新しい学校
◎
何処からか小さな囀ずりが
聞こえてくる。
何処から聞こえてくるのか
分からない
それはそれは小さな囀ずり
雛鳥が親鳥を恋しがってるのか
それとも鳥達の鳴き声なのか
朝日が零れる朝
部屋に射し込む光
目にかかるその光が
1人の少年を照らす
「もう…朝」
少年は起きる
そしてキッチンに向かうと
コーヒーを入れいい香りが
漂う部屋で又呟く。
「今日から新しい学校」
呟きながら新しい学校の制服を
身に纏う
少年は苦笑いをしながら
制服を着た
自分の姿を鏡で確認すると
「ブカブカ…」
明らかにサイズが違う制服を
身に纏うと鞄を持ち
身なりをよくして
扉を開けた
誰も居ない部屋で少年は呟く
「いってきます」
そして部屋を出た。
電車に揺られる
大体軽く1時間は立った
俺が向かう学校は山奥に在るらしい
全くもって信用した訳じゃない親を亡くした俺には
居場所が無いから
仕方なく全寮制の学校にした
勿論ここは男子校だ
何が嫌で男子校なんか…
それにしても山奥すぎるだろ
そこには緑が覆われた山々だ
本当に学校なんかあるのか?
疑問に思いながらついたが
…
「…何、ここ」
俺の目の前には豪華な建物が
聳え立つ
あり得ねぇだろこれ
何をどうしたら、こんなデカイ学校がある
「ねぇ」
いやいや待てよ、これは夢なんだよ
俺はまだ夢の中なんだ
「ねぇ、!」
とりあえずなんか
色々とごめんなさい!
俺場違いな所に来ました
今すぐにお家に帰らせてぇぇ
「ちょっ無視と酷くない?」
俺は声のする方を見た
「えっ…あっ…と…誰?」
「それは僕が君に聞きたいよ」
なんだコイツ
女の子なのか?
いやいや待て待て
ここは何処だ、そう個々は
立派な男子校だ!
そんな事を考えてたら
女の子みたいな男が
「君、名前は?」
だから俺は咄嗟に
「双木…双木蓮です」
「ふーん双木って変わった名字だね」
女の子なのか男の子なのか
迷ったがコイツは
完全に男の子だな
「よく言われる。でっ君は?」
問いかけた答えてくれた
「僕は青葉凌央よろしくね」
うん、想像はしてたけど
なんか男らしい名前よね
えっオネェ言葉になってるってそりゃ目の前に居るのが
女なら是非お友達にって
言いたいぐらい可愛らしんだよ
何この子可愛いってぐらいにね
「凌央って呼んでいい?」
凌央はびっくりした顔で
見つめてきた
「どうかした?」
未だに信じられないと言った顔で俺を真っ直ぐに見つめる
「初めて名前で呼ばれたよ」
俺変な呼び方した?
「なんて呼ばれてるんだ?」
「…姫とか青葉だから青姫とか」
まぁ見た目すげぇ可愛いしな
「へぇ青姫かっ可愛いな」
凌央の髪を撫でた
「なっ可愛くない!」
凌央は顔を真っ赤させて
俺を睨むが全然怖くない
寧ろ
「いや可愛いよ」
俺は笑いながら微笑んだ
これから始まる新しい学校と生活
今から楽しみで仕方ない
あの記憶さえなければ…