fruitFRUIT4章 不必要な代償
ウチワは見事事殺人事件を解決した!
fruitFRUIT4章
キャラクター説明
ブレイヴ・O・B・アレキサンダー
O・B・はオールファウンド・ヴォルテニア。
この国の隣国、武の国の王族の第一王子。
慣わし通り匿名で旅をしている。
光熱を扱う精霊術を使いこなし、【キングブレス】で爆発性の光熱を吐き、【ボムライト】で光を爆発させる。
尻尾の先の毛はくせっ毛になりやすくいつも手入れがかかせない。
王国騎士旅団
ただの旅人一行改め王国騎士旅団。
武の国の王子たち3人の匿名の旅で最強とは何かを理解するために慣わしで旅をする。
最高性能の武具は大半は自力でそろえたがたまにロックが秘密裏に調達させた。
7話【痛み無くして進展無し】
フィーネはウチワ以上に衰弱していた。
あまりにも長い間死んでしまっていたせいか体力は致命的に落ち半日以上眠り続けたり、歩行もリハビリが必要なほどだ。
数日間は突入組に手伝って貰いながら体調を回復させていった。
ウチワに話相手になってもらったり、タートルと一緒に散歩したり、イクシアと一緒に精霊術の感覚を取り戻したり、ロケットと一緒に動きを取り戻したり。
防衛組は町の戦闘が出来る人達を率い、強敵や戦闘前線を押し広げる事にした。
町の防衛や討伐依頼は各ブロックごとに依頼書としてまとめられ、腕利きのハンターや旅人たちがこぞってこなした。
突入組も自身の強化や突入するための不安要素を少しでも減らすために積極的に依頼をこなした。
フィーネが回復してきた頃には居住空間が以前よりはずっと回復し人々が安心して暮らせる場所が確保出
来るようになっていった。
そして今日、Aブロックへ通じる大通りに5人と二人、そして6匹の精霊は立っていた。
「これはみなさんお揃いで!さあさこちらがAブロックです!」
妖がやってきて、Aブロックへの狭間の壁を一部開く。
町の中央部のAブロック。
警察署、役所、そして教会。
町の主要施設がそろうAブロックがついに開かれる。
わざとらしく壁に凝ったギミック仕掛けでゆっくりと開く。
「では、もっと後で会おうねー!」
妖がそう言って消える。
ロケットたちは開いた穴を見る。
「よし、行こう!」
5人と4匹は返事をして足を進める。
「ガンバれよー!」
「危険が迫ったらすぐに帰ってこい!」
ブレイヴとロックが見送り、穴をくぐり抜ける。
ロケットたちはこの数日間より強くなる獣たちに合わせその素材や希少な物を使った武具に変更した。
武器は全員ミスリル製になった。
ミスリルとは銀の合金でさらに精霊術で多くの加工が施されている。
よくしなりなおかつ頑強で精霊術そのものもより強く引き出す、一般にはあまり流通していない品だ。
ブレイヴの剣もこれで出来ていてミスリルで出来た剣はその美しさから退魔の剣と呼ばれている。
と、同時にミスリル品は使用者を選ぶ。
技術がなければ独特の質が手に馴染まず振るう事すら出来ないと言われている。
金属が人を選ぶ事からも一般にはあまり普及していないのだ。
防具はロケットは攻撃を受け流す事を重視した古来からの技術で獣の素材をつなぎ合わせた服だ。
フィーネとウチワの守りのリングは強化限界なのでウチワのキャッシュでプラチナ製のプロテクションリングに変えた。
フィーネは腕だとそのつど外してしまうのでじゃまになりにくい首輪タイプに変更した。
プラチナは精霊術との相性がよく遙かに強い守りの結界を張る。
首輪と足輪、それぞれデザインも凝っていて小さくさりげなくなおかつアクセントとして輝くようにデザインされている。
イクシアは無法者のような荒々しい服のデザインはそのままにさらに力と防御力を上げる精霊のデザインがされ肉体そのものが強くなった。
タートルは獣の中でも虫の外郭を重ねた鎧で重さはそのままに遙かに防御力を高めることができた。
なお装備は以下のように変更される。
ロケット→ミスリルハンマー、古精鋭兵の獣服
フィーネ→ミスリルスティック、天使の盾、精霊のはごろも、プロテクションリング
イクシア→ミスリルソード、聖騎士の盾、精霊祈願のインディー服
ウチワ→ミスリルハンティングガン、貴婦人の特注服、プロテクションリング
タートル→バグアーマー
装いも新たに新ブロックに乗り込んだ5人が見たのは、暗闇に覆われた光景だった。
今は朝と昼の間でここまで暗いのは異常だ。
「なんだか、凄くイヤな空気。」
フィーネがそう呟く。
ただ暗いだけではなく雰囲気も独特に暗い。
Aブロックは広くは無いが重要施設が揃っている。
ここはこの町の脳のようなものだからここを相手に掌握されていたのは最悪だった。
「人は、どこにいるんだろう?」
ロケットが暗い中を見渡す。
見える施設は教会、警察署、役所。
そして……。
「あれ?あんな建物あったっけフィーネ?」
ロケットに尋ねられフィーネは目を擦ってもう一度見、信じられないその光景を見上げる。
「こんな塔見たこと無い……!」
驚きの声を上げ、上へ上へと視線を移していく。
その塔は中央に大きくそびえ、どこまでも空へと向かって行ってやがて闇に飲まれ見えなくなる。
「あんなに立派な塔まで建てて、まさにここにいるってアピールしているようなものね。」
ウチワがそう行って、先へと歩む。
『とりあえず行ってみようよ!』
フェイがそう言って後を追い、他のメンバーも続いて歩いた。
塔の大きさは相当なもので歩いて近づくほどそれは威圧感を増していった。
元々Aブロック中央は大きめの公園があったがそれが全て潰されたのだろう。
「何か、あの塔凄く怖い。」
フィーネがぎゅっと自分の服を掴む。
それにロケットも同意するように頷く。
「あの塔、まるでこちらを抑えつけてきているかのようだ。」
さらに歩み、塔に近づいてやっと扉が見えてきた。
金属で出来たドアのようだが遠くからではどう開くのかは分からない。
さらに近づこうとした時にフィーネに悪寒が走った。
「危ない、回り囲まれてる!」
慌ててスティックと盾を取りだし構える。
その声に驚き他のメンバーも構えるが敵の姿は見えない。
イクシアが周囲を警戒しながらフィーネに尋ねる。
「なあフィーネ、その敵はどこなんだ?まるで姿は見えないが。」
フィーネが観察強化を使い、敵の位置を視る。
「それぞれの正面近くにいます!これは多分、影……?」
瞬間、フィーネ達の回りに5体の黒い物体が地面から出てきて形づくる。
まるで闇から出来たそれはやがて色付き獣のような人のような奇妙なものになる。
足は獣の足のようだが二足歩行し手には爪のような刃、クローをはめだが顔からはまるで理性を感じさせない獣そのもののような顔をしている。
狼型の獣ではあるがこんなタイプは初めてだった。
「人……?それとも獣なの……?」
フィーネが観察しているがロケットはフィーネに注意を促す。
「分からないけどこいつら話を聞いてくれそうにない!来るよ!」
その声と共に人型獣はクローの爪部分を大きく振りかざしてきた!
ロケットは受け止めそのまま流すがすぐ次の手がとんでくる。
フィーネは盾で受けてそのまま下がる。
ウチワはウメを瞬間的に使い範囲広く雷撃を放って一瞬敵の動きを止めからバックし銃を構える。
イクシアは剣で爪と鍔迫り合いをし、盾でそのまま殴って相手を引かせる。
タートルは一度真っ直ぐ腕の鎧で爪を受けそのまま弾き飛ばす。
囲まれているせいか下がっても味方がすぐにいてあまり下がれなかったり、敵がかなり協力してクローで切り裂いてきてかなり苦戦を強いられる。
「こんな、考えて、戦いを挑むなんて、どう考えても、おかしいぎゃー!」
ある程度実力をつけていた分余計にここまで苦戦するはめになるのは奇妙だった。
相手が軍人のように高度な技と戦術を持っているかのように襲ってきているのがより不気味だった。
ロケットが何とか鎚での一撃を敵に当て、ガードされたが吹き飛ばしたさいに氷をとばして相手の足に着弾させ氷が足を覆うように広がって固定する。
「ここから逃げよう!フォームレボリューション!」
ロケットが光に包まれ変身する。
「フォームフォルテッシモ!みんな走ろう!」
一瞬出来た隙間を使って無理矢理ロケットが走り抜ける。
爪には爪を。
氷を解いた敵の爪を前脚で受け止め重量でそのまま押し切る。
その間に全員走り塔から離れ近くの警察署へと走る。
「いてっ!このっ!」
ロケットが一匹抑えたのは良いが代わりに4匹が爪で後ろ足を引っかく!
負けじと後ろ脚で蹴り飛ばす。
ここ数日の間で分かったことだがこの姿の時ロケットは一切の精霊術を自ら使うことは出来ない。
そのかわり誰かの精霊術を強くすることが出来る。
「ロケットさん!フェイ、ロケットさんを助けて!」
フェイがフィーネのスティック通りにロケットへ向かい精霊の光をかける。
そしてそれをロケットが受けると身体が輝いて強く光る!
すると敵の爪が急に弾かれるようになった!
『防御強化をロケット強化だよ!これなら大丈夫!』
フェイがそう言いつつフィーネの元へ戻る。
「ありがとうフィーネ!フェイ!よし俺も!」
クローが弾かれると知った人型獣は大きく吠えるとクローに何やら赤いエネルギーを満たす。
「せ、精霊術ぎゃ!?逃げるぎゃ!あんなので攻撃されたらひとたまりもないぎゃ!」
タートルも必死に走り、フィーネとイクシアに引っ張ってもらいながら逃げる。
ロケットも全員一定以上離れたと確認すると自分も直ぐに駆けだす。
その時同時に敵も赤いクローで飛びかかる!
「ギャイン!」
警察署の扉は開いているようだったが玄関には人の気配はない。
また敵たちもこの中にまでは追ってくる敵はいないようだ。
『うわーいたそー。』
「手ひどくやられたねコレは。」
ロケットは既に人型に戻っていたがダメージは残る。
血をここまで垂らしながら何とか逃げてこれたので追っ手は不安だったが一定距離以上からはついてこなかった。
「回復強化!」
フィーネが自然治癒を高める術をロケットにかける。
幾分か顔色がマシになるが流石にロケットは辛そうだった。
今回は服は無事だが足は刺し傷だらけで尻尾はなんと半分になっていた。
「これも寝れば治る……んだろうけど、俺でも尻尾切れるのは痛いぜ。」
イクシアが傷の状態を見ながら言う。
「うう、俺の尻尾今頃あいつらのご飯かあ。」
頭をくしゃくしゃとしながら治療を受け、横になる。
「床で悪いけどここで寝て回復していてくださいね。」
フィーネはロケットにそう声をかける。
ロケットは頷いて目を瞑った。
「さて、俺はこいつのこと見てるから中を少し見てきたらどうだ?」
イクシアの提案に三人は頷き、油断しないように装備を構えながら中の探索をそれぞれ始めることにした。
おまけ休憩所
ロケット「フォームフォルテッシモ!」
イクシア「結局どんな技が使えるんだ?」
ウチワ「私とウメの雷なら帯電してさらに周囲に放電したりできたね。」
タートル「おいらとトマトのならロケットさんごと水ににゃーってもう大洪水起こせたぎゃ。」
フィーネ「回復強化を使ったときはその凄かったです。獣以上に直ぐに止血したり傷が埋まったりするから何だか怖いくらい攻撃受けながら戦えて……。」
ロケット「フィーネ自身は少しだけしか影響無かったから気をつけないと危なかったけれどね。」
イクシア「そいや俺との合わせ技やったとき地面を無理矢理割れさせて敵を落として閉じたりしたな。アレやられる側だとぞっとするわ!」
ロケット「一番ゾッとしたのは俺ですよ!俺の近くから割れたんですから!」
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キャラクター説明
フィーネ・フロート4
尻尾の黒斑点がチャームポイントの
犬の女の子。
死んでしまったがそこからの復活でまた心も体も技術も大きく成長した。
能力数値的な成長だけでなく目に見えない直感的な何かすらも……?
“光球”は数少ないフィーネの攻撃術。
で相手を浄化するほどの光のエネルギーをぶつける。
“解呪解消”は呪いや毒などの状態の悪化を解く術。
これができると教会で働ける。
ロケット4
赤と白のカラーがかっこいい犬の男の子。
仲間を守るために果敢に敵を引きつけダメージを受ける役回りがどうしても多くなるがそれはそれで自分の役回りに満足している。
“フォームレボリューション”で別の姿になれる。
“フォームフォルテッシモ”で2mほどの高さの獣のような姿になり術と引き替えに強大なパワーと野性的感性、それに好戦的なら心を手に入れる。
“フォームピアニッシモ”で基本的な人型になれる。人型はあらゆる局面で対応しやすくまた最も平常心で豊かな心を持つ。
─────
戦いに備え、常に盾を構えながらフィーネは進む。
観察強化を使い周囲を警戒しながら進む。
「もし、次にあんな強敵にあったらちゃんと逃げれるかな……。」
新たな敵は武器を使い、頭も使い、そして精霊術のようなものを使った。
タートルによると爪に赤いオーラを纏わせる術は軍隊の兵士、特に狂戦士と呼ばれる職が好んで使う闇系統の術で、武器の切れ味を格段に上げる術らしい。
盾ごと切り裂き鎧を紙のように斬る恐ろしい術で精霊のいない獣たちは当然精霊術は使えない。
『次会ったら見つかる前に逃げなきゃね!』
フェイの言葉に相づちを打ち、さらな進んで行く。
精霊術が使えないはずの相手が精霊術のようなものを使い、まるで人のような姿形をしてるのに獣そのものの敵。
影から突然湧いてきた事と良い、人間を模した姿といい、妖が関わっているのはほぼ間違いないだろう。
敵の気配はないが上の方からは良く耳を澄ませば生活音らしきものが聞こえる。
階段を上ると精霊術で作られたと思われる鉄製の壁があった。
調べると端だけ横にスライドして通れそうなので扉を開け、中に入る。
「おじゃまします……ええっ!?」
イクシアが見てるとロケットが目を覚ました。
尻尾もちゃんと治ってるようだ。
「おお、起きたな?尻尾ちょっと前より伸びたか?」
ロケットは寝転がる体制から座って自分の尻尾をつかんで見る。
「そうかな?前に戻っただけなような気もしますけど。」
軽く振ってちゃんと動く事を確認し、立ち上がる。
「それじゃあフィーネたちを追いましょう!」
鞄からスティック状のお菓子を取り出して使ったエネルギー補給した。
イクシアたちは武器を構えつつ奥へと進み、誰もいないのを確認するとさらに先へ。
ロケットの嗅覚探知は事前ににおいを覚える必要と集中する必要があるのでどちらも出来ない現状は地道に徒歩で探索するしかなかった。
中は薄暗く灯りは最低限のものしかない。
逆に言えばまだ通電しているし人がいる可能性もあった。
一階の探索を終えて二階へ行くと、鉄製の壁が道を塞いでいた。
「これは……通れないなあ。」
完全に廊下と壁は密接し通らせる気はまるでない。
『精霊術で作られた壁のようですがこの場合人の往来は可能な道があると考えます。』
イベリーがそう言ってイクシアが壁を軽く叩いてみる。
「うーん、かなり分厚そうだな。ロケット、目だけじゃなく鼻ならどうだ?」
ロケットがそう言われ返事する。
「うん、探してみる。」
においを嗅いでみると一カ所だけ何か多くの人らしきにおいが隅に一カ所だけ集まっているのを感じた。
「ここだけ不自然ににおいが集まっているんだけど、それ以上は。」
イクシアがやってきてその部分を軽く叩いてみる。
「どれどれ……おっ、ここだけ音が違うな。中は空洞か!」
イクシアはその部分を思いっきり押してみる。
だが、壁はびくともしない。
「うーん、違うか。」
ロケットは今度は手前に壁を引いてみる。
「押してだめなら引いて……!」
壁を掴もうとするがそれすら出来ない。
『違うようですね。』
イクシアが数秒考え、何か閃いたように叫ぶ。
「そうだ!こういう時こそ魔法の呪文!開けーゴマ!」
声はむなしく響いていく。
こだまが聞こえなくなる頃、何と!扉がゆっくりと開いていく!
「えっ!?今ので開くの!?」
ロケットは驚いてイクシアを見るとガッツポーズを思いっきり取っていた。
扉が開ききったその先に、一つの影。
「あんたたち何騒いでるの?」
ウチワが開けてくれただけだった。
扉の先は比較的明るく生活するには問題なさそうだった。
食料も積んでありまた生活感があちらこちらあることから大分長い間ここで籠城していたようだ。
警察関係の人たちも多く居て、何やら会議や話し合いやら行っている。
「さっき一通り聞いてた感じだと、この警察署以外は既に獣の巣になっててここが最終防衛線だそうよ。」
ウチワが解説しながらフィーネの元へとロケットたちを連れて行く。
3人共、割と早くここにたどり着き中で現状を教えて貰っていたらしい。
会議しているところによく見るとタートルも混ざっているようだ。
「フィーネ、ロケットとイクシアたちも来たよ。」
案内された先にはフィーネと見知らぬ男性がいた。
初老ほどの男性はたれ耳で顔は恐く赤茶色と白の模様の顔だ。
服装を見るに刑事のようだ。
「あ!ロケットさんとイクシアさんとイベリーさん!」
フィーネがウチワの声に気づいてこちらに声をかける。
「お待たせ!ええとそちらの方は初めまして、俺ロケットって言います。」
強面の男性は頷き、話す。
「ああ、フィーネから話は聞いてる。俺はマーク・フロート。刑事だ。」
どこかで聞いたことのあるファミリーネームにロケットは一瞬考え、まさかと思いフィーネと男性交互に見る。
顔は全く似てないがたれ耳と尻尾が良く似ている。
「あ、そうそう刑事でもあるけれど私の父親なの。」
イクシアも遅れて気づいて思わず声を上げる。
「ええーー!?」
おまけ休憩所
フェイ『そう言えば前にちょっとだけ気持ちが変わるって聞いたけれど変身するとそんなに違うの?』
ロケット「うーんうまくは言えないんだけど、なんか血を求めるというか俺より強い奴に会いに行く!みたいな気分になるんだ。」
ウメ『せんとーみんぞくー。』
ロケット「獣を倒した跡で口回りと前脚に血がついていると、割とみんな引くよね。」
イベリー『どちらかと言うと多くの人は血よりもその顔に怖さを見るようです。』
フェイ『喰ってやったぜ!もっと喰ってやる!みたいな目だもんね。』
ロケット「ええっ!?そんな顔してるつもりないのに!まあ割とその時は楽しいのは事実だけど別にそんな悪意は……。」
トマト「勘違いは……されるもの……ぐう。」
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キャラクター説明
ウチワウスイ4
黄羽根と青飾り羽根、金の尾羽根が美しい腕が羽根に変化する鳥族。
一貫して妖に貸しを返して貰う事を信念に困難に立ち向かうが先の事件で攻められ弱さを何とか克服した。
“ショットガンボルト”で近接広範囲に電気を素早くばらまく。
“スピードスター”で電気の力で行動速度を高める。
イクシア・アイアン4
綺麗な緑の鱗を持つトカゲ族。
リーダーの遺志をついで妖へと立ち向かう。
最初は困惑していたが少しずつ自分がメンバーを護っていくという意志を今まで以上に固めていく。
“ダブルソード”で二刀流にスタイルを変える。
“オールガード”で両手盾にスタイルを変える。
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「ここまでフィーネを護ってきてくれて感謝するよ。」
マークにそう言われたがロケットとイクシアはまともにマークの顔を見れなかった。
全身汗びっしょりでもしかしたら少し震えているかも知れない。
事情は全部知っていてこう言ってくれてるのはわかるが、フィーネは何度も危険な目に会いさらには一度死なせている。
そして何より、顔が恐いのだ。
「えええええと、その、何というか。」
「親父さんすいません俺が悪かったんです!」
ロケットは挙動不審に陥りイクシアは手を前にそろえて出して手錠を掛けられるためのポーズを取ってる。
「二人とも落ち着いて!」
フィーネが焦って二人に話しかける。
「フィーネ、お前の友達は愉快だな。」
マークはそんな様子を見ながら眉一つ動かずそう言った。
ウチワはそんな様子を遠くから見て、今度はタートルの方を見る。
タートルは警察の人と共に人型の獣、通称ワービースト対策会議に参加している。
「……というわけで、やはりワービーストは我々のいる警察署のみ入ってこれない。あいつらの弱点は光と思われる。」
「もちろんタイプはありますが外をうろついている者には特に光が効くようであります。」
タートルは一切メモを取らない。
そのかわり署員の話も全て頭にそのまましまい込む事が出来る。
タートルが最も得意なのは記憶力だ。
「ここらへんはマークさんの光の結界を薄く張ってるぎゃね。おかげで助かったぎゃ。」
フィーネの父マークも光の精霊で現在は結界張り直し作業に出かけてるそうだ。
「あいつらの使用する武器の出所は不明ですがホシのアヤカシと名乗る人物が関連すると見て間違いないでしょう。」
「先日まで精霊術だと思われていた敵の使用する術は改めて検討したところ魔法術のようです。精霊術と本質は似ていますが自身のエネルギーを還元して自然の力を半ば強制的に引き起こしてます。」
図がかかれていく。
精霊術は精霊と人が力を合わせ、きっかけのパワーと指示を送り精霊がそれを増幅させ術へと還元させる。
一方魔法術は交換式だ。
自身のエネルギーや犠牲物を使いそれを糧に術を生み出す。
単独で済むことが多い反面効率面では精霊術に劣る。
そのため精霊術に何ら問題ない人間たちばかりのこの世界では魔法術は廃れ、カルト的扱いで極一部に残ってるのみだ。
「いくらワービーストとは言え獣が魔法術を使うを使う事も前代未聞、特に影そのものに潜む術は奇襲を受け厄介だ。この対策を早くしなければ……」
ウチワはそれなりに話を立ち聞きしてさらに別の場所へと移る。
隅では小さな即席の宗教施設がありシスターが三人と三匹が犠牲者への祈りを捧げている。
黙祷を捧げているその姿はまさに無力を噛みしめているといった様子だ。
この町の教会の人間は10人ほどいたはずだが、やはり他は全滅したという事なのだろう。
設備も人数も装備もないシスターたちはただ祈りの心を知るのみの一般人だ。
そして当然シスターがいるということは役所の人間もいる。
別室では書類に追われている人や指示を出す相手ももういない人がすっかり意気消沈して仕事をこなしている。
たった5人でさらに助けは実質来れないとなればこの重い空気も頷ける。
ウチワは再びフィーネたちの元へと戻り、壊れていた二人の様子を見に行く。
だいぶ緊張がほぐれたのか、やっと通常の会話が行われているようだ。
「私はこの町暮らしじゃあないのは、ロケットなら宿に一緒にいたし知ってるよね?」
フィーネがロケットに訪ねるとロケットが頷く。
「うん、特にその時はどこから来たのかは気にしなかったけれど。」
ロケットはちらりとフィーネの父マークの顔を見るがすぐに目を反らす。
動かない強面の表情ほど恐いものはない。
「近くではあるんだけれど良い田舎よ。父はたまたまこっちに仕事があって来ていたらしいの。」
マークは腕を組んで微動だにしないまま答える。
「ああ、たまたま、だ!」
フィーネ以外この時何となく察せれた。
たまたま何かではなく、フィーネがいる町に心配になって来ていたんだと。
「あ、そいや親父さん何かアヤカシとかいう奴が何か言ってきたりしませんでしたか?」
イクシアの問いかけにマークは頷いて話し始める。
「ああ。獣たちを放った後奴は現れこの町を乗っ取ったという宣言と共に中央広場に謎の建造物を建て始めた。しかもあり得ないほどの速度でな。そうしたら辺り一面がどんどんと闇に覆われワービーストもまで現れるようになった。獣ならともかくワービーストとなるとこちらが追い込まれ、ついにここまで追い込まれた時に再び奴が現れた。」
話している間腕を組んだまま不動だ。
「アヤカシは《三つの施設に三つの石をはめよ。さすれば最後の道は開かれん。とこの後外から来る奴らに伝えたら良いことが起こる。》と言っていたが後日確かにお前たちが来た事とフィーネの話を聞く限りどうやら指名相手はお前たちで間違いないらしい。」
フィーネが少し考え、疑問を口にする。
「三つの施設に三つの石……三つの施設は何となく想像がつくけれど三つの石は何なんだろう。そのはめる場所を見つければわかるかな。」
マークは頷く。
「ああ。一つの施設はここ警察署なのは既に分かっている。警察署の4階、署長室に謎の台座があったからな。」
その時、マークの元へ一匹の猫の精霊が飛んでくる。
三毛猫で白い輝きを放っている光の精霊だ。
『おーいマーク、10精霊連結術結界異常なし、敵もいないよーっとフィーネとフェイもいるのか!』
随分と明るい声で声かけをする。
マークの相棒精霊のデリエだ。
「デリエ、新たな客人もいるぞ。」
マークがそう言い、デリエがロケットたちに話しかける。
『おや、お二人さんと一羽のチョウチョさん初めまして!デリエだよ!あはは!』
軽く笑ってくるりと回る。
ロケットたちも挨拶を済まし、署長室の台座を見に行くことになった。
署長室はもはやその主はおらず静かに静まりかえっている。
署長室に置いてある机の前には、奇妙な台座があった。
上部が斜めになっており、赤い色をしたそこの中央に何かをはめ込めそうな窪みがある。
「これが例の物だ。」
フィーネは観察強化を使ってその台座を見る。
「うーん、この窪みもしかして。」
フィーネは手荷物から今日まで大事に持っていた宿屋の主人の遺品、精霊フレイムの精霊石をはめ込むとピッタリはまった。
『あっ、入った!』
フェイも驚きの声を上げる。
台座は異音を上げ始め石は赤く強く光る。
思わず目が眩み全員目を瞑る。
光が収まると音も静かになり台座から勢い良くフィーネの手元まで石が飛び出した。
「おっとっと!?」
何とか掴み見ると石は赤い輝きを放っている。
台座はその場から突然消えてしまった。
「こ、これで良かったのかな?」
フィーネは自身なさげに周囲の人に聞く。
「たぶん、反応したって事はこれで良いんだと思う。」
ロケットが肯定した。
「後2つか。同じような事をするのか?」
イクシアは顎に手を押いて考える。
『さすがフィーネ!きっとフィーネなら何とかなるって思ってきたよ!』
デリエが笑ってフィーネの顔に前脚でタッチする。
「解決するには、やはりお前たちの力がいるようだな。本来警察がやるべきなのだが。できうる限りの事はする体制を整えよう。」
マークはそう言った。
おまけ休憩所
フィーネ「タートルさんってなんで武器を持たないんですか?」
タートル「昔剣を持ってたぎゃ。けれど鎧の重さで剣が遅すぎて当たらにゃーから思い切って鎧そのもので戦ったら凄く強くなれたんぎゃ。」
ロケット「鉄の塊が意思を持って殴ってくるなんて痛そう!」
タートル「アイアンロック族って言う鉄の塊が意思を持ってる種族がいるけれどあの人たちはあまり殴ったりはしにゃーと聞くぎゃ。」
フェイ『じゃあ戦うときどうするんだろう?』
タートル「大砲の弾として丸くなって飛んで相手をまとめて倒すそうぎゃ。」
ロケット「本物は違った!」




