『金色のガッシュベル!!』と心の成長。
本文にある「キッド」「ウォンレイ」といった聞き慣れない名前たちは、すべて『金色のガッシュベル!!』に出てくるキャラクターの名前です。
また、アニメ版や漫画版のややこしさを解消するために、『金色のガッシュベル!!』で統一しています!
私は何かと苦痛を乗り越えてきたのだが、いつも心には『金色のガッシュベル!!』で見た頑張っている魔物たちの姿があった。
とりわけ、パートナーを守るキッドやウォンレイたちの姿は、私の「付き合っている彼女を守りたい」という願いを支えてくれていた。
私にとって『金色のガッシュベル!!』は、親が教えてくれなかった正しい道を知るための羅針盤であり、他のゲームで知った「何もかもが不確か故に、正しき答えを導かねばならぬ事を」や「あらゆるものに毅然と向き合い、答えを決する、その勇気を」という訓言を実践するために役立った。
しかし、私にとって金色のガッシュベルがそれほど重要なものだとしても、他の人にとってはそうではない。
現に、私が付き合っている彼女はそうしたことからアニメや漫画の持つ力を侮り、『金色のガッシュベル!!』を冷笑していた。
◇
そんな彼女はいま『金色のガッシュベル!!』を読んで泣いている。好きなキャラクターはバリーで、嫌いなキャラクターはキースだそうだ。
彼女が最初に好きだったキャラクターは、キャンチョメだった。見た目が可愛く、何かと怯えがちな自分の姿と重なったと言っていた。
以前、本当にたまたまだがgraniphというサイトでキャンチョメの財布を見たことがある。
そのときの彼女は、金色のガッシュベルが何なのか知らず、「ふ〜ん。可愛いね。」と興味無さそうにしていた。
いまでは「買えばよかった⋯」と彼女はすごく後悔している。そのくらい、キャンチョメを気に入っていた。
そして彼女は物語の終盤で出てきた「バリー」を1番好きになった。
以下は、彼女がバリーを好きになったきっかけを聞いてまとめたものだ。
・バリーは自分(=彼女)みたいに、「小さなこと」にこだわっていた。
・道中、本当に強い魔物と戦って心が折れてしまったけど、最後は相手に認められた。
・叶えたい夢があるはずなのに、そのときの心の声に従って夢より大事なことを見つけた。
彼女は「バ⋯バリー⋯(泣)バリー、カッコいい」と号泣した。
本当は、強い魔物と戦っているときにウルッときていたけど、大切なことを見つけたバリーの顔が穏やかで良かった、と彼女は言った。
彼女は私のことを「バリーが戦った強い魔物みたいだ」と言う。目の迫力が似ているようで、「〇〇に認められたいけど難しい。バリーが強い魔物に認められたとき、自分が認められたようで嬉しかったのかもしれない。」とも言っていた。
その一方で「キースは昔の自分みたい」と彼女は言う。
人を見下して、相手の実力を認めずに、ずっと見下し続けている姿が昔の自分に似てるらしく、「大嫌い」だそうだ。
バリーを好きになった彼女は、「バリーが頑張ってたから頑張る!心が熱く燃えてる!!」と言うようになった。
そして彼女は「金色のガッシュベルを読む読まないで、苦境に立ち向かう力が変わるって話。少し分かったかもしれない。」と言った。
◇
私は少年院に入っていた。そこでは『十五少年漂流記』を読み、その感想を書くという取り組みがあった。
その狙いは、物語という第三者視点に成れる道具を使い、横暴な振る舞いを行う人間などを客観的に見ることで心の成長を促す、というものだった。
私はそうした技術を知っていたので、彼女の心の成長の一助になればいいなと、いろんな性格の魔物が出てくる『金色のガッシュベル!!』を彼女に勧めた。
結果のためなら手段を問わない魔物。
人騙して近づき、攻撃を仕掛ける魔物。
戦いたくないのに戦わされる魔物。
弱者は虐げられて当然と考える魔物。
自分の身を犠牲に何かを守ろうとする魔物。
弱い自分に涙を流し、変わると決めた魔物。
何かに人生を支配されている人間に怒る魔物。
愛する人を守ると決めた魔物。
ガッシュベルに出てくる魔物はすべて子供である。ウマゴンやロップスのように5歳の子もいれば、中学生から高校生くらいの子も出てくる。
そうした幅広い年齢の魔物の子供たちは、人間のパートナーと出会い、そのパートナー達からいろんなことを学びながら、心を成長させてゆく。
まるで、人間の子供たちみたいだ。
◇
私はそうした子供の心の成長物語『金色のガッシュベル!!』を読むことで、魔界のような秩序や常識が終わっている地域環境の中でも、心が曲がることなく大人に成れたと思っている。
読まなければ、今頃どうなっていたのか分からない。
私は今でもウマゴンというキャラクターが好きだ。
ウマゴンの葛藤のシーンを見るだけで代謝が上がり、体中に汗をかくほどに強く共鳴している。
彼女はバリーが好きになった。
そして、以前の冷笑ぎみの彼女からは考えられない「バリーが頑張っていたから私も頑張る!!うぉー!」という熱い言葉を言うようになった。
バリーは彼女の心の力を引き出す、パートナーになってくれたようだ。
読んでない人は読んでみるといいと思う。
私の単なる思い出補正ではなく、冷笑ぎみの彼女ですら熱い心を持てたのなら、何か変わるかもしれない。
「運命を変えたいなら、いつもと違う行動をする」
これは私が考えた人生の教訓だ。
実践してきたからこそ、劣悪な環境にのまれなかった今があると思ってる。
『金色のガッシュベル!!』があなたの心の力を引き出す、「特別な本」になることを祈ってる。




