デュオ
「どうやってそんなこと調べたんだか」
兎双はゆっくりと立ち上がる。
こんなに楽しい日はいつ以来だろう。
「それは秘密です」
「じゃあ、もう一つ。何で黄金の妖精使いとお前は戦いたいんだ」
彼女が兎双を誘う目的で思い当たる節は一つだった。
黄金の妖精使いとの試合。
初めに銀が提案してきた質問だ。
「……言わなきゃダメですか?」
「別に。どっちでもいいよ。俺とお前がデュオを組むんだから長い付き合いになるだろうしな」
「分かりました。でもいつか話しますから」
「そういや、名前聞いてなかったな」
「先輩痴呆ですか?」
「ちげーよ。そうじゃなくて、プレイヤーネーム」
「そういえば、そうですね。じゃあついでにIDも交換しておきましょうか」
二人は互いに見つめ合う。
リンドヴルムがアドレスの交換に応じるか許可を求めてくる。
それに許可を出し互いのプレイヤーネームが表示される。
プレイヤーネーム:シルバーアヴァンジャー。
銀色の復讐者。それが彼女のプレイヤーネームだった。
「さて、先輩。それでは、明日からお願いしますね」
「そういや、何でデュオなんだ。金色の妖精使いと戦いたいならソロだろ。確か、デュオはやってなかったはずだし」
「そういえば、そろそろですか」
「なんの話だ?」
そこで兎双の目に新たな情報が飛び込んでくる。
記事の内容はシャーロット・エイヴリル選手、デュオへ転向。お相手はいまだ不明!!
「……お前、ほんと何者だよ」
「秘密ですよ」
秘密が多い相棒だなと愚痴を漏らし、彼は空を見上げる。
予鈴が鳴り響き、次が移動教室だったのを思い出し駆けだしたのは言うまでもない。