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fruitFRUIT  作者: チル
5章 命がけの
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fruitFRUIT5章超越編

fruitFRUIT5章超越編


10話【始まりの静寂】


 精霊覚醒を行い4人と4匹は姿形を変える。

正面からロケット先頭に全員でダカーポへと衝突する!

ダカーポも挑発だと受け取り正面から攻め込む!

近くへと飛び込み剣とロケットがぶつかり合う瞬間にロケットを中心に4人は距離を取る。

「フォームレボリューション!」

 光の繭がダカーポの剣を弾き大きく仰け反る。

「フォームピアニッシモ!」

 再び人間形態へと戻り弾いて隙を作ったダカーポに武器の棒部分での突き、縦回転殴り、横回し大振り、頭蓋粉砕落としと繋げダカーポを地面へと落とす。

「僕の姿になるの楽しいかい!?」

 地面で受け身を取り連撃を平然とした顔で受けきったダカーポは剣を振ると斬撃を飛ばし全員を斬らんと踊るように宙を切り刻む!

「俺は俺だ!この姿だって大事な俺なんだ!」

 斬撃を受けながら地上に降り避けやすい位置まで離れる。

 フィーネとフェイは攻撃を積極的に受け流しを使って回避し精霊術で全体の防御、攻撃、精霊力、機敏さなどを上げさせる。

ダメージ無効化の結界も張って後衛であるウチワとウメ、タートルとトマトがその無効化中に積極的に大型の攻撃術を展開し水の長い胴の竜のような物を作りだし空からダカーポに襲いかかり同時にウチワが雷で出来た大きな鳥を作り出して水と共にダカーポを襲う!

 ダカーポの放った大きくした斬撃ごと食らいつくし大量の水と電撃がダカーポを飲み込み叩きつけられ感電し倒れるが、攻撃が終わると同時に立ち上がってすぐに距離を取る。

「痛いねぇまったく!」

 ただ回避が多いだけでなく素の能力で人間のそれを大きく越え獣すらも越えてダカーポは強靱でまさに人間離れしていた。

効いていないわけではないがそれらを受けてもなお余裕の体力は化け物そのものだ。

 だが一方フィーネたちも先ほどとは違い大きく心境が変わっていた。

先ほどの戦闘ではダカーポに揺さぶられ心に余裕も持てず絶望的な気持ちが常にちらついていた。

だが今はロケットの覚悟を受けて明らかに全員の士気があがった。

その後も何度もフィーネたちとダカーポは攻防繰り返すが精霊覚醒が行えたというのも心の変化が原因だしそうでなくとも心の変化は動き自体もかなり向上させていた。

相手は能力も高く変身もしてかつ化け物のような体力と、人間……というよりはこの世界の生き物としては大きくかけ離れた思考や心そのものも驚異的でロケットたちを追い込もうとするが、ロケットたちも先ほどとは打って変わってその驚異すらも正面から立ち向かえるほどの気迫を纏っていた。


 その証拠にダカーポは先ほどとは違い余裕綽々の立ち回りが消え常に全方向からの攻撃に耐えつつ猛撃をするようになった。

ロケットたちのダカーポに対する攻めの探りが無くなったのも大きく、ダカーポが透過させようとしてもそのタイミングを読まれ攻撃を温存され逆に攻め込もうとすると数の利を生かし前衛が受ける間に他の人が積極的に攻撃する。

 普通はここまでのやりとりをすれば化け物のような力のあるダカーポはともかく全力を常に引き出して戦っている4人と5匹は疲労してしまう。

だが今回は違った。

戦えば戦うほどさらに力が増していき、深く強く精霊と人の結び付けが強まり4人と5匹同士の連携も深まっていく。


『フィーネ、フェイに指示した後俺にも指示してみてくれ。多分その状態なら感覚的に似たようにできると思う。ダカーポとのエネルギーのやり取りはもうないからきっとできる。』

 ロケットはアップルの状態でフィーネに提案を持ちかける。

感覚的にロケットは可能だと踏んだ。

「分かった、フェイ!そしてロケット!」

 フェイが優先してスティックの動きに反応しダカーポに光の精霊術を使おうとする。

ロケットもフィーネの合図に反応する。

精霊は本来人間からのやりとりで力を発揮する。

久々の刺激、人間とのやり取り。

ロケットは喜ぶように尻尾を振ってフェイを支えるように精霊術を使う。

『金針……うわっ!?』

『大丈夫、俺が合わせる!』

 フェイが急激な術のエネルギー増大に驚くがロケットの言葉を信じそのまま放つ。

ロケットも同時に精霊術を使う。

金色の光を放つの数メートルほどの大きな剣がダカーポの上下から6本出現しイクシアと剣を組み合ってたダカーポを狙う!

『イクシアさんそのまま攻撃!』

「!?」

 イクシアもダカーポも驚く。

普通ならこのままではイクシアも巻き添えを喰らうからだ。

信じてさらに剣で叩きこむイクシアと透過してやり過ごしたいが終わらない攻撃にガードし続けるしかない。

剣が6本重なり合うようにダカーポを貫く!

「おっ、おお!?」

 イクシアは暗い影に包まれるように身体に黒く影が入り、まるでダカーポのように術が透過する。

大剣は音ともに割れて崩れ去り、引き裂かれるほどの攻撃を受けたダカーポはよろめく。

普通の人間なら光に身体を焼き切られ蒸発するほどの威力、怯む程度で受け止める。

「全く、二つの精霊術を一体化させて攻撃するのはやりづらくてかなわないね!」

 ダカーポ変身し小型状態のアジタートへなる。

「すごい、今のがロケットさんの力……!」

 フィーネも驚きロケットを見る。

『まだまだ攻撃の手を休めないで!フィーネと一緒ならもっと出来るさ!』

 その時ロケットの中に刺激が走る。

全身を駆け抜けるようなわずかな刺激。

塔を登る前に握手した時のような刺激が。

疑問には感じたが何ともなさそうなのでそれについては話すことをせずダカーポが放とうとしている術の方を見た。

 風が小型状態のダカーポ頭上に集まり全てを切り刻む勢いの風が球状になる。

「風獄怠惰Ⅰ!」

 ロケットがそれを聞いて記憶の片隅からどんなものかを引き出す。

『気を付けて!1の術は一番強い!あれは触れると切り刻む風が暫く消えることなく動き回る!』

 風の球は4つに分解され大きくなりさらに4つずつに分解、16もの人の身長ほどある風の球が所狭しとゆっくり移動する。

「くそっ、動きが制限される!」

 イクシアがダカーポに切り込むとすぐに後ろから風の球がやってきて離れる必要がある。

さらにこの状況にダカーポは術を重ねる。

「氷踊色欲Ⅰ!」

 先ほどの術と同じだがさらに氷の塊が大きくなっている。

砕けた無数とも言える破片がフィーネたちを襲う。

「いけないっ!」

 ゆっくりと動き回る風の球に追尾し続ける氷が合わさり逃げる事で手一杯だ。

 ロケットは精霊状態ならば優先されて襲われないようだが逆に言えばこのままでは人間4人が体力を削られてしまう。

 ロケットは閃き逃げまどうフィーネに呼びかける。

『フィーネ!攻撃無効化の結界を中央に!そして同時に俺にも同じ指示を!』

 フィーネは少し困惑するが言われた通りスティックを振ってフェイとロケットに指示を出す。

 無効化結界は人間に張るもので、空間指定して張る攻撃でもないからだ。

 フェイが輝き中央へと飛んで無効化結界を張ろうとする。

同時にロケットも黒く輝きフェイに合わせるように飛んで術を使う。

すると無効化結界が一瞬爆発するかのように大きく戦闘の場そのものを全て包むように広がり輝きを放って全ての魔術を消し去った!

「ほとんどチートだな……!」

 ダカーポは思わず苦笑いし、距離を取って次の術に備える。

 ロケットはフィーネと術を使う度に自身とフィーネのエネルギーのやり取りが強くなるのを感じていた。

これならきっと勝てると。


 術の応酬は続きフィーネとロケットとフェイの合わせ精霊術でダカーポの強大な魔術に対抗し、さらにイクシアたちが攻撃を加えていく。

繰り返してるうちに情勢はダカーポからフィーネたちへと少しずつ傾いていく。

ダカーポがより強く攻撃するたびにそれを4人と5匹がさらに強く返す。

4人と5匹は疲れるどころかこの戦いの中でさらに深く強くなっていく自分たちを感じた。

 さらにロケットは自分が一度は捨てた精霊として生きる道を、それを再びフィーネとなりきっと大丈夫だと強く確信する。

 フィーネがスティックでフェイとロケットに指示を出すたびにロケットとフェイそれにフィーネのやり取りする力が心がつながっていく。

 再びロケットに刺激が走る。

それと同時にロケットがフィーネ、フェイと光が繋がる。

 精霊覚醒だった。

『これは……フィーネと俺は正式なパートナー関係じゃあないはずなのに?』

 フィーネも驚くがロケットに笑顔を向ける。

「きっとそんなの関係ないんですよ。ロケットさんと私たちなら何だって越えられる。そんな気がします。」

『そうそう!細かいことは気にしない!』

 ロケットはふたりの言葉に頷き、そしてダカーポへと再び攻撃をしかける。

ロケットが気になっていたのはもう一つあった。

あの全身を駆け抜ける刺激が頻度が増し強さも増してきていた。

痛みや辛さはまったく無いが全身を駆ける力には流石に疑問を持った。


 一方ダカーポは妖形態で、少し苛ついていた。

ゲームとして強敵に挑むのは楽しい事だ。

しかし理不尽な敵に挑むのは決して楽しいだけでは済まない。

「ああもう、何なんださっきから!」

 精霊覚醒自体こんな長時間続くのはフィーネたちも初めてだし、むしろ力を増して言っている。

動きや能力も段違いに良くなっていてダカーポの思い通りに攻められない。

「僕を怒らせた事、後悔しろよ!」

 ロケットたちは身震いした。

ダカーポの放つプレッシャーが異常に大きくなる。

嫌な予感がした。

全員守りに入ろうと動いた瞬間、放たれる!

「死ね!」

 戦いの場全てを覆うほど巨大な冷気。

一瞬で巨大か氷がフィーネたちを覆う。

 Cブロックでのヌール殺害に使った一瞬で全て凍てつかせそして人事粉々にする術。

防具もだいぶその時よりも良いし能力も精霊覚醒で引き出され防御術を駆使してある程度防いでいるとは言え、一瞬で氷に飲まれ一切身動きが取れなかった。

タートル、イクシア、ウチワ、フィーネ全員動けずあらやる防御手段を少しずつ貫いて端々から凍り付こうとしている。

「おしまいだ、これでな!」

 ダカーポの言葉が氷へと響く。

さらに冷気が浸食しようとフィーネたちを襲う。

ロケットは叫ぶ事は出来なかったが自身も凍てついているのを忘れるくらいフィーネたちの身を案じた。

いくらなんでもこのままでは即死してしまう。


 その時またロケットに強く刺激が走る。

全身にたぎるかのようにその刺激はロケットの全身を脈打つように駆けめぐる。

詳しいことは分からなかった。

けれどロケットはこの力に賭けるしか無いと感じた。

強く、強く祈りフィーネへと動かない前脚を伸ばすように。


 フィーネの脈を感じる。

想い、祈り、こんな状況でも挫けない意志。

全て感じた。

まるでロケットと一つかのように。

 フィーネも強くその力、想い、全てを感じる。

精霊覚醒で繋がるよりも、さらに強く、気持ちは一つに、このような状況でも絶対に負けられないと。

絶対に守ると。



「そろそろ頃合いか?」

 ダカーポは氷の中の様子を見る。

白くそれぞれの身体が凍てついていっている。

と同時におかしなことに気づく。

「……アップルがいない!」

 氷の中を探すがアップルの姿がない。

その時、急にフィーネの方から光が強く輝きだす。

氷を内から割るように、強く。

「今度は一体……!」

 氷は砕け散り、フィーネ以外の氷付けになった人と精霊は光を浴びて体温がもどり氷が解ける。

 フィーネの光が少し収まるとそこにいたのはフィーネのようでフィーネではないようだった。

 白い輝きが身を包み、たてがみが長く白と黒が入り交じった髪で毛並みも黒の比率がだいぶ多くなっていて、少し毛の長さも増えている。

尻尾もすらりと長く目は右目は黒く左目は赤い。

 顔つきもフィーネの優しい顔つきにどことなくさらに力強さも加わった。

スティックは黒く輝き盾は白く強く輝いて、服装も今までの羽衣のような格好から黒と白が複雑に入り交じったこの世の物とは思えないような柔らかそうな服でズボンと長袖のようだがどことなく人間離れした雰囲気がある。


「『精霊融合」』



 おまけ休憩所

フェイ『ねえねえロケット、ちょっとみんなに変身してみてよ!』

ロケット『えー、それはちょっと迷惑になりそうだから。』

ウチワ「面白そうじゃない?ワタシになってみれば?」

ロケット『それじゃあ遠慮なく。』

ロケット「どうかしら?ワタシは良いと思うよ。」

ウチワ「まあ、まだまだワタシ本来の美しさが出せてないけどね。」

フェイ(そっくりだ……。)

イクシア「よし今度は俺だ!」

ロケット「どうだ?鱗も良い色出してると思うぜ!」

イクシア「なあにまだまだ俺の方が断然イケてるな!」

ウチワ(そっくりね。)

フィーネ「あ、もし良かったら私にも!」

ロケット「こんな感じで良いでしょうか?少し不安です。」

フィーネ「えっ、私って改めて見ると……うーん太った?」

イクシア(どう見ても同じだ…)

フェイ『じゃあ最後はわたし!』

ロケット『これでどうだ!ちょっとおなかすいてきちゃった……。』

フェイ『わたしはそんなこと言わないし!』

フィーネ(あれ?どっちがロケットだっけ……。)



────────


 

 精霊融合。

人と精霊が一時的に完全に一体になる超常現象。

ダカーポもそれの存在は把握していた。

《人は人の限界を超え精霊と自然と一体化しさらには人自身が交わる。

そんな群れの力》。

羊皮紙にもはっきりと書いてあった内容。

 ダカーポが精霊から全て奪い個としての限界の存在になったとしたら、フィーネとロケットは群れとしての限界の存在になった。

「なぜだ!なぜ特異点を!」

 ダカーポは取り乱す。

もはやゲームどころではなくなってしまっていた。

「ダカーポの言う特異点がなんの物なのかは分からない。けれどもう何が来ても負けない!」

 不思議な声。

フィーネとロケットの二つの声が完全に重なり合ったような声だ。

フィーネとロケットの意識そのものも同化していて新たな一つの生命になっていた。

ロケットの全身を駆けめぐっていた刺激はフィーネとなると全身を駆け巡るあふれんばかりの力となっている。

「フェイ、いくよ!」

『う、うん!』

 フェイやも一瞬困惑し他の人も驚きはしたが今は優先すべきものがあった。

激しくうろたえているダカーポを斃す。


 ダカーポは小型状態のアジタートへと変化し慌てるように多数の黒い岩を召還する。

「築城嫉妬Ⅰ!」

 多数の黒い岩が地面からせり上がったり空から落ちてきたり壁を作ったり空に浮いたりともはや術そのものがめちゃくちゃだ。

 フィーネがスティックを振って的確に指示を出していく。

フェイが光の壁を作り出して岩から味方を守ったり、またフィーネ自身がまるで妖のように精霊術で光線を撃ち込んでダカーポを攻撃する。

ダカーポは回避を繰り返し岩を使ってダメージを和らげながら上へ上へと昇っていく。

元々小さい形態のアジタートではすぐに遠くへ消えてしまい岩だけが降り注ぐ。

 フィーネは追撃と仲間の守備の二択を迫られすぐに仲間を守る方を選び仲間たちを光で包み込んで行く。

光に包まれた4人と4匹の姿はその場から消え去った。


 暗闇に包まれた、夜空のような空間。

宇宙の中のような場所に4人と4匹は降り立つ。

重力も床もあるようだが目では分からない。

「ここで敵の攻撃をやり過ごします。」

 フィーネは落ち着いた様子で話している。

一方4人と4匹は当然突然の出来事だらけで流石に状況についていけなくなっていた。

「ま、まず一体何が起こったのぎゃ?」

「危険だった上、ダカーポが距離をかなり取ったため敵の攻撃に備え一時的に別の空間に避難しました。原理的にはダカーポの透過と同じでその場にいるように見えて違う空間にいます。」

 タートルの質問は考えつつ答える。

「それで、さっきの融合って?あなたフィーネなの?それとも……。」

「ごめんなさい、それに関しては自分でも良く分かってないんです。ただ自分はフィーネでもロケットでもないし、フィーネでありロケット何です。」

 ウチワの質問には即答する。

「どうしてそんな事が起きたんだ?突然!」

「自分でも曖昧なんですけれど、氷に閉じこめられた時にどうにかしなくちゃって思って。あと、ロケットが少し前から、そうフィーネと連携するあたりから不思議な感覚があって、精霊覚醒もおこなれた後その刺激のような感覚が強くなっていって氷に閉じこめられた時に最も強くなったんです。そしてロケットとフィーネ、互いに強くどうにかしなちゃって思った時に精霊覚醒の光の繋がりがさらに強まって氷の中からロケットがその光に乗るように粒子のようになってフィーネと飛び込んで来て完全に一体化して。だからきっとこれは精霊覚醒の次のものなんですよ。ピンチのときは起死回生のために必死になるからそういう事もあるんですよきっと。」

 想像を交えながらイクシアの質問に答える。

『それってもどるのー?』

「はい。ある程度意識的に分離できると思います。けれど今はここへの避難に力を使っているので解除しません。」

 ウメの質問には身体の調子を感じつつ答えた。

 落ち着いたせいか3人の精霊覚醒は順に終わり元へと戻っていく。

『この後はどうするのでしょうか?』

「回復を済ませた後ダカーポへの追撃を試みたいと思います。道らしい道はないかもしれませんが何とか彼が被害を広げる前に追いつきたいですね。」

 イベリーの質問には他の人たちの状態を見ながら答える。

『それは俺たちも使えるのだろうか?』

「うーん、断言は出来ないですけれど、ダカーポとの戦闘により強く精霊覚醒をコントロール出来てた事、それに私の融合時の強い光をみなさん浴びてた事できっとキッカケにはなり得るはずです。後はほんの少し押す事が出来ればあるいは。ダカーポとの戦いにはきっと大事ですからぜひ身に付けたいですね。」

 トマトの質問には思い出しつつ予想を交えて答えた。

 フィーネは元の場所の様子を感じ取る。

目で見るようにその場所の様子が分かるがどうやら攻撃は止み空高くまで不安定な足場が続いてそうだった。

『ところで、何て呼べば良いのかな?ロケット?フィーネ?』

「ええ、改めて名前を聞かれると困るけれどフィーネで良いですよ。上下の関係があるわけじゃあないですけど名前まで混ぜると余計分かりづらいですし。」

 フェイの質問には少し戸惑いながら答えた。

「それじゃあ元の場所に戻しますね。それ。」

 フィーネがスティックを天に向けると全員光に包まれ、気づくと元の場所へと戻っていた。

 元の場所は先ほどまでの平坦な面影はなくなり、まるで壊れた瞬間時が止まっているかのような不気味な黒の岩が乱雑に積まれたり壁が空中にあったり宙に岩が固定されていたり地面に大量の岩が突き刺さっていたりと不気味な雰囲気がずっとずっと上まで続いている。

「それじゃあ回復しますね。」

 フェイとフィーネが協力して精霊術を使い不思議な淡い光が全員の心身を癒す。

緊張もほぐれ一息つけた。

「ここをさらに昇っていくとしたら骨が折れそうね。」

 ウチワが上を見上げながら話す。

「空でも飛べなきゃ落ちたとき危なすぎるな!」

 イクシアもどこまで続くのかと見上げて話す。

「うーん、飛ぶことは出来ないけれど落ちた時の危険をなくす事は出来るかも。こうかな……。」

 フィーネは悩みながら自身の力で闇の精霊術を全員にかけていく。

暗い光が足下を覆いそのまま床へと影のようにはりつく?

「これで常に少しだけ浮いてる状態になりました。落下時も地面につかずに済みますが逆に言えば空には全く受けずその影の部分だけです。」

 フィーネの解説を受けてタートルは感動する。

「ほー、これはホライズンの重力術の応用ぎゃ?なかなか面白い術ぎゃねー。」

 フィーネは目を閉じ、全身が白く光に包まれ光が収まると同時にフィーネとロケットそれぞれ通常に戻る。

『ふぅ、よかったちゃんと戻った!』

「なんだか凄く疲れたような……いや、元に戻っただけでさっきの力が凄かっただけかな。」

 フィーネとロケットは顔を見合わせて笑った。

「うふふ、ありがとうロケットさん!」

『アハハ、ありがとうフィーネ!』

 共有したもの同士でしか分からない何かがあるのか、周りから見ると謎の光景だったがふたりは一頻り笑った。


 落ち着いた後、改めて岩がずっと続く塔の様子を見る。

道は確かに無さそうだがどこかまでも空高く岩が宙に浮いている。

ダカーポはいつものゲームだというためなら道をちゃんと作るだろうし逃げるだけだったら何もせず遠くへ飛ぶだろう。

急いで逃げながら追撃をかわすため攻撃していたおかげで僅かながらだが跡を追うための物が残っていた。

「よし、いっちょ登るか!ダカーポを追うために!」

 イクシアが先頭に立ってこの岩山を登ることにした。



 おまけ休憩所

イクシア「あの精霊融合って頭ん中どうなっているんた?」

ロケット『うーん、一緒の時は完全に混ざってるから違和感ないけど、後から考えると不思議だなあ。』

フィーネ「どちらかの意識ってわけじゃあなくって完全に一つでしたからね。貴重な体験でした。あ、後記憶も一緒に……。」

ロケット『わあ!そうだ!過去の記憶は辛かったよねごめん!後アレとかソレは忘れて!というか誰にも言わないで!』

フィーネ「い、いや私は平気何ですけれど傷心時の記憶とか大丈夫でしたか!?あ!あの事とか誰にも言えない事とか本当にお願い、ね!もうきっとわかってくれると思うけど!」

ウチワ「わりと大変なのね、精霊融合って奴も。」

フェイ『ロケットとフィーネは昔から一緒ってわけでもなかったし、余計にだね。』


───────


 4人と5匹は道無き道を登る。

上から引っ張りあげたり、イベリーが岩を新たに作って向こう側まで橋渡ししたり、壁をロケットの巨人状態を使って越えたり、時にはウチワが先に飛んで岩の配置を変えて通れるようにしたりと、道のない所に道を作って登っていく。

 宙に浮く岩を慎重に跳んで渡り雲の中に入ってさらに積み重なってる宙に浮く足場を越えていく。

「こんな高い位置の雲、なかなか珍しいぎゃねぇ。」

 ダカーポの力でここらへん一帯は空気も安定し風も吹かず気圧も一定であまり高いというイメージがないが、そもそもこの下、影の塔自体が雲より高い位置に頂上がある。

さらにそのずっと上にも雲があるのはタートルによると珍しいそうだ。

 視界が悪い中、さらに移動していく。

あまりにも離れすぎてるところはロケットが巨人形態で3人を投げ飛ばし、ウチワが反対側で受け止める。

普通タートルなどは重すぎて無理だがほんの少し影の分だけ浮く精霊術のおかげで真正面からでなければ反動なしで受け止めれた。

 ロケット含む精霊とウチワはある程度自由飛行出来るので他の人が通れるように常に活躍した。


 そしてもう少しで雲から抜けるといったところでついに足場が無くなった。

あるのは黒い岩がいくつか浮いてるだけだ。

もしかしたら雲の上に足場があるかもしれないがここからでは視認できない。

「もしかしたらアヤカシがこの上にいるのかもね。」

 ウチワの言葉に改めて気を引き締め直す。

まずは精霊たちとウチワで岩をなるべく集める。

小石程度のから座れそうな大きさの岩まで様々だ。

このままでは使えないのでタートルとトマトが一度水で砕く。

塔に使われてるのよりは脆くなっているようだ。

だいたい均等に細かくなったらイクシアとイベリーがもう一度精霊術で形作る。

螺旋階段のように雲の上へと伸ばしていく。

そのままでは人が乗れるほど安定していないのでフィーネがフェイとロケットに指示を出して強化精霊術で頑丈に、安定するように補強する。

 出来上がった螺旋階段は黒色がイベリーのデザインで上品に仕上げられ、また光の精霊術の効果が淡い光を纏って綺麗に輝く。

「自分たちで作っといてなんだが、天国の階段って雰囲気だな。」

 イクシアが雲を突き抜ける階段を見て感想を言った。

この場所そのものがいつまで続くか分からないので感動に入り浸る時間も無く急いで階段を駆け上がった。


 ロケットが精霊状態で先に雲から顔を出す。

『ダカーポはいな……なんだこれ!?』

 ロケットの声を聞いて他の人も階段を登る。

「ロケット、一体何……ええっ!?」

 確かにここは雲の上。

なのにそこに広がる景色は、花畑、いくつもの家、そして一人の老人。


老人はイクシアのように鱗を持っているが白く色褪せたような色で尚且つ顔は頭と耳の部分にヒレのような耳がついている。

立派なひげが顔から細長く生え後頭部には複雑に枝分かれした太く大きな角が二本生えている。

農家なのか格好は長く頑丈そうなズボンに涼しそうな上半身の服、藁帽子が特徴的だ。

 そしてその老人は雲であるはずの所に立って、階段で固まっているフィーネたちを見ていた。

「@@@@@@@@。」

 何を言ってるのかまるでわからない。

言語が違うのだろうがある程度把握してるウチワとタートルでもどの言語かすら検討がつかなかった。

「え、ええと……。」

 ウチワが困りつつその老人に話しかけようとする。

「あっ!そうか!言葉が違ったんだじゃったわい!」

 それを受けて老人は言語を変える。

どうやら言葉は通じるらしい。

一安心して4人と5匹は胸をなで下ろす。

 さて、と言って老人は咳払いし改めてウチワたちに話しかけた。

「地上の人よおらの畑で何をやってるんじゃ?」

 花畑の花が階段に乗せられ地面から抜けていた。


 謝りつつこれまでの経緯を説明しながら村まで案内される。

雲は下から進入した時はただの雲で何ら抵抗が無かったのに上から踏むと割と固く地面のように踏めれた。

この雲は特殊で遥か昔から精霊術で踏めるように改良されたものらしい。

「ふむ、まあ何しに来たかは半分程度理解出来たのう。っと、ここが儂たちの村じゃ。」

 案内された場所は、白い雲の上に数えれる程度しかない家が並ぶ場所。

質素かつこじんまりとしているが各家には全体に不思議な模様が描かれている。

あれは普段は風の結界として働き強すぎる風を和らげ優しい風を導くものだそうだ。

「あ、ああっ!」

 突然何か思い出したようにタートルが大声を出す。

「何よ突然。」

 ウチワの声にも反応せずただただ驚いている。

「そ、そうか、まさかとは思ってたぎゃぁ、あなたたちは伝説の種族の……。」

 老人はそんな様子のタートルを見てゆっくりと笑う。

「そうか長らく地上とやり取りが無かったからすっかり伝説扱いかのう。儂らは仙竜族……であってたかの?」

「うわあ、本当にいたぎゃ、1000年前の文献に伝説として書かれていた天空に住む種族ぎゃ……!」

 タートルの言葉に一同は驚いた。

一千年前ですら既に伝説扱いだとしたら一体何年間ここは地上との交信が無かったのだろうか。

 そんな地上からのお客さんは当然珍しく人が集まってきた。

と言っても子供二人と母親らしき人一人、そして3匹の精霊だけだが。

「やあ兄ちゃん!地上から精霊なんじゃ?」

『地上の人もあまり変わらなさそうじゃー。』

「これ静かにおし。まあ何もないところだけれどゆっくりしていってくださいね。」

 千年以上ぶりの来客にも歓迎ムードで迎えてくれて少しフィーネたちは安心した。

 老人に連れられて老人の家へと案内される。

こじんまりとしているわりに中は見た目よりもかなり広く、何部屋もあった。

「驚いたかね?わしらの技術は少し変わっててな、恐らくまだ地上には無いと思うが空間をねじ曲げて小さなスペースでも広くしてある。どうせどこも使ってないんじゃ、自由にしてよいぞい。」



 おまけ休憩所


ロケット「うーん、あれえ?」

フィーネ「フィーネどうしたの?」

ロケット「ああちょうど良かったです。ちょっと記憶がこんがらがっちゃって。」

フィーネ「あ、奇遇だなあ。俺も似たような事が。」

フェイ『二人ともコントみたいな事になってるよ!?』

タートル「強く繋がるというのはそれだけ気を付けるべき事がありそうぎゃね……。」

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