嫁と出会った記念日-6 その後どうなった……
ミミと出会ってその後の話は、
二人は恋に落ちてしまい互いに愛し合う仲になった。
時折、二人で出かけたりして一緒に過ごす時間を送る中で、
タカノは結婚を意識し始めるが、この世界の常識ではいくら亡国の王女と言えど焔帝国の傘下にあったラシュトスタン国の王女で皇帝直下の宦官ラハトの娘ともなれば貴族階級でもそれなりの家柄があり、
異世界から転生してきた勇者と言ってもただ強いだけのラハトの雇われ人。
愛では越えられない身分の差というのがある。
正式な結婚はできないということになったーーーー
だがしかし、
ウルクハイを短剣と素手で10体倒し、西域で勢力を強めていた魔王軍の手先である使徒を素手で蹴散らしたことは国中の噂になり、
ラシュトスタン国の民や焔帝国内で奪還戦の勝利への立役者として功績として認められた。
そこでラハトの取り付けで、
この世界にある超難関の官僚登用試験である科挙を受ける事を勧められた。
部門は武官登用である武官科挙。
ラハトが通った文官科挙に比べれば難易度は落ちるものの
貴族としての教養と嗜み
武官としての武術の強さと熟練度を図られる。
その量はかなり膨大で、
科挙の筆記試験では人生の半数をかけてするもであるし、
実技試験でもかなり強い冒険者が受けたとしても武術は受からない事がある。
理由は簡単...素手、棍、短剣、長剣、刀、槍、弓、弩、乗馬の全てを試験されるからだ。
2年間のラハトと彼の知り合いの元武将ディンワンと共にみっちりと猛勉強の結果....
武官科挙に合格する事ができ、無事に貴族の仲間入りを果たした。
使徒討伐の功績と武術試験での好成績が認められて皇帝自身が気に入り、
タカノは異国人であるが皇帝直下の禁軍の将校である義禁大尉の内定を手に入れた。
義禁大尉の職を受けたその日に禁軍武官の赤い正装に身を包んだまま、タカノはラハトに連れられて、
陽都の隣町である洛州という宿場町にある怪しげな料理屋に足を運ぶことになった。
禁軍武官ともなれば、
街を歩けば目立つし羨望の眼差しで街中見られる。
誰もが受けられるが難関試験である武官科挙をトップで通ってもなることは難しいのが禁軍武官だからだ。
なので、店に入るなり完全にVIP扱いだった。
タカノは慣れないながらも、
良いままで頑張ってきたことが報われたのかなと感じられた。
その料理屋で、
互いの指を少し切り、酒に血を垂らして
交互に飲むという儀式だ。
さながらヤクザ映画の延長のような儀式ではあったが、堅苦しいのはその時だけでそれ以外はなにも問題なかった。
「今日から、タカノは私の息子です。今度からタカノ・ウル・ラシュトと名乗りなさい。
私からの細やかな、贈り物です」
ラハトとから、儀式に後にそう言われた。
この世界で家族ができた瞬間だった。
義家族の契りを交わした祝いとタカノの義禁大尉への任官祝いをサシですることになった。
久々にお酒を飲むことになったが、
スキルである「超新陳代謝」によって酔うことはなかった。
初めて聞く珍しいお酒と見慣れないおいしい料理に舌鼓してラハトと食事を楽しんだ。
ラハトは終始ニコニコしていた。
料理に内容を聞いてもラハトは珍味だからとしか言わなかった。
何かのブラッドソーセージやら、何かの鍋料理....
謎のソーセージっぽいステーキ....
酔い潰れた義父をおぶって都に閉門ギリギリの時間に間に合うことができた。
義父を寝室で寝かせた後、
タカノはスキル『大食漢』の影響で妙に腹が減ってしまっていたが、料理を作るシンはすでに寝ているし、壊滅的な料理の腕のミミしか今日は家にいないようだった。
タカノは与えられた、自室のベッドに横になった。
空腹を紛らわすために部屋にあった謎の干し肉を摘んでいた。
「そこそこ美味しいけど....これなんの肉なんだろう」
そう独り言を言った時だった。部屋の中に一人女性が入ってきた。
「タ、タカノ様」
寝ようした矢先だったので、ぼんやりと見ていたが何か瓶を抱きかかえて下着姿のミミがベッドの前に立っていた。
ほんのりといい香りが漂ってくる。
きっと香水かお香で匂いをつけてきたのだろう。
心地よい香りが、タカノをリラックスさせた。
(き、きたーーーー)
タカノは思わずガッツポーズを取りそうになったが、平然を装いながら。
高まるスキル『性欲の猛者』を押さえつけながら、布団をめくった。
実のところ、ミミとは同じ時間を過ごすことは多かったが
この世界の常識なのかガードが固くまだそっちを済ませてはいないのだった。
何も言わないで、
ミミはタカノの横に入ってきて瓶を横に置いた。
そして
近くにあったコップを手に取ってミミはタカノに渡した。
どうやらお酌してくれるようだが、なんの飲み物なのかわからなかった。
コルクを開けて、
コップにその酒を注いだ。
アルコールの匂いの奥にほんのりと華の甘い香りが香ってきたのを感じ取り。
タカノは少し飲んで、それをミミに渡した。
これはこっちの世界で言う、
婚礼の儀式のようなもので、男女二人の誓いの密儀と言うのになるらしいと言うのを今日散々、義父が教えてくれた。
どうやら、
これをするつもりだったようにも感じる。
親子で計画を練っていたようにも感じられる。
仕組まれた事であったとしてもミミのことは好きだ。
だから結婚しても構わないと思っている。
この世界では結婚式とか結婚という概念はもといた世界とは違うらしく、事実婚カップルがそのまま夫婦にあたるらしい。
ただ、ミミの母親である半獣人族の間ではこのような儀式が行なわれているらしい。
男が飲んだ酒を女が飲んでそれを交互に飲んで杯を空にすれば、儀は成立するらしい。
ミミは顔を赤くして、恥ずかしそうにしながら。
タカノの飲んだ酒に口をつけた。
(やっと....結婚できた。前の世界にいる両親に報告したよ。こんな可愛い嫁さんもらえるなんてっ)
その後コップの酒を飲み干した二人は、
高鳴る鼓動と息を荒上げていた。
「もー我慢できね!いただきまぁーす」
タカノはそう言って服を脱いで、
ミミに飛び込んでいた。
ーーーーーーー
「なーなんで、あんたがここにくるんよ。おかしない?」
タカノは気がつくと、
前に見たことある、一面青い空とそれを写す浅い綺麗な水の世界にある椅子の上に座っていた。
目の前には、機嫌の悪そうにしているイズミがいた。
「え、なんで!三途の川に」
イズミはそれを聞いて、ため息をついた。
「あんた、すごい死に方してる」
「え、まさか....」
「義父にスッポンやらマムシやらの肉に滋養強壮に聞く薬酒やら獅子の〇〇〇の干し肉に、そんな父に持たされた媚薬効果のある華蜜酒を飲まされ、こっそりチャームの魔法をかけてるし....
娘は娘で、半獣人特有の発情期にフェロモンムンムンでチャーム効果のある香水を使うはで、
あなたのスキルが大暴走して行きすぎて腹j...」
「あ、まじか....これ以上は言わないでくれ。R-18指定になってしまう」
とりあえず、慌ててイズミの言葉を止めたタカノは一度深呼吸をしてふとうっすらと覚えてることを整理し始めたが....
「あ、うん。めっちゃ良かった」
という感想しか出てこなかった。
ある意味、異世界での夢が叶ってしまった。ことを思うとふと嬉しく思えた。
ふと、
彼女が身籠る子供に生まれ変われればなーとかタカノはボーッとしながらふと思い浮かんだ。
安堵してるタカノをイズミは胸ぐら両手で掴んで、揺らしながら。
「なーに一人で、満足しとんじゃボケ!魔王退治せんかい。なにさらしとんじゃぼけ。
魔王倒してもらわなんと困るんよ!!
あと....これ!見てみぃ!」
イズミはそう言って、足元を見るように首を振った。
足元を見ると幸せそうに抱きしめるミミの姿があった。これまでに見ないぐらい幸せそうな顔をしていた。
「そうだな、うかうかしてられねー。守るもんできたんだな」
ふと涙が溢れていることにタカノは気がつき、
イズミの手をどかして涙を拭いた。
「あんた、せっかくつかんだ夢の一つを手放すんか?」
「そんな事はしないさ」
大切な人がいる、だから死ねない。
これからって時に無責任に役目を放り投げてしまっているようにも感じてしまった、自分が馬鹿な気がしてしまった。
「わかってくれたなら、それでええんよ」
イズミはそう言って、笑みを見せてそう言った。
タカノはふと前前から気になってたことを聞いた。
「毎回、『性欲の猛者』スキルって大丈夫か?」
「大丈夫。問題ないわ」
イズミはそう言ってウィンクすると、
タカノは眠るかの如く、勝手に目が瞑って行った。
ーー神は言っている。ここで死ぬ定めではないとーー
イズミのそういう声が聞こえて、目を開けると、少しボーッとしていたが、気がついた時には自分がベッドの上で横になっているようだった。
腕の中ではすやすやと嫁が寝ていた。
半獣人の彼女は少しばかり体温が高いのでポカポカとさっきまで死んで冷えていたタカノの身体を温めていた。
「しかし、あのセリフの言い回しも言いたかっただけだよな」
いびきのようにゴロゴロゴロというっているミミの頭を撫でながら、タカノはふとそう感じてしまった。
「しかし、異世界でこんな可愛い嫁を貰ってしまうとは....今まで頑張ってきてよかった〜
手榴弾で吹き飛んでショックだったけど...」
タカノの目から歓喜の涙が溢れ始めた。
その日を境にタカノの異世界での生活は、
大きく変わる事になったのだーーー
嫁を貰い義禁大尉に任命され、
帝国の親衛隊である禁軍の一士官となったのでタカノの名義で家もう一つ増えたり、部下が約200人着いてきたり。収入はラシュト卿の100倍近くは手に入る事になった。
アルスとエミリはタカノがスポンサーになってお抱えの冒険者となった。
時折、魔王に関するクエストを一緒にこなしたりし始めた。
二人はラハトとタカノの助力で、都でトップクラスの冒険者になった。
ある意味ミミが飛んだあげマンだった事を物語っていた。
そして、そんなに日が経たないうちにミミが妊娠した事が発覚した。
一つ残念だった事は、
ラハトが唯一の血の繋がった家族の娘が妊娠した事を知り、大はしゃぎした日の飲み屋の帰りに落馬してこの世を去った事だった。
悲しみに包まれながらも、
天女とのコネがあるタカノがシンを経由してラハトをミミの守護霊として現世に残してもらった。
直接喋ったりできないが、一応見守ってくれているらしい。
予感はしていたが、
公私ともに異世界での忙しい日々がスタートする事となった。
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「お父様!朝です。今日は電影劇を見に行きましょう」
そういう、声が聞こえて。タカノは目をゆっくり開けた。
三人の娘が頭の上にあるネコ耳をぴくぴくさせながら、ベッドの横に笑顔で父親が起きるのを待っていた。
大きく伸びをして、大きく腕を広げるとリン・メイ・マオは胸に飛び込んできた。
ぎゅっと抱きしめて、タカノは幸せを感じていた。
タカノ「いやー第1章やっと終わりましたね。これでやっと時系列が現在の話ができるな〜」
リン・メイ・マオ「うんうんうん」
ミミ「楽しみですわ」
ラハト「......」
タカノ「義禁大尉の仕事が出てくるんだ。サスペンスありドラマありの陽都を駆け抜けるクライムファンタジーサスペンス」
イズミ「ねーちょっと、サスペンスもええけど。魔王倒してーよ。事件に関わる組織が魔王軍関係が多いっぽいから、あまり口出しせんけど」
タカノ「大丈夫だ。アルスとエミリに魔王については調べてもらってる。もちろん、他の異世界転生組の勇者ともコンタクトを取ってるから問題ねーよ」
ラハト「......(なんか物語の方向性大丈夫だろうか?)」
シン「きっと大丈夫ですよ」
イズミ「次回もお楽しみにぃ〜」