冒険者である黒魔術師のエミリを同行させて確認をしたかなったなと思ったが....


『公務のため民間人の立入は不可』


という義禁庁トップからの通達があり叶わなかったーーーー



全ての出し物の確認を終えたタカノ一行は、

撤収の準備を始めていた。


「点呼取るぞ〜 5列横隊集に集まれ。各隊報告」


タカノがそう言って右手を上げると、すぐさまに50人は5列横隊に並んだ。

流石は訓練された部隊だけあって素早く列を作り集合した。



タカノが前いた世界で使ってた軍でやっていた教練を少し改良を加えてタカノの部隊では取り入れている。


ウルクハイの少数ゲリラ部隊の討伐や暴徒鎮圧でこの教練を基礎にした集団行動で任務をほぼ無傷で終わらせたこともあり、兵士はもとより将軍からも高い評価を得ている。


もともとは人数集計するのにこれが一番手取り早いし、

軍隊らしい行動をとることで禁軍の威厳を保てるだろうと言う試みからだったが

かなり画期的だったようで、禁軍内で採用されて他の組織にも使われ始めている。


集計を終えた秘書の下士官がこうタカノに報告した。


「5個分隊 総員50名 現在員50名 事故なし」


「よし、帰ろう」


タカノはそう言って、

都の門に向かって歩き出した。


隊列からは50人に脚を揃えて歩く行進の音が聞こえてくる。


それに耳を貸しながらも、タカノは今日定時で帰れることに喜んでいた。


ーーーーーー


移動遊園地についての質問攻めは予想されていたが...

3人の娘と妻ミミと居候冒険者のアルスとエミリの2人、合計6人からタカノは質問攻めにあった。


本当に物珍しいく貴重な機会らしく、大人のミミ、アルス、エミリですら目をキラキラさせてタカノ話をうんうんと聞きながら、物凄い勢いで話を振っていた。


この世界の文化レベルはテレビやゲーム、インターネット、スマホと言った類の物こそはないが...

歌劇、喜劇、絵本、小説、新聞、映画である電影劇、スーパー銭湯のような入浴施設ついでにダンスホールなどなどと

剣と魔法の世界にしては娯楽は充実している。


どうやらその中でも、移動遊園地だけは特別なようで...大人でも楽しみにしているらしい。



「速箱に乗ってみたいです!?」


ミミはそう珍しく耳をピンとたてて、目を大きく見開いて羨望の眼差しでゴロゴロ言いながらタカノにそう言った。


「速箱ってなんだ?」


うーんとふと思い出してみる....

いくつものアトラクションを乗ったのでいちいち思い出せないでいたが


「あ、ジェットコースターのことか....」


タカノはふと二つパスした中で説明を聞いてジェットコースターである事を確信して乗らなかった一つを思い出した。もちろん、代わりに部下を乗せたが....


実のところジェットコースターは苦手だ。

なぜかは分からないがタカノは苦手だった。


でも、ヘリコプターからのロープ降下は好きで訓練で何回かしかしなかったが大好きだった思い出がある。


「速箱ね...」


「マオも乗りたいです」「リンも」「メイも」


そう、言って興味津々そうに三娘も挙手して身を乗り出して言ってきた。


ここはお父さん人肌脱がないといけない...

魔王軍幹部を倒す鬼の義禁大尉のなが泣くぞ....


でも、苦手なんだよなぁー


そんな葛藤をしているとミミがこう言った。


「子供にはまだ早いの。大きくなってから」


「「「えーそんなぁー」」」」


「リンメイマオが乗れないなら...ね?」


と断りを入れようとすると、エミリがこう言ってきた。


「乗ってる間、私達が面倒見ておきますよ」


おいおい、そこ助け船入れないでよぉーって思わず言いそうになったがそこは言葉を飲み込んだ。


エミリはキランと白い歯を見せて、

親指を立ててウィンクしていた。

どうやら、気持ちを逆に察してくれたようだ。



「あら、よろしくて?それでしたらお願いしますわ〜

さぁ、タカノ様決定ですね」


ミミはそう言って、目をキラキラさせながら見つめてきた。どうやら相当乗りたいようだ....


「あ、うん。わかった...」


タカノは心の中でため息をついた。


異世界に来て嫁と大の苦手なジェットコースターに乗ることが決まった瞬間だった。


ーーーーー


その頃シンは....


「全く姉さん人使いが荒いよ....いくら、陽都でなんか変な妖気を感じたわーって言っているなら確かめさないって降りてきていうなんてさ...」


と木影に身を隠して、芸人集団のテント街を監視続けていた。


どうせなら、タカ兄と一緒に遊園地回りたかったよ...


そんなことを思いながら肌寒い秋の夜に一人でに何を探ればいいかもわからず、シンはため息をついていた。


イズミの話では、

この世界に存在してはならない何かがこの芸人集団の中に紛れ込んでるらしく、それを確かめて欲しいとのことだった。


「ねーそこで何してるの?」


そう背中から声が聞こえてシンはびっくりして思わずビクッと身体を動かした。

そして振り変えると10代前半ぐらいのゴスロリファッションのクマの人形を抱えた少女が立っていた。



シンは一瞬で、

その少女から発せられる何かやな予感を感じ取り身構えた。

剣に手をかけた瞬間。


少女はクマの人形を地面に置いた。

するとシンの足元に紫色の魔法陣が発生した。


「おいおい、まじかよ。黒魔術でこんな上位魔法見たことねーよ....」


「さすがに天族でもこの術式は知らないのね」


シンはその少女の言葉を聞いてピンときた。

自分自身がこの世界を管理する天界からやってきた存在であることを知っているのはタカノとミミぐらいしかいないからだ。


どうやらそのことを知っているということは...

御目当ての人物にシンは出会したことが分かった。


「殺しはしない。ちょっと捕まってもらうだけだから」


シンはそれを聞いて剣を抜いた。

闇属性の耐性はある問題はないと思っていたが、足が動かなくなっていた。


「この術式は天族を一時的に動けなくするものだから...闇耐性があってこれだけは効果あるの


ただ、さすがにあの魔王軍随一と呼ばれるバルバリッチの魔術が効かなかっただけはあるようね。私も限界に近いわ。だから、少し眠っててもらえるかしら?」


少女がそういうと、地面から泥でできた人の腕が出てきてシンの足元を掴んだ。


そしてシンを黒い闇が包み込んでいったーーーー


「これで、ひとまず問題ないわね。東方の勇者....

鬼の義禁大尉を捕まえないと....」


少女はそう言って、クマの人形を拾い上げて、木下に落ちていた青髪の人形を拾い上げた。



タカノ「第二章が始まったなー」


ミミ「そうですわね。遊園地を家族みんなで行けるなんて思いもよりませんでしたわ」


タカノ「で、シンは...どっか行ってるのか...せっかく一緒に行こうと思ったんだけどなー」


ミミ「ねー人形にされて捕まったなら仕方がないでしょう〜」


タカノ「おいおい、一応俺たちその設定知らないことになってるからな〜」


ミミ「分かってますわ。次回『お父様とお母様はどこ?』です....あれ、この台本に私たちm...」


タカノ「はいはい。言わないでネタバレだから!!!」

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