潜伏
ルールはバトルが選択されている。
兎双の眼下には小さくなったライアーラビットが出現する。
「先輩。絶対勝ちますよ」
「負けるつもりで戦う気はないよ」
試合のカウントダウンが開始される。
フィールドは見渡しがいいとは言えず、場所によっては迷路のように複雑怪奇にもなっている。
相手のスタイルは分からないが、晩成型ならばかなり有利に試合を運ばれることになるだろう。
銀と兎双は互いの妖精のスタイルから、変える必要もなく軽戦士型だ。
ただ、デッキの中身は先ほど少し弄っておいた。
これが吉と出るか凶と出るかは分からない。
カウントダウンが終わる。
0と同時にライアーラビットが飛び出し、敵の初期地点を目指していく。
「ちょ、幾らなんでも早すぎじゃ」
「あいつが相手なら、対策なんて無駄よ」
それはどういうことかと尋ねようとした次の瞬間、ライアーラビットが大きく跳ねる。
直後に矢が地面に着弾。
「潜伏型!?」
自身の存在を掴ませないようにデッキやステータスを振って、遠距離から仕留める。
それが潜伏型と呼ばれるスタイルだ。
一方的な展開に持ち込みやすいが、逆に言えば居所さえバレてしまえば他のどのスタイルよりも弱い。
兎双の仕事は相手の居所を探ることだ。