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fruitFRUIT  作者: チル
2章 命は散るもの
6/26

2章 異変編

───────────




 キャラクター説明

 イクシア・アイアン

 フィーネより身長が低いが立派な青年の男でトカゲ型獣人。緑の鱗で全身を覆いまるで無法者のような服を着てるが面倒見が良くあらゆる状況でも頼りになる逞しいハートを持っている。

 砂漠の出身でキャラバン仲間と共に町に来た時に閉じこめられる。

“イベリー!”でイベリーにアシストを頼む。

もちろんユニーク術だがそれで通じる二人の相性はとても良いようだ。

 気合いで何でも押し切れると思ってる。


 イベリー

赤茶色の羽根を持つイクシアの精霊。

 イクシアとは正反対にいつも落ち着いておりイクシアのあらゆる要求に的確に答える。

本人は喜怒哀楽を表現してるつもりだが気づかれる事は滅多になく、またイベリー自身も気にしてない。

 大地から作り出すものは毎回彼女がデザインを凝っていて唯一自身の感情を思いのままに表現する場所でもある。

 ヌール・エス

キャラバン隊リーダー。

銀白の綺麗な毛並みを持つ狐型獣人。

人と話すのが苦手だが肝心の時はリーダーとして力を振るう。

女性。



 作って貰った武器はどれも石で出来ていたが、意外にもそれぞれに扱い安いように工夫が凝らしてあってずいぶんと手に馴染んだ。

 わざわざ細かくデザインもしてあって本人たちの武骨さからはあまり想像できない。

「ふうん、まあなかなかじゃない。」

 ウチワも手に取り石で出来た猟銃をチェックする。

ロケットも喜び早速今の装備と交換する。

「ありがとうカッコいいね!」

『また用があればお呼びください。』

 一方フィーネは少し悩んでいた。

目の前の石の武器を取るといよいよ獣たちと、“アヤカシ”と殺し合いになる。

殴られる覚悟があるものだけ殴る事が出来るだなんて言うが、フィーネは当然殺される覚悟など持ち合わせてはいなかった。

 暗い顔をしているフィーネに気づきイクシア歩み寄って軽く背中を叩く。

「あっ、イクシアさんごめんなさい私だけまだ手に取ってなくて。」

 じっとフィーネの顔をイクシアが見つめる。

「もしかしてこれを手に取るとどんどん血生臭い世界へ踏み入れてしまうんじゃって、そう思ってるだろう?」

 イクシアに言い当てられ挙動不審になるフィーネ。

最初スティックを手にした時は夢中で生き延びる事に精一杯だったが今は違う。

 自分がこのスティックを振るう旅に戦場から血が生まれるような気かしてならない。

「そう焦るなって。何のために戦うのかって言ったら誰かを殺したくて殺すためだけに戦うんじゃないだろう。殺したいほど憎い相手がいたとしてもだ。」

 イクシアはゆっくりと立ち上がる。

「アンタはアンタの戦う理由があればいい。俺はみんなを護るために武器を取る。血が無意味に流れ出すのを止めるために。まあ他人からみれば屁理屈で殺し回ってるだけにしか見えないかもしれないけどな。けれど俺はその屁理屈で護れる命があるのなら剣を取る。」

 もう一度フィーネの背中を叩く。

「後はアンタの戦い方だ。アンタがどうしようと俺と他の二人、それにアンタの精霊も味方さ。」

 それだけ言うとイクシアは自分が座ってた場所へと戻る。

『口説き文句としては最低ですね。』

 イベリーが淡々と評価する。

「うっさい、口説いてなんかねーよ!」

 フィーネは不思議と安心していた。

血を増やすために戦うのではなく、血を流させないために戦う。

『フィーネ、さっきと違って良い顔してる!』

「うん、ごめん。もう大丈夫!」

 フィーネが顔を上げるとロケット心配そうに見ていてくれたり、ウチワが早くしなと言わんばかりの目線を投げかけてきたりしていた。

「フィーネ、俺もフィーネの事守るよ。」

 そっとロケットが言った。

フィーネはスティックと盾を手に取る。

「私もロケットや皆を、守る!」

 もうフィーネの中の血の沼は消え去った。


 なお以下の装備が現在のものだ。

フィーネ→黒曜石のタクト、反射石の薄張り盾、精霊 はごろも、守りの腕輪

ウチワ→ロックショットハンティングガン、貴婦人の服、守りの足輪

ロケット→大槌の鉄鉱棍棒、冒険者の服


 もう一人のキャラバン仲間のシャムの紹介はまた後日ということで、眠りにつき、そして翌日。

「──ト、ロケット、ロケットさん!」

 フィーネの声に気づきロケットは起きる。

「フィーネ。おはよう。」

「ロケットさん大変なんです、また獣がやってくるそうなんです!」

 その言葉にはっとして立ち上がる。

「ヌールさんたちが迎撃に向かったけど、大丈夫なのかなあ……。」

 ウチワはロケットたちが呼んだが

「放って置いても大丈夫でしょ。」

 と言って再び眠ってしまったので二人で行く事にした。


 外へ出て少し行ったところに二人の姿があった。

緑の太い尻尾と銀白の柔らかな尻尾。

その身体が見据える先には大小様々な飢えた獣たちの群れ。

男「やあ、加戦しにきてくれたのかい?」

 突然後ろから声をかけられ、思わず驚く。

 振り返って見ると狸族の縞模様の毛並の、ロケットと同じくらいの身長ぐらいの男性。

「あなたは……?」

 フィーネが尋ねる。

「シャムだよ、よろしく。」

 昨日のイクシアの話に出てきた、もう一人のキャラバン隊の一人の名前だ。

挨拶を返すと、シャムは前の二人の元へと歩き出す。

「戦いたい気持ちはありがたいけど、“これだけ”なら僕らだけで大丈夫。」

 そう言うとまるで蜃気楼かのようにシャムの姿が消える。

「あ、あれ?どこに行ったんだ?」

『ロケット、フィーネ、あそこ!』

 フェイの長い尻尾が指す先、前の二人の隣に再びシャムの姿が現れた。

何か向こうで和気あいあいと話合っている。

獣たちが目の前にいるとは思えないほど明るい。

そして、イクシアは地面から剣と盾を作りだし、シャムは腰から短剣を抜き、ヌールは背中から曲刀を取り出す。


 結果から言ってしまえば圧勝だった。

 イクシアは「気合いだー!」と言いながら10m近くの高さの獣すら盾で殴りとばし、ヌールはそんな獣たちを一瞬で三枚に卸す。

 シャムが消えては現れ弱点を突き刺しまた消えて。

ヌールが精霊のネズミ(後で聞いたがトッポというらしい)の力であっという間に獣たちが凍っていく。

 一つの劇のように獣たちが蹴散らされ、辺りが氷と岩山のステージになったころには獣たちは殆ど倒れ残った獣も恐れをなして逃げていった。

たった三人に。


「す、すごい……。」

 ロケットたちは加勢するつもりが何も出来ずに見てることしか出来なかった。

これがCブロックで300人以上の命を救った人たちの実力なのだと実感させられた。

 ほとんど返り血すら浴びず纏う服とマントはギリギリ獣たちの攻撃をかわしつづけた証が刻まれ武器をしまいこちらに歩いてくる。

「あ、あの……。」

 フィーネが何か声をかけようとするが何と言えばいいかわからず戸惑う。

「怪我は?」

 ヌールが静かな口調で言う。

「いえ、俺らは平気です。」

「そうか。なら良かった。」

 そう言うとヌールは公民館の方へと戻っていった。

イクシアとシャムも軽く笑顔を作ってヌールの後を追った。

 


 おまけ休憩所

ロケット「そう言えば、精霊ってどんな種類があるの?」

フェイ『自然の数だけ種類があるから……。光、雷、炎、水、土、風。』

ウメ『うみ、くさ、やま、もり、くうきー。』

ロケット「闇とか、毒とか鋼なんかもあるのかなー?」

フェイ『ロケット、しぶいところ突くね……。』


──────────




 キャラクター紹介

 キャラバン隊

白銀の狐女性のヌールをリーダーに緑のトカゲの青年イクシア、そして縞模様狸の青年シャムの三人の他に町の外に数十人いる中規模旅団。

戦闘能力も高くあらゆる困難を生き抜いてきた彼らはCブロックの人間を多く守り抜いていた。

 

 ヌール・エス2

あまり人と話す事が苦手な銀白の毛並みと白いマントが特徴的な狐族の女性。

 キャラバン隊リーダーとしては適役に担当を振ったり黙々と雑用をこなしたり、時にはその力で強敵を蹴散らす事で役目をこなしている。

 氷精霊術も使いこなしあっという にあらゆる場を氷漬けにしてしまう。


 トッポ

ネズミの精霊。

「ちゅちゅ」としか話してないように聞こえるがヌールにだけその言葉が何を言ってるか通じる。

数少ないヌールの話相手でもあり、また見た目とは裏腹に強力な氷を使う。

チーズよりバター派。


 シャム・シール

縞模様の毛並みの狸族の青年。

 三人の中では一番若いが実力は折り紙付き。

 短剣をしまう所がついた服だがそれ以外はこれといった特徴はない、よくある服装をしている。

 蜃気楼のように消え蜃気楼のように突如現れるその術やいかに。


──────


 獣たちの襲撃から数日間ロケットたちは彼らキャラバンの三人と過ごす事にした。

 生存している人々の探索、獣たちの迎撃、強くなるための基礎的な稽古、そしてBブロックとCブロックの獣たちの撃退。

 一つ気づいた事はまるで獣たちは減らないことだ。

倒してもおそらくどこからか常に獣たちを運んでくるのだろう。

妖ならやりかねない。

逆に言えば狩り続けなければ増える一方でそのうち町が獣に占領されてしまうだろう。

それだけは避けなくてはいけない。

 ロケットはそんな数日のことを事細かに手帳に書きこむ。

「随分とこまめだなー。」

 イクシアが手帳を書いているロケットに声をかける。

『三日で飽きたイクシアも見習って下さい。』

 イベリーはひらひらと舞いながら言った。

「うるせー、どうも気合いが入らないだけだ。」

 今のやりとりも書いておこう。

「記憶が無くなる前の俺も、これぐらい助かったんですけどね。」

 手帳を閉じ、しまう。

「じゃ、もう一回練習しとくか?」

 イクシアが木で出来た練習用の盾を手に取る。

「お願いします!」

 ロケットも木製の練習用の棒鎚を取り、盾向かって振り下ろす。


「飽きないねー、男子共は。」

 稽古の練習を遠くから横目で見るのはウチワ。

ゆっくりとお茶をすする。

「私もがんばらないとなあ。」

 自分のカップにお茶を入れながらフィーネも見守る。

 ゆっくりと過ぎていく時間のなか、フィーネは思案した。

 次の場所へ行くにはどうすればいいのだろうと。

Cブロックだって酷い有り様だからDブロックやAブロックでは何が起こっているのか想像もつかない。

ここの住人たちも大事だが他のブロックの住人も早く助けなければ。

 それにここの住人もこの公民館に避難した人たち以外やはり見あたらない。

かなり探したのに見つからない事に焦りを感じていた。

「じゃあ、ワタシはもう一狩り行ってこようかしら。」

 お茶を飲み終えてウチワが猟銃を担ぐ。

「あ、私も探索に行きます!」

 フィーネが慌ててお茶を飲もうとしてあまりの熱さに断念する。

「別に一人で平気。それよりもそろそろ夕方に入るから探索は明日の方がいいんじゃない?」

 午後三時過ぎの時間。

確かに日暮れまでにはあまり時間がない。

「まあ狩りはそのぐらいの方が燃えるんだけどね。」

 そう言うとウチワはフィーネを残してどこかへ行ってしまった。


 夜になり、食事時になっても見かけはしなかったが、そもそもいつもこんな調子で単独行動していたのでウチワのことはロケットたちはあまり気にかけなかった。

 今日も大型の獣の胃袋を切り裂き、祈り、埋める。

明日に備えて眠って、そして新しい朝がやってくる。


 今日は残りの未探索領域を完全に埋めるという事でシャムは見張りで他のメンバーで出かける事にした。

「にしてもウチワさん遅いなあ。」

 フィーネがウチワのことを気にかける。

流石に日を跨いでいなくなったことは無かった。

「まあ、あの人なら強いから大丈夫なんじゃないかな?」

 ロケットが不安げなフィーネを励ます。

「うん、まあ大丈夫だとは思うけど……。」


「ついたぞ、ここからがまだ完全には探索出来てないところだ。」

 イクシアが地図を確認しながら言った。

遠くにも獣たちがうろうろしている上、何よりも建物の一部が完全に瓦解している所もある。

 ヌールたちも何回かは来たがその時は目に付く人々を救い出してすぐに脱出したためにまだちゃんとした探索は行われていない。

「今日はここを虱潰しに探索。瓦礫の下も空間になってる可能性がある。念入りに探せ。」

『ちゅちゅ。』

ヌールとトッポが(トッポが何て言ったかはもちろんヌール以外にはわからないが)開始宣言をして探索を始める。

 普通の探索と違い厄介なのがやはり獣たち。

ロケットたちも手慣れては来たがそれでも厄介な相手に間違いはなかった。

 ロケットとフィーネ、イクシアとヌールという班分けで探索し、獣たちを撃破していく。

「うーん、ゴミばかりでやっぱりなかなかいない。」

 ロケットが瓦礫を掘り返してみるが、何かの食べ物の袋などのゴミは出てくるがなかなか本命の人間は見当たらない。

「次はあの中に入ってみませんか?」

 フィーネがマンションだと思われる一部破壊された建物を指す。

「分かった、入ってみよう!」


 建物の中はやはり他と同じように戦闘により壊れ、焦げ、そして血痕が残る。

部屋の中を一つ一つ探して見るが生きている人はなかなかいない。

「後は一番上の隅のこの部屋か……。」

 部屋といっても今では外かも部屋の扉があった壁さえもまとめてぶち抜かれている。

別に珍しい光景ではなく、ヌールたちが獣を吹き飛ばした跡とか獣が建物に襲いかかった跡、または一般人たちが抵抗して何かを爆発させた跡など数えればキリがない。

「おじゃましますー。どなたかいらっしゃいませんか?」

 フィーネが声をかけつつ中に入り、ロケットも後へ続く。

部屋の中も壊れている影響でいくつかの家具は倒れてしまっている。

 ロケットも声かけしつつ奥へと足を伸ばす。


 油断していた。


埃と獣と多数の臭いが入り混じった場所に多くの血の臭い。

 血はすっかり乾いていて精霊の石が緑に輝く。

 その胸に開いた穴が痛々しく大きく二つ。

その顔は目を閉じているが永遠の眠り。

羽根は床に散り血に塗れている。

 ウチワが死んでいた。



「獣に襲われたのか!?」

 イクシアとヌールとも合流し遺体を見て貰う。

 フィーネは二度目ということもあり今度は腰を抜かす程度で耐えた。

「ウチワさん、やっぱり私がついていけてれば……。」

 ロケットも困惑していた。

昨日までの仲間が今日は死体だとは……。

『ちゅちゅ。』

「ああ、分かってる。今日の探索は打ち切って……」

 ヌールが終了宣言をしようとしたが、曲刀を抜き部屋の外の方へと向ける。

「やだなあそんな怖い顔しないでよ?」

 全員がそちらの方を向く。

そこにいたのは、妖。

「殺人事件と言えば僕がいないと。

 殺人事件。

その言葉に全員が驚愕する。

「殺人事件……ってつまり……。」

 フィーネが聞きたくないという思いと聞かなくてはという思いが入り交じったそんな声を絞り出す。

「君らのうちの誰かが殺した。正確には公民館にいる狸も含めるからもうちょっといるかな?」

 イクシアも剣を取り出し切りかかる。

「お前が殺ったんだろうがぁ!」

 しかし剣は当然妖の身体は掴めず空を斬る。

妖の身体は映像らしく本体はここにはいない。

 妖のローブがはためく。

「やだなあそんな怖い事しないさ。まあ今回も手紙は出させて貰ったけどね?」

 手紙。前のフィーネが解決した事件で犯人に送られていた脅しや犯行方法が書かれた文。

「まあ今回は詳細なヤリ方とか、脅しとかそういう野暮な事はしてないけどね。まあ強いて言うなら……メリットを。」

 ロケットもいつでも戦えるように準備する。

「メリット?そんな人を殺してまで手に入れなきゃいけないものなんてあるか!」

「まあまあ、それは人によりけりだよロケット。そうそう殺人事件とは言ったけどそれは獣たちをけしかけても、呼び出して危険な獣に殺させても今回の犯人はその獣を利用した奴って事になるから、気をつけてね?」

 フィーネも立ち上がって負けじとにらみつける。

「またあなたのせいで人が死んだ!なんでそんなに楽しそうなの!?」

 妖の深い闇に覆われた顔を見なくてもわかるほど面白くてしかたないような声をだしている。

「まーまー、今回はフェアに君たちにはこれを上げよう。」

 頭の上に何か落ちてくる。

手に取ってみると一枚のカードで何か書かれているようだ。

「“死体の解剖記録”だよ。さっきも言ったけどフェアにするためにそこに書かれている事は“全て真実”。まあ前のヤブ医者よりは正確に書いてるからさ、ぜひそれで頑張って!」

 フェイも妖に威嚇している。

『そんなの、ウソかホントかわからないじゃない!』

 しかしそんなフェイをイベリーが止める。

『いいえ、この解剖記録は正しいと判断。先程少し観察していて判断した内容とほぼ一致しています。』

 イクシアが不満げに言う。

「イベリーが言うならそういう事なんだろうな。残念ながら。」

「信用して貰えて結構です蝶の精霊さん。」

 妖はわざとらしく深くお辞儀する。

『あなたのことは一切信用していません。ただこの記録が正しいと言ったまでです。』

「おやおや、手厳しいなあ。とりあえずそれじゃあ、彼女が死んだ後から72時間以内に解決すれば生き返らせてあげるってのは、前も言った通り。」

 ロケットが反論する。

「俺は自力で蘇ったよ、お前の手は借りてない!」

 妖は手を大きく広げ残念そうに言う。

「まーねぇ。お前は特別だから死んでも死なない。けどその人はそこまで特別じゃない。僕じゃなきゃムリだ。」

 ロケットは歯を食いしばって悔しがる。

生も死も妖の手の中にあるということだ。

「もちろん72時間過ぎてしまえば蘇生不可、探偵側の負け。負けた方はどうなるか、分かってるね?」

 負けた側。

宿でのロケット殺人事件の時は犯人が負け妖に一瞬で灰にさせられた。

「犯人以外の、死……?」

 フィーネの答えに妖が拍手する。

「そう!もちろんこの場にいない狸も犯人でない場合は死んで貰う。ああ公民館の一般人とかBブロックの奴らとかは含めてないから安心してね?それでは楽しいゲームの始まり!」

 言いたいこと言って妖は消えてしまった。

ロケットはフィーネを見ると、恐怖に身体を震わしながらも目には力が宿っていた。

きっと自分が死んでしまった時こんな風に頑張ってくれたのだろう。

 ロケットはウチワの遺体と向き合い、覚悟を決めた。

今度は自分が犯人に、妖に立ち向かう番だと!



 おまけ休憩所

ウチワ「ウメ、あんたティーぐらいつくれるようになりなさいよ。」

ウメ「ポッドがーおもくてーむりー。」

ウチワ「まったく、精霊といっても力を引き出さなきゃただの小動物って所が悲しいところだね。」

ウメ「あっ、でもーでんきでーちゅうにうかせれればーできるかもー?」

ウチワ「電磁力で反重力空間作るくらいならワタシがポッド持つ……。さ」


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