1つ目の命令は?
「おい!引っ張りすぎだ!」
真っ黒いやつに襟をつかまれながら、ずりずりと引きずられていく。
「ジャㇻ-ン!ここが、お前の泊まる所だ!」
いつの間にか目的地に着いたらしく、襟から手が離されて、浮いていたお尻がドスッと地面に激突した。
「っ・・・!!いった!痛いよ!・・・それに汚っ!!」
飲み物は茶色くなっていて、ベッドも、固まった泥がこびりついている。布団も、ふかふかしたものではなく、大きな葉っぱだ。
「こんなん住めねぇじゃん。」
「我慢しなさい。」
「うっ・・・」
しょうがなく、そのベッドに座る。今にも千切れそうだ。
「で?命令ってのは?」
「・・・考えていない。」
「は!?」
「だからこれから考える。」
そう言って、左右に往復し始める。名探偵が真犯人を推理するときみたいに。
「考えとけよ・・・」
「しょうがないんだ!・・・・・まだ初心者だからな。」
最後の方は小声で呟いた。おいおい。
「とにかく!命令は明日からなんだ!今日は寝なさい!」
お母さんみたいだ。気が付くと、空はもう紺色に近くなりつつあった。そこに月の光が射している。
「わかったよ。」
「ではでは。お休みなさ~い」
そう言うと、くるりと素早く回って、風の中へ溶けるように、消えてしまった。
「うわ~、汚い・・・」
そう言いつつも、ベッドに入って眠りについた。






