俺の立場
絶対、奴隷なんかにはなりたくない。
そうだ。
命令されたことを黙ってやって、できなかったら殴られて、蹴られて・・・
「いや、待て待て可笑しい。」
奴隷は、殴られて、蹴られて・・・
俺は、命令を守れなかったら・・・死ぬんだよな?
「いや・・・俺の立場、奴隷より酷くないか?」
なんてこった。
死ぬより生きる方が良いだろ。
なんならいっそ、このまま奴隷狩りされようか。と、余計な事を考える。
「でも、こういうフカフカの布団で寝れる方が良いしな。」
相変わらず植物の服は痛いが、手で布団の生地を握って実感する。
夜も、もう更けてきたが、町の賑わいは、まだ静まっていない。
しかし誰かが、7時だぞ、と囁き、その7時を知らせる鐘が鳴る頃には、人の数は一気に減っていた。
「何で7時には皆、撤収するんだ?」
のれんから覗かせていた頭を引っ込ませる。
町の人影は全く無くなっていた。
売り場も、ほったらかしの所もあったり、完全防備の所もある。
「こんなに、ほったらかしにしてるなんて。盗めるんじゃないのか?」
そんな事を考えて、外に出て行こうとしたときだった。
━━━━ドタドタドタドタドタドタッ━━━━
「うわわわっ!?」
地面が少し揺れるくらいの激しいものが向こうに見えて、家に引き返す。
馬に乗った、ごっつい男達が沢山。
まさかっ、これが奴隷狩り!?