2-俺TUEEEEEEEEEEEE
やったー、本日二話目ー。
これで勝つる!
「ん……んん……」
虚ろな意識の中、俺は目が覚める。
あの後どうなってしまったんだろうか。
男が生徒の問いに答えた瞬間、俺の意識は落ちてしまった。
まさかあれは夢?
バッ、と上半身を起き上がらせ、周りを見る。
すると、周りにはスライムの様なモンスターがうようよいた。
若干キモい光景ではあったが、ただそれだけだ。
これで夢という可能性は無い。
……まぁ、夢オチな訳は無いよな。
フラグもたてちゃったし。
それよりも、あの男の言葉が気になる
『“殺し合い”だ』
殺し合い……本当にするのだろうか。
そしてなぜ殺し合わなければいけないのか。
……考えても答えは出ないな。
とりあえず、モンスターを倒してレベル上げでもしとくか。
ファンタジー世界といったらレベル上げだろレベル上げ。
そう思い、立とうとすると、俺は右手に何かを掴んでいた。
いつ掴んだのかは分からないが、それは黒いシンプルな剣だった
なんだ?チュートリアルクリアで貰える特典か?
試しにそこらにある草などを斬ってみる
うお、軽い。
それでいて切れ味も良い素晴らしい剣だ。
もしかしてステータス低いのはこれを貰えるからか?
まぁ貰える物は貰っておこう。
俺は、鞘が無いので、剣の柄を持って、草原を歩き出す。
と、一旦足を止め、疑問について考える。
あ、そういえばステータスで変なのがあったな。
魔物……だったか?一応見ておくか。
そう思い、鑑定を発動する
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
スキル
『魔物:E』『鑑定:ー』
ユニーク
『熟練度UP』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この『魔物:E』と『熟練度UP』が分からない。
特に『熟練度UP』の方はランクがなく、小や中なども書かれていない。
一体どうなっているのだか。
俺は二重鑑定をする。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
魔物:E
『倒した事のあるEランクのモンスターの姿になる、すなわち魔物化する事が可能となる。尚、魔物化した場合のみ、その魔物のスキル、ユニークを使用できる。』
熟練度UP
『習得したスキル、ユニークのランクが上がり易くなる』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
おお、『魔物』は結構使える。
ただし熟練度、テメーはダメだ。出直して来い。
……というのは冗談だが、ランクが上がり易くなる、ねぇ。
今の俺は、鑑定除き一つしか上げられるスキル持ってないのになんでや。
これが宝の持ち腐れか……。
俺はやる気を無くしたかのように地面に寝そべって、ゴロゴロと体を転がす。
あー、萎えたー。良いスキル持ってこーい。
アイテムでも能力値でも可ー。
………。
……………。
だぁー!ウダウダしてもしょうがないかぁ。モンスター狩りに行くかぁ。
そうして俺は、黒の剣士さんが持ってそうな剣を片手にスライムのところへ。
一応スライム鑑定
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
プルエル:E
LV:1
HP:30
MP:1
攻撃:1
防御:3
魔攻:1
魔防:1
俊敏:5
スキル
『水魔法:E』
ユニーク
『ポヨポヨ:SS』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
おぅふ。スライムにHPで負けた。凹む。
にしても、何あれ?ポヨポヨ?いきなりSSランクいってるんだけど。
ドラ○エだったら魔王級だよ。魔王級。
そして名前スライムじゃないんだ……。
と、とにかく、倒さない事には始まらないだろう。
大丈夫、落ち着け。こっちには黒の剣士さんばりの片手剣がある。大丈夫だ。安心しろ、安心しろよ。
俺は敵の背後に回る。
スライムは気付いていない!
気付く前に剣で一閃。
>>スライムに 三十いじょうの ダメージ
>>スライムは たおれた
おお、何か知らんが倒したっぽいぞ!
剥ぎ取り♪剥ぎ取り♪やっぱモンスターっていえば剥ぎ取りだよなぁ。
>>スライムから アイテムが とれた
……なぬ。アイテムが取れたという事は……。
あーッ!やっぱり!剥ぎ取り無いじゃん!ドロップするとか夢が無い!
愚痴を言いつつもアイテムを拾う。
>>ポーションと まるいボールを にゅうしゅした
うん、メッセージ超便利。説明しなくていいもん。
……さて、このアイテムはどうしよう。袋とか……無いよね。
仕方なく制服のポケットへ入れる俺。
やけに重い。
よっし!あいつEランクだったよな。という事は、あいつのスキルが……
【スキル『水魔法:E』と、ユニーク『ポヨポヨ:SS』を手に入れました】
キタァーーーーー!!スキルゲットォ!
いやー、みんな苦労するであろうスキル集めをモンスター倒すだけとか俺TUEEEEEEEEE!!
さぁさぁ早速スキルを鑑定!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
水魔法:E
『最下位水魔法、[ウォータ]が使える』
ポヨポヨ:SS
『物理ダメージ無効』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
うおっ!いきなりチートユニーク手に入れちゃった。
物理無効って、怖いもの無しじゃん。
でも万が一何かあったらと思うと……。
うん、実験くらいはしよう。
そう思った俺は自分を殴る。
決してM気質ではない。
痛いのが好きとかそういう危ない人ではない。
ホントだよ?
ーーーバキッ!!
痛って!!
普通に痛い!どうして!?何がいけなかったんだ!?もしかして魔物化してないから!?その可能性は非常にアリエール。
そうして魔物化した。
躊躇いはなかった。
後悔もない。
うっ、変な感じ。
おっ、視点下がった。
みるみる視点が下がる。
そしてついには地面と密着しそうな程下がった。
試しに腕を前に伸ばしてみる。
……うおっ!青色!なんてみずみずしい!
次は歩いてみる。
……あれ?歩けない。
最後はジャンプ。
……うへっ!?高っ!!
自分の身長の三倍程は飛んだ。
間違いない。スライムだ。
という事は、魔物化の場合にだけ、スキルやユニークは発動するって事か。
そりゃ、スキル奪いっていうチートが出来るなんてうまい話ある訳ないか。
にしても服とか剣とかも全部スライムになるんだな。
持ち運びに便利だ。
少し落ち込みながらも喜びながらもスライムのまま歩く。
いやジャンプしながら行く。
程なくしてモンスターの溜まり場みたいなのが見えた。
そこには、スライムや兎や槍を持ったキュウリなどがわんさかいた。
やった、そこで経験値荒稼ぎしよ。と思い近付く。
しかし、先客がいた。
俺と同じ制服を着ている、すなわちクラスメイトの男子が巨大な斧を振り回していた。
そして、斧にモンスターが当たった瞬間、モンスターの姿がなくなる。
モンスターが次々とアイテムに早変わりしていく。
その光景を見て俺は思った。
あっ、まずい
あっ、やばい。シリアス展開