13話
ここはルーブ国の東に位置する円形のコロシアム。満員の観客が歓声や野次を飛ばす。国王のルーブラ王やセブラス王子も貴賓席にてシュナイダー達に警護されながら座っていた。今は第一回戦の一試合目が行われていた。戦っているのは和明と全身に黒い鎧を纏った騎士ナートだ。騎士は回し蹴りを繰り出した。バックステップでかわす和明。ナートは胸から魔魂を引き抜いた。Uの字に曲がった剣だった。しかも二本ある。和明はスピードで圧倒する。ナートの振るう剣は和明に掠りもしなかった。和明は剣でナートの両手を鎧ごと切った。
「グワ!」
悲鳴をあげたナートは二本の剣を落とした。ナートは首元に突き付けられた剣を見て両手を挙げ
「参った。降参だ」
勝敗は決した。観衆から歓声があがる。和明は観客に手を振って応えその場をあとにした。和明はドアノブを回し控室に入った。小綺麗に整理された四畳程の小さな部屋だ。すると二人の人物が椅子から立ち上がった。ルナとミルキーだ。
「……おめでとう」
「和明、よくやったわ。この調子で優勝して、金貨千枚いただきよ」
「そうだな、優勝して美味い物を食いに行こうぜ」
和明は一回戦を勝利で飾れてホッとしていた。和明は椅子に腰掛け水差しからグラスに水を注いで一気に飲み干す。それから三人は観戦に出向いた。空いていた観客席に座る和明達。コロシアムの中心では鞭を振るう女と顔をフードで覆った人物が肉薄した戦いを繰り広げていた。鞭が前後左右から襲うがフードの奴はギリギリのところでかわしながら女との間合いをつめていく。そして女の後ろに回り込み女の後ろ首をチョップした。昏倒する女は地面に倒れた。観衆達が「ワー!」と盛り上がる。倒れた女は二人の騎士が抱えて運び去った。ルナが
「……フード強い」
それに和明が答える。
「確かに余裕が感じられたな。まるで手加減してるみたいだったし」
ミルキーは
「和明、死んでも勝つのよ。ご馳走を期待してるんだからね」
和明はため息をつきながら
「俺、控室に行ってるわ」
そう言うと歩きだした。
{つづく}