ケンカ
「なんだ、知り合いか?」
「いえ、知らない人です」
「おい、何シカトしてんだ」
銀が全く関係ないですとばかり、目の前の女性と目を合わせようとしないが向こうはそういうわけではなく恨みで殺しそうなほどに、睨みつけている。
「お前が何でこの街にいるんだよ」
「は? なんのことですか。ちょっと分からないです」
会話の内容からすると、どうやらこの二人は知り合いらしい。
相方を見ると、彼も状況が理解できず兎双と目が合うと愛想笑いを浮かべる。
このまま放置してると、ゲーム無しにリアル乱闘に発展しそうだったので二人して互いのパートナーをなだめる。
「よく分からないが、決着ならこれで着ければいいだろ」
「そうっすよ。なんのためにここに来たんっすか」
その意見に二人はとりあえず落ち着いたようには見えるが、その瞳には明らかに闘志が宿っている。
「アハハ、まぁお手柔らかに頼むっすよ」
「あぁ、こちらこそ」
「はーい。ってもう揃ってるわね。じゃあ料金入れてちょうだい」
目の前に仮想領域生成システムを使用する場合の注意事項と料金が表示される。
全員が料金の支払いを終えるとテーブルの上にステージが形成される。
生成されるフィールドはランダムに決定される。
今回は西洋風。言うなればファンタジーのような建物が多く並ぶフィールドだ。
美亜の手には、事故が起こらないために五感を遮断されるヘッドギアのような形の機械が手渡される。
二人はそれを受け取り、すぐに装着する。
『Desire起動!!』