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恨みを買った勇者-5 恨まれ堕ちた騎士


冒険者ギルドで飲んでいたアルスとまだ酔いが覚めてないエミリはシンの持ってきた緊急クエストを受けてタカノのところへ合流していた。


ベロンベロンになってるエミリにシンが状態異常の解除魔法をかけた。

しかし反動で、気分を悪くしたエミリは咄嗟に裏路地に入って誰もいないところでさっきまで飲んでいたハニービールをぶちまけた。


それに釣られる形で音を聞いたアルスも路地でキラキラをシンの目の前でぶちまけていた。


そして二人は

気持ち悪そうな顔をしながらも、今から向かうクエストについて真剣な面持ちでいた。


それもそのはずだ....

色々と調べた結果、

今から戦いに行くのが、あのラルフだと一致したからだーーーー


「聞いたと思うが、

ラルフは義禁庁で取調べ後にバターミン藩兵が移送していた国境付近で村を襲ったあのパーティを誘拐したーーー


情を入れられたくないから言うが、


ラルフは警備にあたってたバターミン兵を4人殺してる。

それに巻き添いになった、罪のない市民も数名死傷してるーーー」


タカノの言葉を聞いて、アルスとエミリは深々と頷いた。

アルスは歯を食いしばっていた。


複雑な感情がきっと彼の心にはあるのだろうと感じられた。

そして、

ショウタが駆けつけてた後、遅れて浮かぶ箒に乗って飛んできたアデルはどこか決意をしたような面持ちでいた。


「メンツは揃ったな。冒険者とバターミン藩兵は西側から侵入してくれ。

俺たちは義禁は東から入る。

外には包囲するように緑旗を手配している...

敵の数は数百だと聞いてる。


数で圧倒はするが討伐ではなくて


任務はラルフの捕縛と拐われた冒険者の救助だ」


タカノからクエストの内容を聞いた、

アルス、エミリ、アデル、ショウタは頷いて答えた。


その一団の中に鎧に身を包み武装したバターミン藩国の王女イリアが入ってきてこう言ってきた。


「我が国での悪行は見逃せません。

囚われた冒険者達は我が領土の村で魔王軍に誑かさせたとはいえ虐殺を行ってますーーー


奴らを必ず捕まえましょう。ラシュトスタン藩王」


彼女の後ろには屈強なバターミン藩兵と共に冒険者達合わせて10人くらいがいた。

そこには陽都ギルド所属のアルスのライバルでもある大男のファン・イーロンも混ざっていた。


「よぉ!アルス。酒飲んで遅れをとるなよ」


「お前もいるのかよ!絶対手柄は渡さないっ」


アルスはそういうなりもう一度吐いた。

それを見かねたシンは状態異常解除の魔法と回復魔法もアルスにかけていた。


一同の準備が整ったのを見てタカノはこう言った。


「ことは急を要する。やつをなんとしても焔帝国の領域内で捕まえるーーー」


ーーーーー


遺跡の中にある大きなドームに連れてこられたケント一行は、ラルフに問い詰めていた....


「おいおい!どうしてだよラルフさん!こんなの聞いてないよ....役人に捕まるし、殺人罪で危うく処刑されるところだったし、どうなってるんですか?」


そう、怯えてしゃがみ込んでいるヒナタを横目にパーティのリーダーであるケントはそうラルフに言い寄っていた。


「キミたちは十分働いてくれた。これが手切金だーーー

二度と焔帝国へは入れないが、このまま国境を越えて東ロムルスに逃げれば問題...」


「ちょっと!でも私たち危なかったんですよ。それを金だけ渡して謝りもしないってなんなの?」


そう、アミはラルフに対して怒鳴っていた。

ラルフは表情を変える事なく、金貨が大量に入った袋を地面に投げ捨てた。


「俺たちは英雄になるんじゃなかったのか?犯罪者扱いされて!話が違うじゃん!

ラルフさん。どういう事か説明しろよ!」


流石にその態度に我慢できなくなったケントはそう怒鳴ったがラルフは表情一つ変えないでこう言った。


「俺はお前らを焔帝国の軍隊から救い出したーー

これを持ってさっさと消えてくれ....これ以上巻き込みたくない」


それを聞いた、ケントとアミは無下にされたことの腹が立ったらしくなんでだよ!どうしてよ!と口々に言ってそれをいさめるようにミノルがこう言った。


「もう、行こう。俺たち騙されてたんだよ...きっと。

お金だけもらってこの国を出よ」


ミノルはそういうなり、金の入った袋を手にとり、遺跡を出ようとしたどこか踏ん切りが悪そうな感じを出しながらもケントとアミも遺跡の外へ出る方へ足を向けた。


遅れてヒナタが続いて出ようとした時、ラルフは彼女を呼び止めた。


「キミは惜しい、

キミ自身は俺の正体を見破ってたみたいだしな...」


「帰ります」


ヒナタは恐怖を感じていたので、そう答えて駆け足で仲間の方へ向かっていった。

それを見送ったラルフは大きくため息をついてこう小さな声で呟いた。


「夢のためとはいえ、

彼らを騙して利用したことは後悔をするな...

人間としての心が残ってる証拠か


焔帝国に情報がこれ以上漏れない為にも消えてもらうしかないのか。許せよ」


その言葉を耳にした、

ヒナタは肌で感じる魔力と殺気で震えがって駆け出していった。


「みんな逃げて!!!早く!」


ラルフは剣を抜いてゆっくりとこちらに歩み寄っていた。

異常な殺気を感じ取ったヒナタ以外のパーティメンバーも後ろを振り返り各々武器を手に取った。


ラルフの足元には魔法陣が展開されて、光でできた翼のような物が背中についていた。

その光は段々と黒くなっていった。


「使徒!?」


ミノルは杖を構えてそう言った、ラルフは笑いながらこう言った。


「そうだな、使徒って言われる存在だな。

かつては確かに騎士だったが

今は....魔王軍神将ジュナン傘下、ラルフ・バルカニア。

嘘をついて悪かったな。


だが、君たちは任務に失敗をしてしまった。

情報を知られて流されてしまったからには消えてもらう」


「俺たちを騙してたんだな!」


ケントはそういうなり、ラルフに突っ込んで剣を振り翳したがラルフはそれを軽々と剣で受けてケントを吹き飛ばした。


遺跡の壁にめり込むようにケントが吹き飛んだのを見て、アミは驚いた表情をしたが矢を間髪入れずに連続で放ったーー


しかし、強風が一瞬吹いてその矢は全て弾かれた。

ミノルも術式を展開して攻撃しようとしたが、詠唱なしで放たれたラルフの電撃魔法をくらい、黒焦げなり膝をついた。


ヒナタは急いで、ミノルに回復魔法にかけてた。

ミノルは苦笑いしながらこう言った。


「さっきの電撃...中級魔法だったよーー詠唱なしで出せるってことはあいつ。めちゃくちゃ強い....

だけど、これなら2、3発なら耐えられるはず


足止めはできると思うから、ケントとアミを連れて逃げて」


ミノルはそういうなり、ヒナタを突き放して立ち上がって...


「マジックウォール! おい、ラルフ。俺が一人で相手してやる...騎士らしく勝負に乗れ!」


ラルフはそれを聞いてこう言った。


「騎士か...そう言ってくれるのはありがたいよ。多くに恨まれ堕ちた騎士だがその心意気には応えよう。


俺もお前らと同じ状態になって、仲間と別れることになったーー


情けだ、1分をやる。その間にパーティに別れの言葉でも告げておけーーー」


ラルフはそういうとケントも痛そうな身体を引き摺りながらミノルの隣に立ってポーションをがぶ飲みしてこう言った。


「ミノル。柄でもない真面目くんなのにカッコつけるなよ...」


アミがそれを見て、微笑してこう言った。


「ヒナタは逃げて...ヒナタはここでは死んではいけないわ。

私たちは騙されてたけど....

罪のない人を殺したのせめてもの償い...黒幕を倒さないとーー」


ヒナタはそれを聞いて、一瞬立ち止まったが....

仲間たちの意志の伝わるアイコンタクトを受けて、遺跡の外へと急いだ。


外には武装した同じ同業者と思われる冒険者パーティが待ち構えていた。

顔触れを見て彼らが焔帝国内で活躍する上位の冒険者たちだってのは判断できた。


いかにも勇者っぽい格好をする青年が声をかけてくれた。


「ヒナタだよな。大丈夫だ。あとは俺たちに任せて」


横には取り調べを行っていた真紅の魔女アデルが腕をぐるぐる回してやる気満々でいるのが目に入った。


「ぶっ飛ばしてやるわ、ラルフ。覚悟しなさい」


どうやら、彼らはタカノの傘下にいるアデルとその仲間たちの冒険者パーティのようだったーーー


「仲間を、仲間を助けてください!お願いします」



タカノ「アルスたちは遺跡に入ったようだな...」


シン「俺たちも急がないと!」


タカノ「え!?なんで!ダメなの!?」


シン「なんか、作者(ゴリラ)が珍しく。バツって出してるけど...」


ミミ「見せ場だから、入っちゃダメって言ってましたわ」


タカノ「う〜ん....確かにな、ラルフ程度の使徒だと瞬殺するかもしれないからな...

お得意の太刀も新調できてるし」


ミミ「だから、タカノ様はこの方々が相手してくれるそうですわ...」


シン「うわぁ...スタントマンさんいっぱい。

というか、タカ兄ってTUEEE系だったの?」


タカノ「そんなつもりないんだけどな....」


ミミ「ま、次の章も控えていますし。次に行きますわよ。

次回、アデルの思い。

最愛のラルフとの宿命の戦い、運命の悪戯なのかしら...なんか心揺さぶられますわ!


ウルク=ハイの皆さんスタンバイ大丈夫ですか?

では行きますわよ!アクション!」


シン「え!え!ミミの姉御が音頭とってるけど!?」

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