fruitFRUIT4章疑心編
fruitFRUIT4章疑心編
8話【最後の祭り】
フィーネはまず遺体から調べることにした。
ポイント1 マークの遺体
マークの遺体は“あぐらをかいて座っている”。
遺体そのものはあまりダメージを受けておらず頭部の致命傷のみが痛々しく残っている。
“争った形跡はない”。
解剖記録通り穴が後頭部に貫通している。
“穴の形は円形”で剣などではなさそうだ。
ポイント2 側に落ちている拳銃
警察が携帯する小型の拳銃だ。
外を歩くための武装としては心許ないがこれ以外に大きめの警察の防衛用ハンドガンがあるがこちらは弾は満タンでつい最近使われた跡はない。
小型の拳銃には“弾が一発使われた”跡がある。
“血痕は無い”。
ポイント3 遺体の後ろ
遺体の後ろ部分、頭があったところの“下側に弾痕”があった。
弾痕は“上から下に”撃たれた跡があり机に途中で威力を無くしたのか突き刺さったような形で残っている。
遺体の周りで気になる所はこのぐらいだったのでさらに周囲の探索を始める。
だがワービーストたちが彷徨いている環境なのでどうしても動きが制限される。
何とか壇上から大聖堂の入り口まで移動する。
「やっぱり、ダメかあ。」
扉の外には瓦礫が積まれ、とてもじゃないが簡単には開けそうにない。
扉の前に何か落ちていることに気づく。
“警察手帳”だ。
「これ、パパのだけれど何でここに?」
中身を確認してみるとこれまでの様々な事が書かれている。
中身自体にこの事件に関することは書かれていないようだ。
さらに移動して寝室の方へ。
時間は全く分からなかったがフィーネはとにかく疲労していた。
そこで横になり、仮眠を取る。
自然に任せて目が覚め、寝室から出ようとするとロケットが寝室の扉を開けた。
「あっ、フィーネ。ちょうど良かった。」
ロケットが言うにはそろそろ事件の議論を行う予定らしい。
なるべくならこの一回で終わらせ、時間の分からないこの状況で72時間以内に終わらせるために。
「あの、ロケット一つ聞いて良い?」
ロケットがフィーネに不意に質問されて驚く。
「え?何だろう。」
フィーネは一息ついて、質問する。
「ロケット、何でそんな悲しそうな顔をするの?」
え?とロケットが言って顔を手で擦る。
「そんなに顔に出てたのかな?だってさ悲しくもなるよ。せっかく良い形で固まったチームだと思っていたのに、妖のせいで何もかもがめちゃくちゃになった。誰も疑いたくなんてないのに、俺はあの時フィーネの側にいることすら出来なかった。」
ロケットは下を向いて暗い声を出した。
「ロケット……。」
フィーネ自身はもはや自分がどんな気持ちなのかすら分からなかった。
フェイは泣き怒り今は怒っているがフィーネの心は遺体を見たときから真っ暗な闇の中にあるように、自分自身にすら何も分からなかった。
小部屋に全員集まっていたがフィーネたちが来ても誰も何も言わない。
証拠も少なくそれぞれがそれぞれの思惑でここにいる。
仲間が今や互いを疑い、疑心暗鬼に包まれている。
そして重い空気の中議論は開かれた。
ロケット「それじゃあ、早速死因から始めよう。」
イクシア「いやそれよりも!この中に犯人がいるなら言ってくれよ!」
ウチワ「それなら楽だけれど、それは期待できないんじゃないの?」
フィーネ「犯人は犯人だと自ら名乗ってはいけない。ですっけ。」
タートル「まーまさか、こんな形でこの5人で争うなんて思わなかったぎゃね。」
ロケット「文句を言っていても始まらない。やるしかないんだ!」
ロケットが解剖記録を見る。
ロケット「ここに書かれている事は少ない。頭部の貫通の一撃で死んだということのみだ。」
フィーネ「それなら心当たりのある武器はあります。近くに落ちていた拳銃ですね。」
ウチワ「確かにワタシも見たけれど、あからさますぎやしないかしら。」
タートル「あれは警察のだぎゃ?わざわざ奪って使うとしては変だぎゃ。」
タートルはそう言いながら考える。
フィーネ「調べたところ争ったような形跡はありませんでした。けれど拳銃は一発弾が減っていました。」
ロケット「そうなのか……フィーネがそう言うなら信じたいけれど……。」
フェイ『何さロケット、フィーネのことが信じられないって言うの!』
ロケット「俺だって信じたいんだ。凄くつらいんだよ。」
フィーネ「ロケット……。」
フィーネはロケットの顔を見る。
汗がにじみ出ていてロケットの中で格闘をしているような複雑な表情だ。
ウチワ「犯人が意図的に偽の情報を流す事もあるかも知れないという事ね。」
イクシア「あるいは、犯人を庇う誰かが……。」
イベリー『可能性の話ばかりでは進展がないので少しずつ固めていきましょう。』
フィーネ「死因が拳銃による殺害の可能性を示すのはそれだけではないんです。」
タートル「ん、何かあったぎゃ?」
フィーネ「ええ、遺体の裏に弾痕と刺さった弾丸が。」
ロケット「そういうものは見に行けばすぐにわかるから誰かが嘘をついてるとは思いにくいよね。」
フィーネ「ええ。でもその、刺さっている角度が奇妙なんですよね。」
フィーネは軽く図を書く。
フィーネ「ナナメなんです。しかも上から。」
ウチワ「これの何が奇妙なのかしら?」
フィーネ「この通りだと私の父を上から撃つしかないんですけれど、その角度で頭を撃つには父より相当大きくないと。」
ウチワ「でも、ガールの父親座っていたじゃない?」
イクシア「まずあそこで座っているというのが奇妙だよな。犯人が殺した跡座らせたのか?」
ロケット「それだと高い所から撃てた人が犯人になるけれど……。」
4人ともウチワの方を見るが、ウチワは毅然とした態度だ。
ウチワ「ふん、私がやるならそもそも拳銃じゃなくて良いじゃない。猟銃があるし電気もあるんだからさ。」
タートル「それもそうだぎゃね。」
フィーネ「弾丸も猟銃の大きい弾では無かったですからね。」
うーんと言い全員頭を悩ます。
ウチワ「そうそう、撃つ位置さえ考えなければあの大聖堂は二階があるよ。あそこ調べて見たけれど一階も良く見えて誰でも簡単に奇襲できたでしょうね。」
ロケット「拳銃と弾丸は偽装証拠で本当の殺害現場は別にあった、とか?」
イクシア「あれだけ現場は荒れ放題だ、実際の犯行位置が違っても誰も気づかねーな。」
フィーネ「そもそも自分の武器を使わず様々な手を使って別の武器で殺すというのも犯行隠蔽と考えれば自然ですね。」
あっ、とフィーネは声を出し警察手帳を取り出す。
フィーネ「それを言われて思い出したんですが、なぜかこの警察手帳が出入り口の前にあったんです。」
ロケット「マークさんの名前っていうことは、マークさんの警察手帳なんだね。」
タートル「襲われた時に落としたぎゃ?」
ウチワ「二階から殺した犯人が移動させた時に遺体から落ちたのかもねえ。」
イベリー『だとしたら、何が凶器なのでしょう。』
イクシアは頭を掻いて考える。
イクシア「そう、その点もなんだが今回は凄く証拠らしいのが見つからないんだよなぁ。」
ウチワ「武器と言ってもそもそも教会だからね。スティックや包丁はともかく遠くから貫通をねらえる武器なんてないよ。」
ロケット「俺も頑張って捜したけれど儀式の部屋の本くらいかな。」
ロケットは一冊の本を取り出すと全員に見せた。
ロケット「光の精霊術一覧で、この中に一つこういうのがあったんだ。」
《光の線を放ち相手を光のエネルギーで撃ち抜く高等術。高い力量が持つものが行えば鉄板すらも貫く。》
ウチワ「これは……。」
ロケット「ねえ、もしかしてだけどさ、手紙を受け取ったのって……。」
イクシア「フィーネ……なのか?」
フィーネは全員に疑いの目を向けられる。
冷たい視線が突き刺さるようだった。
フィーネ「そんな……!私は……!」
タートル「そう、まだ決定づけるのは早すぎるぎゃ。証拠は少ないけれど、もっと考えないとぎゃ。」
フィーネは考えた。
このままではきっとやっていない人が犯人になってしまう。
それだけは避けなくてはならない。
そのためには自分への疑いの目すらも解いていかなくてはいけない。
この事件を解く鍵を見つけるため、さらに議論を進める。
おまけ休憩所
ロケット「コンテルネッツァってどういう意味?」
ウチワ「音楽記号でやわらかくということね。」
フェイ『もっこもこだもんね!』
ロケット「まあ、術が柔軟に相手の力を削いでいく方向になってるからだと思うけどね……。」
───────
議論は続く。
暗闇が、5人と4匹の心の中すら暗闇に取り込むかのように。
タートル「そもそもこの事件はかにゃーり不可解なんだぎゃ。5人とも全員罠で飛ばされる前まで一緒にいたんだぎゃ。」
イクシア「俺はその後、地響きで目が覚めたな。」
フィーネ「あ、私も同じです。あまりにも大きくて。」
タートル「おいらもそうだぎゃ。気を失っていた所をたたき起こされたぎゃ。」
ロケット「俺も。起きたタイミングはみんな同じなのかな?」
ウチワ「ワタシもだけれどこの照らし合わせにはあまり意味はないね。犯人が嘘をついて賛同してる可能性もあるからね。」
イクシア「うーん難しいな。Cブロックの事件みたいに犯人がこちらに協力的ならなあ。」
ウチワ「一人でアヤカシの元に行くつもりの人がいるということだとしたら、よほど無謀ね。」
タートル「少なくとも、精霊覚醒やフォームレボリューションみたいなのが出来にゃーおいらやウチワさんは考える事も難しいレベルだぎゃ。」
ロケット「俺はそんな、一人ででも行こうだなんて!」
ウチワ「動機的に怪しいのは散々アヤカシに絡まれアヤカシの握る秘密の知りたいロケット、テレビ映像で仲間の様子を見て焦らされたイクシアなのよね。」
イクシア「なっ、俺!?そういうウチワだって常日頃アヤカシに対して恨み辛み言ってたじゃないか!一度殺されてるしさ!」
激しく言い合いするが話は進まない。
目に見えるぐらい嫌悪の空気が漂っている。
ウチワ「ワタシは単独で行こうだなんて考えたことはないよ。精霊覚醒も使えないしね。」
タートル「まー言い争いしてても始まらんぎゃ。それよりも事件の事を精査していくことが大事ぎゃ。」
フィーネ「それじゃあ第一発見時の事から。私が大聖堂に辿り着いた時、フェイにみんなを捜してもらうために上から見てもらったんです。」
フェイ『そしたら壇上にマークが座り込んでるのが見えたの。すぐにフィーネを呼んだけれどフィーネがたどり着くには壊れたり変にがれきが積んでて通れない所があったりワービーストもいたから時間がかかったの。』
イクシア「まあ、そこらへんはアヤカシのヤローの仕業らしいからな。」
フェイ『うん、それでねその間に少しマークが大丈夫か調べようとしたの。そしたら頭に……。』
ロケット「穴が開いていたわけか。」
フィーネ「その後私が合流あとはみんなが来てという感じですね。」
タートル「みんなは、どこに飛ばされていたんぎゃ?おいらは寝室の隅ぎゃ。」
ウチワ「私は別室の寝室ね。」
ロケット「俺はキッチンだったけれど物とゴミに囲まれて脱出も苦労する所だったのはわざとかなぁ。」
イクシア「俺は食堂だったな。机と椅子がこれでもかって言うくらい道の邪魔してくれてたぜ。」
フィーネ「私はこの部屋に。じる前提にはなりますが、全員大聖堂にはいなかったんですね。」
ウチワはタートルが作ってくれた地図を見る。
ウチワ「食堂、キッチン、2階の寝室、小部屋も含め一旦廊下に出て二つだけの扉を通らないと大聖堂には出れないのね。しかもどちらも一階。」
フィーネ「やっぱり何かがおかしいんですよ。罠で離ればなれになった時に狙いに行くなんて運頼りすぎます。」
イベリー『元々妖の手紙により行われた殺人です。感情的に熱り立って殺害したとは考えづらいでしょう。』
全員、困りはてて頭を悩ます。
イクシア「この事件、誰かが殺ったとしたらかなり無理が出てくるな。」
ロケット「でも妖はこの中の誰かと言っていた。」
タートル「この中の……この中の……?」
フィーネ「どうかしましたか?」
タートル「この中というのは、どの範囲までを示すんだぎゃ?」
イクシア「そら……5人だろ。」
イクシアが指で5を示す。
ウチワ「正確には5人と4匹。精霊を入れなくて大変な目にあったのは前回やってるよ。」
タートル「いや……それだけじゃ全員じゃなかいぎゃ。全員を含めるなら後一人と一匹。」
フィーネ「えっ!?そんなまさか!」
フィーネは顔の血の気が引いていくのを感じる。
ウチワ「はっきり言いなさい周りくどい。」
タートル「亡くなったマークさんとデリエさんぎゃ。」
ウチワ「あっ……!」
ウチワは驚いた声をあげ、イクシアとロケットも驚く。
イクシア「つまり、その、自殺……?」
タートル「まー可能性の話ぎゃ。でもまー不可解でおかしな部分を考えると考えを変える必要があっただけぎゃ。」
ロケット「それなら、座っていた理由もわかる。自害するのに立っている必要はないから。」
フィーネはメモを見返し、不可解そうな顔をする。
フィーネ「待ってみんな。それだとやっぱり変な事があるの。」
イクシア「え……自殺で決まりじゃないのか?なあもうそれで良いだろ?」
フィーネは首を横にふる。
フィーネ「確かにこんなこと凄く辛いけれど、でもほうっておいてはいけない謎はまだあるんです。そうたとえば、射殺の角度です。」
ウチワ「確か、上から下へ撃っているんだっけ?」
フィーネ「ええ、額から後頭部へ抜けている角度的にも父は上を見ながら撃たれ弾丸は下へ抜けて机に刺さりそのあとその衝撃で顔が下を向いたとしても、これは自害だとしたらおかしいんですよ。」
タートル「まー確かに、どちらかと言えば座ってるマークさんを上から射殺したとも見れるぎゃ。もちろん拳銃などが嘘証拠でなければぎゃね。」
フィーネ「あと、不確かなんですけれど、父は全員集まったとき目を開けていましたよね。」
タートル「それなら覚えるぎゃ。おいらが来た時目は開いてて、その後動けるようになったフィーネが閉じたぎゃ。」
フィーネ「ええ、ですよね。この解剖記録にも即死と書かれていますし場所も頭ですから目を開いてるのは自然だと思います。ただそれは他殺の場合。自殺の場合わざわざ目を見開いてするものなのでしょうか。」
イクシア「うーん自殺の気持ちは分からないけれど、そう言われると違和感があるなぁ。」
フィーネ「それだけではないんです。銃声は誰か聞きましたか?」
全員首を横に振る。
フィーネ「やっぱり。この教会、大聖堂の音はフェイの泣き声くらいでも居住スペースに届くほどそれなりに音は通す作りなんですよね。」
イクシア「確かに、俺ら全員銃声を聞いてないのは不自然だな。」
フィーネ「つまり父が死んだタイミングも謎なんですよね。」
ウチワ「時計を狂わしさらには死亡時刻もはぐらかす。ここに何らかのヒントがあるのは確かね。」
フィーネ「それに警察手帳。やはり落ちている場所が不自然すぎます。」
タートル「何かから逃げりゃーした、あるいはあの付近で殺さりゃーしたさいに落ちたぎゃか……。」
フィーネは前へと乗り出す。
フィーネ「自殺、他殺含めまだあらゆる可能性があります。必ずこのメンバーで解決しましょう!」
フィーネ「それが、どのような結果になるとしても。」
おまけ休憩所
フェイ『精霊覚醒って、結局何なの?』
タートル「精霊は普段人間からエネルギーのきっかけをもりゃー(貰っ)てそれを増幅して自然の力を引き出りゃーすのは、頭で理解してなくても何となくわかるぎゃ?」
フェイ『うん、いつもフィーネにたっぷりエネルギー貰ってるよ!』
タートル「精霊覚醒時、精霊と人どちらも繋がりゃーすのには光るのはこのエネルギーの流れが相互になるからなのぎゃ。しかもとてつもなく多く。」
フェイ『ふむふむ。』
タートル「自然から精霊がエネルギーを受け取りゃあて増幅し、それを人へと受け渡し、人はそれを心身の力で増幅して精霊へと返し、自然に還元するぎゃ。グルグルと互いに増えたエネルギーが巡り巡る倍々状態ぎゃ。」
フェイ『姿が変わっちゃうのは?』
タートル「それはその自然エネルギーが身体に多大な影響を及ぼして遺伝子レベルで成長した姿になるんなぎゃ。服装に見えりゃあすのはそのエネルギーそのものを纏っているからぎゃ。」
フェイ『心にも、そんな力があるんだ!』
タートル「この世界では引き出される力は少にゃーけれどあの世は逆に体が引き出せる力が弱い世界ぎゃ。どちらも最高に強く引き出せりゃあ奇跡のような力も巻き起こるぎゃ!」
フェイ『……あれ?ちょっとまって?精霊覚醒の時ってよく考えれば、全裸って事!?』
タートル「……精霊たちの格好も全裸と呼んで良いなら全裸って言う事になるぎゃね。」
──────
フィーネ、ウチワ、ロケット、イクシア、タートル。
フェイ、ウメ、イベリー、トマト。
そしてマークとデリエ。
誰もかもが怪しい中でこの戦いを終わらせる溜めにさらに奮闘する。
フィーネ「どうしてあの場所に警察手帳が落ちていたのか。やっぱり気になりますね。」
ロケット「その点だけど、今まで関係あるかどうか分からなくて出すべきか迷っていたんだけれど。」
そう言ってロケットが取り出したのはハンカチらしい布切れだ。
ロケット「人間の臭いがついてたから拾ったけれど正直どうなのか俺には分からない。大聖堂の入り口近くで瓦礫の下にあったのを引っ張ったんだ。」
ロケットからフィーネは布切れを受け取る。
フィーネ「これ……パパ、あ、父のハンカチです!これが瓦礫の下に……。」
ウメ『くずれるまえにーとおったーってことかなー。』
ウチワ「それも考えられるけれど、崩れた時に通ったとも考えられるね。」
フィーネ「あの地響きは結構長かった気がします。きっとアヤカシが色々壊したり配置するたびに地響きがなったんだと思います。」
イクシア「もしその時に大聖堂にいたなら、必死に逃げるだろうなぁ。」
ロケット「アヤカシが当てる気があろうがなかろうがそんな危険な所にはいれないからね。」
フィーネ「必死に逃げている時にもしこれらを落としたのなら、それなら可能性が十分にありますね!」
ウチワ「何度か地響きのたびに体勢を崩したら物くらい落とすかもね。」
タートル「と同時に、落としても取りに行くのを諦めるかぎゃね。」
イクシア「特に、これから死にに行く奴なら特にな。」
ウチワ「死ぬんならそれに当たっても良かったんじゃない?」
イクシア「それなら“事故死”じゃないか!多分アヤカシはそれで殺すような事はしなかったと思うぜ。それにそのやり方だとアヤカシの殺人事件にもなっちまう。」
タートル「まー確かにあの時、“手紙を受け取った相手”による“殺人事件”と言っとったぎゃあね。」
フィーネ「もし、アヤカシの言葉遊びに意味があるなら自殺だとも父による自殺だとも考えづらいんです。」
ロケット「殺人事件じゃなく自殺案件”とか何とかになっちゃうんだっけ。」
ウチワ「これまでのアイツの傾向から、言葉を濁す時はそこに意味があってハッキリ明言する時はそこが強い意味を持ち、断定しないときはこちらを惑わしたい思惑がある気がする。」
イクシア「これは聞いてみた方がよさそうだな……おいアヤカシ!」
妖「おー呼びでしょうかプレイヤーさん!」
妖は5人の中央に突然現れる。
ロケット「うわっ、本当に呼んだら出たっ!」
妖「やだなあ最近暇で暇で仕方ないから呼ばれたらいつでも行くよー。」
ウチワ「都合の良い彼氏じゃないんだから。」
ウチワは呆れるように首を下に向けて横に振る。
イクシア「まあ良い、とにかくこれは“殺人事件”なんだな?自殺案件でも事故死でもないんだな!」
妖「まあ、結構たどり着くとこまでそれなりたどり着いたみたいだから言っちゃうよ?」
妖は一息ついて思い切って煽るかのように奇妙な斜め立ちをする。
妖「あーたーりーまーえじゃん!殺人事件って言ったんだから殺人事件だよ!誰かが誰かを殺した、それしか殺人事件って言わないよ?」
全員が嫌な汗をかく。
一人候補は減ったが逆に話の進行具合は後退してしまった。
妖「自分が、自分を殺すのと、あらゆる災害が人を殺すのと、僕が相手を殺すの以外が今回の殺人事件の定義さ。せっかくの舞台用意したんだ、じっくり楽しんでいってよ?」
そう言うと妖は消えてしまった。
タートル「……そう言えばマークさんがここに来りゃあした理由、今ので半分分かった気がしたぎゃ。」
ウチワ「今ので?」
タートル「ここはアヤカシの用意した舞台。つまり事前にここで殺しが行われるようにされていたと思われるぎゃ。アヤカシの手紙で場所を指定されていたとしたら犯人はそこに誘い出す事ができるぎゃ。もしアヤカシが手紙を送ったのがマークさんならそれで後から来るって言ってたのが分かるんだぎゃなあ。」
フィーネはメモを取っていく。
《パパがパパを殺すのと、事故で死ぬのと、アヤカシがパパを殺す→無し》
フィーネ「あっもしかしてその可能性が……。」
ロケット「え?今度は一体何が?」
フィーネ「今の話、もう一度書き起こしてみたの。それで分かったんだけれど私たちが殺す以外にもう一つ可能性があること。」
イクシア「俺的にはそっちの可能性の方が良いな。」
フィーネ「自分で自分、つまり父が父自身を殺す可能性は無くなったけれど、まだ一つ消えてないんです。精霊が宿主を殺すという可能性が。」
フェイ『ええっ!?デリエはそんな事しないよ!』
フィーネ「うん、もちろん普通ならしない。けれど手紙が父の元に、父とデリエの元に届いていたとしたら。」
ウチワ「精霊が人を殺す事はDブロックで証明済みね。もしそれで結果自分も死ぬことになっても殺人は殺人。」
タートル「そう言えば起きたのは酷い地響きの時と全員言っていたぎゃね。もし銃声を引いたのがそのあたりなら崩壊の音に紛れるぎゃ。」
ロケット「かなりすさまじかったからね。こうお腹に来るような。」
ウチワ「だけどそれだけではまだ可能性の話。ワタシたち全員の疑惑が晴れたわけじゃない。」
フィーネ「ええ、確かに。でもコレもきっと大事な事です。」
フィーネは考えていた。
確かまだまだ弱いがきっと今までの情報を照らし合わせる事で犯人を絞れそうだと。
メモを振り返って行く。
ロケット「でも、ここからさらに犯人に繋がる事なんてあるのかな。可能性がさらに広がってしまった感じもあるけれど。」
イクシア「気合いで新情報誰か出せないか!?」
イベリー『気合いで情報を偽造されても困ります。』
ウチワ「情報が多すぎても混乱するけれど、こう少ないのもね。」
トマト『おうえんしてる……ぐう。』
タートル「応援だきゃあなくて一緒に考りゃあてくれぎゃよ!」
フィーネ「あ……そうだ!犯人を特定するというより犯人じゃない可能性を薄める事ならできるかもしれません。」
フィーネの発言に全員注目する。
フィーネ「まず前も言っていた通り、殺害されたのは転送の罠を受けた後。アヤカシの罠の後の殺害は不確定要素が多すぎるしあまり計画的ではありません。」
ウチワ「罠の前に殺された可能性は?」
フィーネ「その場合も自分が真っ先に壇上にたどり着く確証が少なすぎるうえ、遺体を隠し場所から出すのを考えると余計に困難で考えづらいんです。」
タートル「ワービーストも多くて、急ぐにしても難しいぎゃね。」
ロケット「確かにやっぱりこの5人には犯行が難しくなると言う事かぁ。」
フィーネ「さっきはそれのせいで不可解になっていましたが、今はこの状況でもデリエだけは殺人ができる可能性があるんです。」
フェイ『で、でもまだトリックを使ったかもしれないじゃないの? 』
フィーネ「もちろんその可能性もある。だからさらにここに重ねるんです。私もそう言いましたし解剖記録もとくになしと書かれている事も大事なんです。拳銃を使われているのに争った跡がないという事が。」
タートルは納得したように手の平に拳を上下でポンと合わせる。
タートル「にゃーるほどぎゃー。さっきはそれのせいで座っていることも争いの形跡がにゃあことも違和感があったぎゃ、精霊に自分自身を殺させるとしたら寧ろ自然!」
ロケット「一つ一つがバラバラで証拠としてはわけが分からなかったけれど、一つの事を中心にしたら全部繋がる!」
ウチワ「ちなみにさっきトリックとかフェイが言ってたけれどそれは恐らくないよ。その線でワタシが調べて天井近くまで探し回ったんだからね。」
フェイ『えう。ということは……。』
フィーネ「ねえフィーネ、ちょっと銃を持って欲しいの。ロックは掛かってるから大丈夫。」
フェイ『う、うん。』
フェイは小型の拳銃を重そうに持ち上げる。
トリガー部分に前脚を通して後ろ脚で支えてのぼっていく。
拳銃はフラフラと下の方向に銃口を向いている。
フィーネ「そして拳銃には目立った血痕はなかった。」
ある程度の高さになったフェイを見上げ、フェイの持つ拳銃を手で支え自分の頭部と直線上に銃口が向くようにする。
フィーネ「デリエは警察だからロックが外れた拳銃の弦をどう引けば良いかくらい分かってたのは私たちも知ってる。」
フェイ『ひとりでも撃つくらい出来る!って言ってたね。確か、こう。』
ロックはつけたまま、後ろ脚とフィーネの手によって固定された拳銃のトリガーに前脚を引っ掛け強く引く。
スムーズにトリガーは引かれ、止まるまで引かれた。
フィーネ「今はロックが掛かってるから弾は出ないけれど、これと似たような事が起きれば。」
フィーネはフェイから拳銃を受け取る。
フィーネ以外の4人とも驚きや感心したような表情をしている。
ロケット「自殺ではなく殺人をするために……。」
ウチワ「シンプルながらとんでもなく手の込んだ自殺ね。」
イクシア「それをアヤカシがかき乱しまくったわけか!」
タートル「まーでもここまでグチャグチャやから一度整理してから確定した方が良さそうだぎゃ。後から別の可能性が見つかったら最悪ぎゃ。」
フィーネ「ええ。最後に事件を纏めましょう。事件を、終わらせるために。」
事件は妖の手紙から始まる。
殺害依頼の手紙。恐らく今回もこの事件解決のため先へ進む条件などをちらつかせて。
5人が教会へ向かった後、マークたちも手紙で書かれていた舞台である教会へ向かう。
マークと精霊デリエは光の精霊術の特に守りが得意だから外にいる光が苦手なワービーストたちから攻撃を受ける事もなく精霊術で獣除けしながら来るのは簡単だっただろう。
教会に来た時に妖が舞台作成のために教会内をめちゃくちゃにし、外にも瓦礫を無理矢理積んで閉じこめたさいかなりの衝撃と騒音が響いてまず天井から落ちてくるものを必死に除けながら壇上の方まで逃げた。
出入り口は妖が閉じちゃったから出れなかったからだ。
そのさいに警察手帳やハンカチを落とした。
なんとか瓦礫のない場所まで逃げ切ったマークたちは協会内の別の場所を妖が荒らす中自分たちが間違っても別の要因で死ぬ前に事前に決めてあった殺害を決行する事にした。
ここらへんの衝撃で5人はそれぞれ起きたのだろう。
あまりにも強い振動と音が体の芯まで揺するほどで妖がやりたい放題荒らしていた。
そしてその間に覚悟を決めたマークが座って精霊デリエが拳銃を持つ。
マークに支えてもらいながら照準を頭に合わしして殺害した。
自殺は殺害に含まれないことも手紙に明記してあったのだろう。
妖が明言すると言うことはルールとして細かく決まっているということなのだから。
だから精霊デリエが引き金を引いたのだ。
妖のルールの裏を突く、妖に食らわせる一撃を。
「ですよね、アヤカシ。」
フィーネはそう言ってまばたきした時には妖は目の前にいた。
「うわー、正解しちゃうか。もはやその推理力は超能力レベルだね。」
妖は大きく後ろにのけぞってダメージでも受けたかのように動く。
「答えがでず苦しみあがき時間切れか誤答しちゃうかと思ったのに案外早く決着ついたね。たった40時間だ。」
ロケットは驚く。
「えっ、もうそんなに。時間よく分からなくて適当に寝たりご飯食べたりしたから分からなかった。」
タートルはぐったりとした。
「そう数字を言われると一気に疲れが来るぎゃ……。」
妖はフィーネの側まで歩き、尋ねる。
「でもさあ良く分かったね、自殺禁止ルールの裏。それに彼らがそこまでの覚悟で自らの命を差し出すってこと。」
フィーネは怯まず答える。
フィーネの慎重よりも数十センチ高く見上げる形だ。
「犯人を6セットの中から選ぶという考えではなくて11の中から選ぶという事は書いてみて気づきました。そして父が自らの命を“殺害”するというのまでするのは、父ができうる限りの事はするって言ってくれたから。父は言ったことは守ります。」
アヤカシは空へと飛び、大笑いする。
「親子愛って奴だねえ!守ると決めた仲間からは散々疑われ、こんな場所に閉じこめられギリギリの事までし向けられたっていうのに健気なもんだ!」
フィーネは一歩踏み込んで反論する。
「あなたは何も解っていない!父は何時だって私を守ってくれて信用してくれたから私がその託された想いを受け取ったんです!そして疑うと言うことは相手を信用したいから知るという心なんです!信じるからこそ疑うそんな想いこそが絆に変わっていくんです。だから私がみんなを守りたいという気持ちは、何一つ変わらない!」
ロケットも頷いてフィーネの隣に並ぶ。
「アヤカシ!お前が何を企もうと俺らは仲間だ!傷つけあい例えお前のせいで殺し合いをしたとしてもその思いは変わらない!お前のせいで亡くなった人達の思いも俺らは繋いで行くんだ!」
ウチワは銃を妖に真っ直ぐに突きつける。
「若い人達は熱くなってるけどワタシは最初から変わらない。貴方に借りを返して貰うまで引く気はないよ。例え貴方が犠牲を増やしていこうとも、ワタシはそれ以上救うだけさ。何に対しても貴方に負ける気は無い。多くの人の力を合わせても絶対にね!」
イクシアはフィーネ達の前に立ち、両手を下向きに広げ話す。
「俺は器用じゃないから他の奴らみたいにポンポンと台詞は言えないんだがよ、これだけは言えるぜ。俺は俺の背負ったもの全てのためにお前に勝つ!」
タートルは腕を組み、妖を見上げる。
「おいらはみんなみたいに大変な思いも葛藤もあんまにゃーけど、王国騎士団の一人としてそして友人として託された事をしにいくだけぎゃ。」
タートルは結晶に閉じこめられた精霊ホライズンを取り出し、掲げる。
「この子ここから出すという事ぎゃ。そのために必要ならば。」
『お前を殺す。』
トマトが赤く染まり妖に腕のはさみを向ける。
『デリエのカタキ、絶対取ってやる!』
フェイは熱り立ってぶんぶんと激しく飛び回る。
『ゆっくーりするためーにがんばろー。』
ウメはウチワの側で浮きながらそう言った。
『今の私たちなら貴方にすら対抗出来ますよ。』
イベリーはひらひらとイクシアの近くを舞う。
「プレイヤーはプレイヤーらしくしていれば良いのにさあ。」
妖は少し笑い気味にそう言った後、暗い眼を光らせて言い放つ。
「ギャンギャン吠えるなよ雑魚共。」
圧倒的。
ただその一言に尽くすほどの気迫がフィーネたちを包む。
まるで初めて妖がフィーネたちと出会った時のような圧倒的に異質かつ強大な存在の放つプレッシャー。
あらゆる事で戦い続けてきた5人と4匹はこのプレッシャーの意味を寧ろ理解出来てしまった。
未だ実力では挑む事すら出来ないほどの絶望的力量差。
妖が一つパンと拍手すると自然とプレッシャーは収まる。
「よしじゃあ早速行こうか、遺体の元に!」
先ほどの声とは違い普段の場はずれな明るい声へと戻る。
言われるがまま大聖堂の壇上へと行くと、妖が再び現れた。
「それじゃあまずはご褒美として彼らの死に際をムービーでご覧ください、どうぞ!」
辺り一面に光が走り、映像のような少し実体よりも度が荒い光景が広がる。
「アヤカシ自身も自分が映像だと言っていたし、今はこの全域映像って事なのかもね。」
ウチワがそうつぶやいた。
教会に入ってくるマークと精霊デリエ……の映像。
扉も映像だけは開く。
おおよそ推理通りに教会が崩壊していく中を駆け抜けるマークたち。
そして壇上へと上がり、机を背もたれにするようかのようにマークが座る。
『やるんだな、マーク』
精霊デリエがマークに尋ねると頷いた。
「ああ、この教会そのものがこんなに壊れていってるのならいつ俺が死んでしまうか分からないからな、なるべく早い方が良い。」
デリエに拳銃を渡し、デリエは構えマークが向きを支える。
『なあマーク、もう別れの言葉はさっき散々話しあったけどあと一つだけ言わせてくれないか?』
デリエは尻尾を身体に寄せる。
「ああ、最期だからな。」
マークがそう言ってる間にも地響きであちらこちらが崩壊していく。
デリエは引き金を少し前脚で寄せてから言う。
『最高だったぜ相棒との生きてきた時間。あの世で会おう!』
デリエが強く引き金を引く瞬間、マークも一言つぶやく。
「俺もだ。」
轟音と地響きが一人と一匹の死の音をかき消していく。
煙が出た拳銃を三毛猫の精霊は捨て、手を降ろした人間の元へと何かを叫びながら飛び込み、白い石となってそのまま地面へと落ちていった。
「まあこんな感じで気合い入れてみたんだけどどうたったかな?」
妖はくるくると周っている。
ウチワは呆れて話す。
「こんなに一部始終撮ってるなんて趣味が悪いなんてものじゃないね。」
フィーネは映像を見ているとき心の闇が雲になり、すこしずつ雨となるのを感じていた。
「ねえ、ロケットさんごめん、少し何も言わないで。」
「えっ?」
フィーネは俯き肩で息をしている。
驚くロケットの胸に思い切って飛び込み、声を上げて鳴き始めた。
「うぅ、ああー!うわああああ!!」
ロケットは何も言わず、目を閉じて抱きしめた。
「うんうん、涙無しでは見られない全ての米が感動するような物だよね!」
妖はわけのわからないことを言いながら映像を消し、デリエの精霊石を拾い上げ壇上に置く。
「さて今回マークくんを殺したのはデリエくんということでデリエくんは復活出来ないんだよねー。でもマークくんは犠牲者なので復活させたい。じゃあマークくんだけ復活させちゃおう!」
最後の言葉にとてつもなく嫌な雰囲気が纏う。
フィーネに泣かせたいままにしているロケットもそれを聞き取って妖を睨む。
「何をする気なんだ、アヤカシ!」
アヤカシは大きく笑ってフードの下でとびっきりの笑顔を作る。
「何って、こうさ!」
妖がマークに向かって手を翳すと電撃のようなものが走り、マークの遺体の足下からマークの遺体が包まれていく。
シルエットをはっきりと残したまま闇が包むと宙へ浮き、シルエットが大きく形を変えていく。
脚は獣のように、けれど二足のままで。
頭も野獣のようにたてがみが短くなっていき顎がさらに伸びていく。
身体も異常なほど筋骨化していく。
見ているロケットたちは寒気がした。
このシルエットに似たものは見たことがあった。
「マークくんのふっかーつ!」
闇が解けるとそこに現れたのはワービースト。
服はサイズに合わず破れたり脱げたりしていて、残りもワービースト自身が振り払う。
人間だった頃の名残を消すように。
既に正気などはなさそうで妖が渡したどこから持ち出したハンドガンを2丁を両手に持ち、ロケットたちに向けた。
まるで人間だったころを懐かしむかのように。
「じゃ、頑張ってね!」
おまけ休憩所
1日目
惨事があったので少し日記に記すとする。
正直すぐにどうにかなると思いたいが。
2日目
仲間がまたやられた。
獣どもめ、一体どこから。
3日目
今日はたくさん獣を狩ったが俺は少し負傷してしまった。
闇のような何かが傷口に見えるとのことで色々治療は受けたから大丈夫だろう。
獣たちは精霊術も使ってこないし余裕だ。
4日目
日に日に獣たちが強くなっているらしい。
俺の傷は思ったより治りが悪い気がするが、折角なので休む。
5日目
ひどい熱だ。
傷口から変な病気でも移ったか?
6日目
ワービーストとかいう奴らがあらわれたらしい。
いまのおれにはあまりかんけいない。
7にちめ
なんだかすごくつかれる
きずはなおったとおもうのに
8にちめ
なぜ おれそとに
かくり?おれ しぬ?
9にちめ
きのうまで うソみたイ
チョうしいい はらヘル
10
クッタウマイ
キタヤツマッカ
∞
モラツタツヨイ オレツヨイ
Ю
─ス─テ カ─ガ──ナ─
以下の文章は何者かに食べられるように千切られている。