47話
ナイフを片手に揺れ動く旅客船上を坊主の男が駆けて来た。和明は剣の腹で坊主の頭をしばき気絶させた。ルナとミルキーも海賊達をのしていっている。和明目掛けてタンクトップを盛り上げる筋肉質な男がラリアットをかまそうと走って来た。和明はその攻撃を避け背後に回るとマッチョの首筋にチョップをくらわした。その男は白目を向き倒れた。警備員達も応戦していてこっちが遥かに優勢だ。海賊船に逃げ出す奴まで現れた。
「お前達情けないぞ! それでも男か!」と声がした。
その声の主は美しい顔立ちの妙齢の女だった。Tシャツを胸が膨らませミニスカートからはなまめかしい足が伸びている。しかも赤い肌をしている。魔族のようだ。彼女は胸元から片手剣を取り出すと和明に切りかかった。バックステップでかわす和明。女魔族はさらに剣を一閃させた。和明は黒い細身の剣で受け止める。和明は踏み込み突きを放った。しかし女魔族には当たらなかった。和明は女魔族の背後に瞬間移動すると剣を女魔族の首に当て言った。
「抵抗しないなら怪我はさせない。武器を捨てるんだ」
「ああ、もう。分かったよ私の負けよ」
女魔族は片手剣を船の地べたに落とし両手を上げた。「カランガラン」と音がした。
{つづく}