24話
ここはベリンという城塞都市があった場所。和明達パーティーと付き従う一万の兵士は草の絨毯が広がる草原から空を見上げていた。何故ならベリン国は上空数百メートルの高所に存在したからだ。ベリンの元あった所は地面がクレーターのようにえぐれている。和明は
「多分、魔族の仕業だ。潜入するため瞬間移動するからルナとミルキー俺に掴まれ」
ルナ達が和明の両腕を握った。和明は黒い細い剣を握り意識を集中していく。しかし草原の草が揺らめいただけで変化がない。とそこへ馬に跨がった赤いローブを着た白髪混じりで恰幅がいいおばあさんが近づいて来て言った。
「お若いの無駄じゃよ」
和明は目を見開いて尋ねた。
「何故駄目なんだ?」
おばあさんはベリンを指差し
「あの都市の周りに薄い膜のようなものが見えるじゃろう……シールドが張られておるのじゃ」
和明達と近くで聞いていた兵士達が空高く舞い上がった都市を凝視する。確かに薄い何かが存在していた。和明は答えを知りたくて聞いた。
「じゃあどうすればあの都市に侵入できるんだ?」
おばあさんは「ホホホ」と笑うと教授してくれた。
「方法はのう……ハムスの洞窟にあると言われている……『破呪』という魔法じゃ。その呪文ならあのシールドを破れるじゃろうて」 ミルキーは風邪気味でくしゃみをしながら尋ねた。
「ヘブシ! おばあさんは何故そんなことを知っているの?」
おばあさんは小首を傾げると言った。
「はて、なぜじゃろうのう、ハムスの洞窟はここより西に向かった所にある。ご武運を祈っておるぞ」
和明達はおばあさんにお礼を言い兵士達をベリンの一キロメートル西に駐屯させるとハムスの洞窟を目指し草が膝まである草原を駆け始めた。
{つづく}