22話
「では軍隊を貸して欲しいというのだな」
壮年のルーブラ王は金色の椅子にもたれ掛かり顎髭を摩りながら言った。ここは大きなシャンデリアが天井を華やかにし獣の皮の絨毯が幾つも敷かれている埃一つない謁見の間。大臣や騎士のシュナイダーが玉座の二段下の脇にたって和明達を注視している。和明は熱弁した。
「そうです。ルーブラ王はとても勇敢で慈悲深いお方。ラバタ国やベリン国の民が魔族に苦しめられるのは見ていたくないでしょう。ルーブラ王は本当は自身の手で魔族をラバタ国等から追い出したいはず……」
ルーブラ王は満更ではない顔で「うんうん」とうなづき言った。
「よしわかった。和明よ、そなたの武勇は存じておる。一万の兵を預けよう。二つの国を救って参……」
とそこで浴衣のような服を着た大臣が王の前に進み出た。
「我が君、それはなりません。我が国に魔族が攻めてきたらいかがするのです?」
王は不満げな顔で言い放った。
「大臣よ。わしは決めたのだ。邪魔だてする気か?」
大臣は王の顔を見て冷や汗を流しながら
「いえ、なんでもありません……」
そう言うとスゴスゴと下がった。王は椅子より立ち上がり玉座に立てかけてあった宝石をあしらった素晴らしい剣を和明の前に差し出し言った。
「そなたにこの剣を与える。そなたの言う事はわしの言うことぞ。逆らう者は処罰を与える」
和明は王に歩み寄り宝剣を受け取った。剣を鞘から少し引き抜き刀身を観察ししまった。和明達はお礼を述べると謁見の間を去って行った。
{つづく}