40話
和明達はベリンまでは和明の能力で瞬間移動(瞬間移動は行ったことのある場所と見える場所にしか行けない)し聖地と呼ばれるベリン国の西にある場所の山の獣道を進んでいた。辺りは樹齢数百年はくだらない大木が犇めきあっていた。また、茨や丈の長い植物が邪魔で進みにくい。歩いていると鳥の糞が和明の頭に落ちて来た。
「汚い!」
と和明は嘆いた。しばらく進むと直径数百メートルの開けた円形な場所にでた。和明達の目的は聖地にあるサーカス火山に呪いの腕輪を投げ入れるためだ。なぜわざわざ腕輪を廃棄しに行くかというとこの腕輪はあしき者の手に落ちれば甚大な災厄をもたらすとされているからだ。邪な生物以外の者が所有すると持ち主が不運な目に逢わされる。またこの腕輪はドワーフによってサーカス火山で造られたためその火山でしか破壊できないのだ。
「二人共武器を出せ!」
和明の呼びかけとほぼ同時に和明達は魔魂を出した。和明はルーブリングを持っているせいか、吐き気と目眩がした。和明達の周りを黒い上下のスーツを着てサングラスをかけた男達が囲んだ。サングラスの男達は三十人ばかりいて各々武器を握っている。一人の黒スーツが革靴の音を響かせ進み出て言った。
「死にたくなければ呪いの腕輪……ルーブリングを渡せ」
和明達はルーブリングをギルドの受付で預かった後にも黒いスーツ姿の男達に襲撃されていた。闇の組織だろうか。その時は相手が三人だったので楽勝だったが今回は失敗を教訓にしたのか数が多い。
「この腕輪はやれないな」
「……勝負」
「欲しかったら力ずくで奪うのね」
和明、ルナ、ミルキーが挑発的な言葉を発する。二つの勢力は戦い始めた。
{つづく}