26話
ここはハムス洞窟の地下二階。光る小さな昆虫ルブルが何匹も飛行している。和明達は戦っていた。相手は頭から両断された右半身と左半身の人型のモンスターで海賊なような身なりをしている。名前はミルキーいわくシャドーアークと言うらしい。右半身のシャドーアークがルナに切り掛かった。ルナは相手の勢いを逃がし返し刃で右半身の首をはねた。大量に赤い血を流しながら倒れる右半身。左半身もミルキーの会心の一撃で没した。和明達は地下三階に向かった。階段を下りた真正面には下へ降りる階段があり左手には赤く光り小さな輝く泉があった。赤い泉の前には立て札があり『この水を飲めば破呪を体得できる』と書かれていた。和明達は各々恐る恐る手で水をすくった。ミルキーは
「和明! あなた男でしょ、先に飲みなさいよ!」
和明は「えー」と言いながら少しずつ飲んだ。腹痛も頭痛も何も起きなかった。それを見てルナとミルキーも飲んだ。
「グワー、苦しい! 助けてくれ!」
和明が呻き出したのを見てルナとミルキーは赤い水を噴き出した。ミルキーは言った。
「ちょっと和明大丈夫!?」
和明は倒れ腹を押さえていたが立ち上がり
「なーんてね」
「からかったのね!」
「……心配して損した」
和明達は赤い水を飲み呪文を試した。和明は右手を泉に向けると唱えた。
「破呪」
和明の手の平から赤い光が飛び出し泉の中へ入っていった。ミルキーとルナも実践した。和明達一行は今来た道を戻って行った。障害になる罠やモンスターは全く無かった。
{つづく}