何か真っ黒いやつと、俺。
「・・・ん。」
木の葉が擦れたような、カサカサという音や、小鳥の鳴き声・・・のような音で、意識が段々とはっきりしてきた。まだしょぼしょぼしている目をこする。
「俺・・・家にいたはずだよな・・・?」
辺りを見回すとそこは、いつも居る、住み慣れた我が家・・・じゃなくて。
- 本当に、森だった。
「ぅえ!?ここ、何処だよ!」
俺の我が家はどこだぁあ!・・・って、叫ぼうとしたけど、目の前に立つ影に気付いたから、それはやめた。それで、目の前に立っているのは。
「・・・え。」
全身真っ黒だった。ただ、大きさは1メ-トルくらいで、何か、丸っぽい形をしている。
「あんた・・・誰?」
「・・・お前に命令しに来たものだが。」
真っ黒な見かけによらず、高くて、少し潰れた、案外可愛い声だった。
「・・・え、と・・・命令?」
「そうだ。お前が、窓開けなかったからって、死ぬわけでもないのによ・・・とか、発言したから!」
「それがなにか・・・?」
「・・・何かって・・・もぅ!説明は苦手なのっ!」
一人で、足をバタバタさせている。
「とりあえず!今日からお前は、言われたことを何でもしっかりやらないと、死ぬんだ!」
「・・・・・・・・・・・んぁ?」
死ぬって突然言われても、頭がついていけない。
「え、言われたことやんないと、俺、死ぬの?」
「そうだ。」
「はぁ!?」
やばいことになっちゃったみたいだ。
とりあえず俺は、生きるために頑張ろうと思った。