43話
「ソルド村についたぞー」
和明はそう言うなり愚図ついた天候の空を見上げた。黒雲が太陽の光りを遮り天空の覇者のように陣取っている。ルナはパンニ(見た目は苺で味はチョコレート)を左手に持った袋から取り出し口にほうり込みその美味しさから微笑を讃える。ミルキーはそんな幸せそうなルナに抱き着き頬を擦り付け
「ルナちゃん、やっぱり可愛いわー。ハアハア」
ルナはミルキーの抱き着きアタックに慣れ平然とした顔で村の中へ入っていく。村の入口には立て札があり村の外周には木のバリケードが張られている。これならある程度の防御策になるだろう。今回の依頼は生きる魔剣の討伐でルーブ国の西にあるラバタ国の北東に位置するソルド村に足を運んだのだ。なんでもその魔剣は突如村に姿を現し通行人達をひとりでに切り付けてくるらしい。和明は
「上手そう! おっちゃん、一箱ちょうだい」
露店のタオルを頭に巻いたおじさんからパックに入った焼きそばに似た食べ物と箸を貰い代金を払った。
「ありがとうよ、兄ちゃん」
屋台のおっちゃんは輝く笑顔でそう言った。和明はパックを開け箸を持ち焼きそば風味のフードを食べようとした途端に「グワー! ひい、助けてくれー」と悲痛な声が聞こえて来た。和明は
「おっちゃん、これ持ってて。後で取りにくるから」
和明は渋々食べ物を預け魔魂を取り出し、けたたましい音の発信源に向かって駆けた。ルナとミルキーも後に続く。
{つづく}