27話
「よし、早速破呪を試そうぜ」
ここは元ベリンの前。和明は右の手の平を空高く舞い上がった都市ベリンに向け言った。
「破呪」
赤い光がベリンを覆う膜に直撃した。しかし膜は無くならなかった。和明はルナとミルキーに同時に破呪をやるように頼んだ。三人は六本の腕をかがげ言った。
「「「破呪」」」
六個の光が飛んでいく。そしてベリンの膜にヒットした。「ブーン」という音がしたかと思うと膜は消え去った。和明達と兵士達は喜んだ。和明は魔魂を取り出し
「解魂」
ルナとミルキーが和明の肩に触れる。和明は意識を集中しそして姿を消した。兵士達には待機を命じておいた。
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「フンフン、ルンルン」
その豪奢な個室で貴族らしい女が裸になって鏡の前でドレスに着替えようとしていた。その部屋に和明達は姿を現した。和明を見た女は服で体を隠し悲鳴を上げた。慌てて入って来た兵士二人を剣の腹で強打し気絶させた和明。三人はその部屋を出ると赤い肌をした魔族を探し始めた。廊下を疾駆する和明達は近くの扉を片っ端から開いていく。しかし魔族はなかなか見つからない。十個目の扉を開けると人ではなく全身が骨で出来たモンスターが三体いた。和明は魔魂で横切りを放ちルナは縦切り、ミルキーはハンマーで強打した。圧勝だった。それからその豪華な部屋を出て次の扉を開けるとそこは瀟洒な謁見の間。石造りの部屋で壁は青い布で覆われている。玉座には赤い肌を持った男がほうづえをつきながら座っていた。赤い肌の男は鼻が高く目は大きく立派な服を着ていた。魔族は言った。
「わっちはルシース。この国の王なりる。勝負だる」
ルシースはそう言うと豪華な椅子から立ち上がり四本の手で胸から魔魂を取り出した。剣だった。和明達も魔魂を発現させ突っ込んだ。和明は真っすぐにミルキーは相手の右側からルナは左側からだった。金属音が室内に響いた。何合も打ち合う両者。お互い一歩も譲らない。ルシースは奥の手を出した。
「解魂」
ルシースの胸元から剣が飛び出した。自動で動く剣のようだ。その剣は和明を襲った。和明は受け止める。ルナが解魂し長さ十メートル幅が一メートルはある剣で切り付けた。五本の剣で防ぐルシース。ルシースの足元が少し壊れた。次にミルキーが解魂しルシースの腹をハンマーでしばいた。ルシースの体を高圧電流が流れる。痺れて動けなくなったルシースの背中を和明がバツの字に切り裂く。ルシースは「グワー!」と叫ぶと平伏した。和明は息も絶え絶えなルシースに尋ねる。
「どうやったら、地上にこの都市を戻せる?」
ルシースは消え入る声で
「わっちが死ねば戻るる……さらば……だ……」
和明達はその後ベリンからルーブに兵士を連れ凱旋した。そしてルーブで盛大なパーティーが催された。
{つづく}