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話の流れは大体主人公で決まる。  作者: 櫻井 千桜
1章 物語の始まりは大体場所で決まる。
4/69

4. 話のフラグは大体主人公で決まる。

ようやく二人になったのに、未だ草原から一歩も進んでいないんですね。しかも、まさかの魔王城前っていう謎のエリアだったという新事実発覚です。これから、どうなるのでしょうか。

 あー、はいはい。通りで大草原に誰もいないわけだ。


こんな広大なエリアがあるってのにさ、家建てようとか、何にも知らねー奴なら一度は頭過んだろ。



俺、考えたし。ってかさ、俺、一つ疑問があるんだが。

「何で、魔王城前なのに、こんな清々しいんだろ。」

「ん?そりゃあ、ここは魔王城前っつったって、城までは後3日は歩くぞ?」

「3日!?」


魔王城までのチュートリアル長くね?え、何、そんなに魔王様の城って遠いの?そんなん行きたいって言う奴いんの?



「因みに、此処から一番近い人間の町までは5日かかるが?」


は?今、こいつは何つった?5日?え、それって歩いて、だよな。何それ。んじゃあ俺って...。



「本当にお前、何も知らねーのな。どっから来たんだ?」



そう言いながら、グランは背にある大剣の鞘をゆっくりと抜きながら左足を後ろに下げ、戦闘態勢に入った。


ヤバい、此処でそんな物騒なもん振り回されたら俺、確実に死ぬ!異世界来て早々にフェードアウトとか、それ、人生的にどうなの?しかもグランの顔、あれ、本気だ。何か魔王倒すために旅してきた勇者みたいな風格が...。


あれ、勇者?



「もしかして、グランって勇者だったりする?」


「はあ?何言ってんだお前勇者っつったら、普通異世界から召喚される奴以外に、なれる訳ねーだろが。」


おい、こいつ今、俺の欲しい言葉言ったぞ。確かに俺は聞いた。「勇者は異世界からやってくる」と。




「なあ、お前。俺が異世界から来たって言ったら、どうする?」


俺は今できる最高の真顔でグレンに向き合う。相変わらず、俺の手は小麦粉の感触してるが、そんなこと言ってる場合じゃない。


もしかしたら、俺の夢が現実のものになるかもしれないんだぞ?

勇者リチが今此処に誕生し、見事魔王を倒し、英雄として永遠に語り継がれる存在になれるんだ。マジか!俺、滅茶苦茶にやけそう。ヤバい、シリアスクラッシャーだけは、何としても阻止せねば...!


「...確かに、この世界の人間にしては、珍しい髪色してるし、その恰好も戦闘向きじゃねーな。...だが、異世界からの召喚はもう禁止されてるはず...?」


そう言ってグランは大剣を下す。何か考え込んでいるようだ。今度は俺の方がきょとんとする番みたいだ。

どういうことだ?勇者召喚禁止って。


「それに、普通勇者召喚場所は、神殿の召喚の間って決まりなんだがな。何かの手違いで別の場所に飛ばされる勇者もいたって聞いてはいたが。一回、神官長に掛け合ってみるか。」


何か、俺のことフルシカトして一人でこの話完結させやがったぞこいつ。


「なあ、勇者召喚禁止って、どーいうことだ?」


「あぁ?詳しい話は、神官長から直接聞け。俺は今からちょいと面倒なことすっから。」


グランはそういうと大剣を右手で握り、左手を口にもっていく。


「そー言えばお前、何で右手がそんなに変な色してんだよ。お前のいた世界の人間は、皆そんなもんなのか?」


グランが思い出したかのように聞いてくる。


「え、あぁこれ?何かこの草に触ったらその粉が付いてこうなった。」


俺はオレンジジュースを左脇に挟み込み、再びしゃがんで、今度は蛍光黄色の猫じゃらしを根元から引っこ抜き、グランに見せた。抜くときバサッと音がしたから、何かと思って見てみたら、両手に猫じゃらしから出てきた粉が大量に付着しているではないか!?



うわぉ、手が蛍光黄色~...とかって現実逃避してみる。


「おま、それは幻のレア植物、キイロケイコークサだぞ!?大昔の勇者が偶然発見し、命名した植物で有名だ。何でも、その粉を身に付着させた者は、強力な魔力を手に入れられるが、その代わりに、一生涯その色が肌から消えることはないという、伝説の...」


何だよ、そのネーミングセンスは!?名前そのまんまじゃねーか!?


これ命名したの過去の勇者ってことは、俺みたいな頭の男が、似たような経験してた(猫じゃらしに触れてた)ってことだろ。やっぱ、人間、考えることは一緒ってこったな。何か、過去の勇者に謎の親近感湧いたぞ。



 ...ちょっと待て。さっきこいつは何て言ったっけ?あれ、俺の聞き間違いじゃなければこの蛍光黄色は一生涯消えない...とかほざいてなかったか?



 はあ!?ふざけんじゃねーぞ!?俺、このまま一生この滅茶苦茶ド派手な色の両手して町歩けって言うのかよ。いくら協力な魔力が手に入ったって、これじゃあ夜布団から手出して寝たら、発光して、全然寝られないだろうが!?冗談じゃねーぞ!?




 俺は大草原のど真ん中で、天に向かって過去最大級の不満を、叫び続けた。 

主人公まさかの蛍光黄色の両手で、自分自身、大変驚いております。自分は、蛍光ペンの黄色を使用する際に、よく指に黄色が付着するんです(キャップに戻す時なんて特に)。読者さんは、そんな経験ありませんか?今日もそんなことがあり、少々イライラしていたところ、これ、使えるかも、とか思ってしまいまして、この話になりました。以上、今回の話の余談でした。

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