8話
和明とルナはギルドの仕事に明け暮れ。ランクをDランクに上げていた。二人は今日もギルドに来て依頼書の詰まったファイルを見ていた。
「……これどう思う?」
「ああ、魔物ベリの討伐か……次はこれにしようか」
ということでルーブ国の東にある小さな村に来ていた。
ここは二階建ての村長の家。その一室に村長と話す二人の姿があった。
「東の森から現れた魔物のベリがこの村を襲いだしたんですね」
村長は立派な顎髭を摩りながらいった。
「そうじゃ」
話していると騒がしい音をたて何者かが階段を上がってくる音が聞こえた。そして和明達の居る部屋が力いっぱい開かれた。そこには髪が乱れ荒い呼吸をする村人が立っていた。村人は慌てた声でいった。
「村長!」
「なんじゃ? 騒がしい」
「ベリが村に姿を現しました!」
「なんと! こんな昼間から現れるとは珍しい。和明殿任せましたぞ」
和明は立ち上がりながら言った。
「ああ、わかった」
和明とルナは急いで木造建築の村長宅をでた。
「うわ、助けてくれ!」
足をくじいた男が熊に似たベリに物置の壁まで追い込まれていた。ベリは盛大に口からよだれを垂らしながら足を怪我した男に向け鋭い三本の爪がある右手を振り下ろしてきた。恐怖で目をつぶる怪我をした男。しかし、いくら待っても痛みはおそってこなかった。恐る恐る目を開ける男。
そこには細い剣で魔物ベリの右手を防いでいる和明の姿があった。和明は言った。
「ルナ! その怪我した男を安全な場所まで移してくれ」
怪我をした男に肩を貸すルナ。足を怪我した男を安全な場所まで運んで行く。
和明は横なぎに剣でベリに切りつける。それをベリは固く太い爪で弾く。次に和明はべりの背後に周りこみ十字に切りつけた。悲鳴を上げるベリ。ベリは振り向き和明に突進してきた。かわす和明。ベリは建物の壁にぶちあたり壁を粉砕した。その隙を逃さず和明は踏み込みベリの背中深くに剣を突き立てた。血を吐き暴れるベリ。和明はさらに力を剣にいれベリに突き刺した。ベリの動きが鈍り手足をばたつかせ地面に倒れた。ベリの血が辺りに滲んだ。
和明は地面に腰を下ろし言った。
「なんとか倒せたな」
和明は東の森から叫びながら近づいてくるものに気がつき急いで立ち上がった。
和明が森の方を振り向くとベリの二倍はあろうかという魔物がたっていた。ものすごく殺気だっている。ルナも和明の隣に大剣を持ち急いでやってきて言った。
「……あれはベリの変種ベリアル」
「知っているのか?」
「……逃げた方がいいかも」
{つづく}