できれば、ずっと聞かないでいて欲しいんだがな。
部屋の明かりをつけて、ふかふかとしたベッドに寝転ぶ。
さっきの事が、ずっと頭の中を流れる。
このあと、あの子達は、売られてしまうのだろう。
「まじか。」
さっきのお母さんは、どうしたのかな。
部屋で、一人で泣いているか。
「こえぇえ」
これ以上さっきのことは考えていたくないと思い、布団に潜ってすぐに寝ることにした。
_______がやがや
「ん……」
「おい、起きろー」
潰れたような可愛い声が聞こえて、その後に、騒がしい人々の喋り声やらが聞こえてくる。
「ん……わっ!」
目を開けると、あの黒いの、コメンが覗き込んでくる。
おぉ、やべ、また黒いのとか言っちゃった。
「んだよ、コメンか。」
昨日の奴隷のことが影響したのか、変な冷や汗が出てくる。
「昨日も、あの奴隷が出たそうだが。」
「そうだよ。ビックリした。」
「襲われたか心配だったんだ。」
「大丈夫だよ。」
「そうか。」
といって、ポケットから紙を(え、体にポケット付いてんの?)出した。
「んで、何が用?」
コメンが、こほんっと咳ばらいをする。
「新しく命令を考えてきた。」
やっぱり命令って考えてるのね。
「うるしゃい。」
あ、噛んだな。
「さっき、うっかり黒いのって言っちゃったときは反応しなかったくせに、ここには反応するのね。」
「さっき、そんな事を思ってたんですね。」
「聞いてなかったの?」
「人の思っていることを聞くか聞かないかは、自分で決めれるんだよ。」
うむ、なるほど。
「できれば、ずっと聞かないでいて欲しいかな。」
「じゃあ、今回も命令を守ってもらうからね。」
あ、そこスルーか。
「はいはい。」