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20歳のパパ  作者: lamina
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第一話 20歳のパパ

俺は今年20歳になったばかりの大学生である。お袋と二人暮らしだが、今までバイトなんてしたことがない。最近の楽しみはネットで一日中動画を見ていることだ。かといってアニメばっかり見ていると思われるのは心外だ。自慢ではないが、高校卒業後から部活で外に出る以外はずっと引きこもっているのだから、アニメをほとんど見切ってしまっている。だからいろんな分野の動画を毎日見ている。

そんな俺がある日、(ん?なんで赤ちゃんの泣き声が聞こえるんだ?近所に赤ちゃんはいないどころか、老夫婦しかいないとこなのに。)そう思いながら、俺は嫌々、布団から起きようとしたら、「え、重いんだが……ってなんでここに赤ちゃんがいるんだ」

そう、俺は目が覚めたら20歳のパパになっていたんだ。

「えーっと、何から突っ込んだらいいんだろ。夢でも無さそうだしな」といいながら、心の中で(そこは、誰かと入れ替わったり、異世界に飛ぶべきだろ)と叫んでいた。

「まー泣いてるし、とりあえず抱いて泣き止ますか。って首座ってないから、めっちゃ怖いし。」と、あたふたしているときに、お袋が買い物から帰ってきた。

「ただいまー」って言いきる前に「どこの子を誘拐してきたの。今すぐ警察行くよ。」と怒号されながら引っ張ったかれた。「お袋待ってって。俺もなにがなんだか知らんけど、起きたら俺の上にいたんだよ。とりあえず泣いているから、抱いて泣き止まそうとしていたんだよ。」そう言うとお袋が手を伸ばし、俺の腕にいた赤ちゃんをだっこした。そうすると、赤ちゃんはすぐに泣き止んだ。明らかに俺が抱っこしていた方法と違っていた。俺は人をお姫さまだっこするみたいに抱いていたが、お袋は腕を組んでいるみたいな形になっていた。まじまじ見ていると、お袋が「今すぐ薬局に行って粉ミルクを買っておいで、後、オムツと哺乳瓶も」っと慣れた口調で言われた。流石に俺を育てたことがあるだけに、子育てに関しては、頭が上がらない。急いで買いに行き、お袋に言われるがままに、ミルクを作った。ミルクはあげてくれるだろうと思って、お袋にミルクを渡そうとすると、ミルクはあんたが上げなさいっと目が訴えていた。渋々、さっきお袋が抱いていたように赤ちゃんをだっこしてみると、首もグラグラせず、めっちゃフィットしていた。そして、ミルクを飲ますと、何故かわからないが、自分でもわかるぐらい口角が上がっていた。赤ちゃんを撮っている動画は、何百本も観ていたのに、そんなの比にならないくらいに、可愛くて仕方がなかったのだ。そうこうしているうちに、赤ちゃんはミルクを飲み終えた。半分寝ていたので、そのまま寝さそうとすると、お袋が「ゲップさせないと寝ているときにもどしたり、呼吸しづらくなるんやからな」と怒られた。俺は、赤ちゃんの可愛さを知ってしまった者として、すごく反省した。ゲップさせて、寝かすためだっこから下ろそうとすると、下ろすなと言わんばかりに泣き始めた。親でもないのになんでこんなことしているんだろうと思っていたが、寝顔を見るとこれも悪くないと思ってしまう。そして、俺は寝ている赤ちゃんを片手にお袋と大事な話をしないといけなかった。この子をどうするかという話だ。正直、最初見たときは泣き止んだら警察に連れていこう思っていた。しかし、今は、手離したくない、可能ならばこのまま育てていきたいとすら思っている。それまでに、赤ちゃんが可愛く感じてしまっていたのだ。俺は「ダメ」と言われるのを分かっていながら「この子を警察に連れていかず、このまま育てていいか?」と詰まりながらお袋に伝えると「ちょっと待っとき」と少し以外な答えが返ってきた。そして、お袋は何かを取りに自分の部屋にいき、1冊のノートを手に戻ってきた。そこには、今までお袋が俺に使ったお金が全て記載されていた。そして、それを足すと、今まで見たことがない値段になってしまった。目を点にしてみていると、お袋が「この子を育てるには、こんぐらいのお金がいるの。そう簡単に育てれることじゃないの。それに、あんたは働いたことがないのよ。」と強い口調で言われ、次の言葉は“だから絶対にダメ”だと思っていた。

しかし、お袋は「それでも育てる覚悟があるなら、そうしなさい」と言ってくれた。しかも、条件として言われたのが「警察には知らせる」「赤ちゃんのお金は自分で稼ぐ」この二つだけだった。全ての話を終えると、無意識にお袋に対し、「ほんまにありがとう」と涙を流して言っていた。そして、心なしか赤ちゃんが微笑んでいるように見えた。

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