なんだコイツ
同じ学年ではないとはいえ、流石にこんな生徒がいれば嫌でも目に付く。
驚きで後退るが、フェンスを軋ませるだけだった。
「先輩、どうしました?」
「お前、どうやってここに入った」
「どうって、おかしなことを聞きますね。先輩。勿論、飛んできました。妖精なので」
「冗談はその小学生みたいな背丈だけにしてく――ゴホッ!?」
目の前の少女のボディーブローにより、兎双の身体がくの字に曲がる。
「せーんぱい。女の子が気にしてること、あんまり言っちゃダメですよ」
「いきなり、ボディーブローかます後輩もヤベー奴だと思うんだけど」
なんの準備もしていなかったとはいえ、女性の一撃だ。
すぐに痛みはひき、立ち上がる。
「見た目ヒョロい癖に、結構頑丈ですね。先輩」
いきなり出会った自称妖精の後輩にけなされてるのか、褒められてるのか分からない言葉に兎双は何とも困った表情を浮かべるしかなかった。
「まぁ、流石に妖精というのは冗談でして、普通に扉から入ってきましたよ」
「屋上の扉に内鍵はねーぞ。どっちから開けるにしても、専用の鍵が必要なんだが」
「それ、先輩はどうやってここに入ったんですか?」
「俺は学校のマスターキー複製してるから」
「それ、普通に犯罪ですよ」
「気にするな、そういうお前はどうやってここに来たんだ」
「ピッキングで開けました。電子錠でもない扉なんて軽いです」
「それも犯罪じゃねーか!!」
「気にしないでください」