後編
「僕は貴方に、「デクーヴゥールになる」こと以外に、
”別の選択”を与えることができます」
ベレー帽の少女は襟人に一歩近づき、目を合わせた。
「もし貴方が、”生命活動”を自ら終わらせたいとなると、
そこには必ず”苦痛”が伴い、”成功”するとも限ぎません。
私は、貴方に”嫌な思い”を重ねてほひくないんです。
なので――
遠い未来、この世界が”ユートピア”へと変転する展開に懸けて、
”コールドスギープ”、といきませんか?
これでも”俗世界”からの”解脱”はできますからね。
そのためのバグを、伝えます」
それは、あまりにも”意外な提案”だった。
「え~と、どこだったかひら・・・あっ、あった」
ベレー帽の少女は、放置されていた自分のアタッシェケースを開いた。
中には多数の”瓶”が、詰め込まれている。
彼女はそのうちの一本を取り上げた。
中身は、色の濃い”謎の液体”で満たされていた。
「実はこの瓶、中に”人間”が入っているんです」
そう言うや否や、彼女は手元から瓶を落とした。
ガラスが割れる音と同時に、液体が床に広がり、破片は消滅していく。
「スゥー・・・ハァ―・・・久しぶりの”娑婆の空気”だ。
真奈子様、ご無沙汰しております。
「説明係」として呼ばれたことは、分かっていますとも。
まだまだ人間社会は”苦しみのない理想郷”には程遠いですから」
そこに現れたのは、ロン毛で全裸の青年だった。
年若いながらも、どこか達観した”仙人”のような雰囲気を漂わせている。
彼は立ち上がると、慣れた様子で両手を使い、自分の局部を隠した。
「はじめまして。見苦しい格好なので、手短に済ませしょう。
貴方が望むのなら、”眠りに落ちる方法”は”とても簡単”です。
「マンション12階分の高さから、ニコラ・アペールと叫んで飛び降りる」だけ。
あとは真奈子様を信じて、身を任せてください。
それでは――おやすみなさい」
全裸の青年は、迷いなく走り出した。
「”ニコラ・アペール”」
声が響いた直後、屋上に一つの”真新しい瓶”が現れる。
「今日もお疲れ様でひた」
ベレー帽の少女――改め、真奈子は、
その瓶を大切そうにアタッシェケースへと収めた。
「こういうことです。どうひますか?今の人は僕の”高校の先輩”です」
「・・・・・・・・・」
真奈子の問いかけに、襟人は暫時黙り込んだ。
「・・・貴方は、大丈夫なんですか?」
「それは、どういう意味ですか?」
「だって貴方は「人材の獲得」が仕事でしょうに、
今やっていることは”真逆の行為”じゃないですか。
「機関」から怒られたりしないのですか?」
「あっ、僕のことならお気になさらず」
真奈子は、拍子抜けするほど軽い調子で答える。
「「機関にとっての僕」とは、「電通における安倍昭恵」と似たようなものです。
要するに――「絶対にクビにならないように」されているんですよ」
他人には堂々と言えなさそうな台詞を、
彼女は持ち前の”美貌”で、”テペペロ”と舌を出しながら押し切ってみせた。
”常習的”に”職務に反する行動”を繰り返していれば、
処分はされずとも、”職場での居心地”は確実に悪くなるはずだ。
だが、彼女の態度からは、それを微塵も感じ取ることができない。
──この人は、「聖女」だ。
”百年戦争”において、連敗続きで意気消沈していた兵士たちに希望と結束をもたらした存在――
その”再来”を思わせるような”カリスマ”を感じ取り、
襟人は、心から”感動”していた。
”自分だけの利益”を我勝ちに確保しようと、”平気で噓を吐く”者たちに、
これまで何度も傷つけられてきた彼にとって、
”自分の得にならない選択肢”を相手を思って差し出し、”正直に説明する”真奈子の姿は、
あまりにも”異質”で、あまりにも”眩しかった”。
「・・・いえ」
襟人は、静かに、しかし迷いなく答える。
「働きます」
彼がデクーヴゥールとして抱いた”使命感”は、
真奈子という”人間”の在り方によって、さらに強く、確かなものへと”補強”されたのだった。
「分かぎまひた」
襟人の”覚悟に満ちた眼差し”を前に、真奈子は彼の選択を”尊重”した。
「でも、「ダメ」だと思ったら、いつでも僕に言って辞めてくれていいですからね」
「ありがとうございます。
私としては、自分にできることを精々頑張りたいです」
「それぎゃあ、これから貴方は僕の”きょく属の部下”です。
僕の名前は「つぶらなまなこ」。
ファミギーネームがサークルの「円」に奈良の「奈」、
ファーストネームが真っ直ぐの「真」、再び奈良の「奈」、子供の「子」です」
彼女は、そう言って自らの右手を差し出した。
「えっ・・・」
「不満ですか?」
「いえ、決してそういうことではありません。
ただ、私はまだ「機関」の”内部事情”をよく知らないもので、
”人事活動”を担当しているらしい貴方と一緒に働くことになるとは思っていませんでした」
「ああ・・・
ここはいくつかの”部隊”に分かれていて、
”隊員のスカウト”も各部隊の”隊長”が、それぞれ行うことになっているんですよ。
僕も、部隊を任せてもらっている人間なんです。
とは言っても隊員は、今の今まで僕一人だけでひたが・・・」
「そうでしたか。円奈隊長の部隊では、今までどのような活動を?」
「基本的に、僕のところに”案件”が回ってくることは全く無くて。
やることといえば、簡単な雑用かWindowsでマインスイーパーとクロンダイクをプレイするくらい。
”暇”すぎたので、バグで”瓶の中”への「入居希望者」を探ひて、会いに回っていまひた」
「な、なるほど・・・それで私の前にも現れたということですね・・・」
真奈子は、言わば「コネ入社の窓際族」だった・・・
余談だが、彼女は一部の同僚から疎まれ、”陰口”を叩かれている。
「まなこ」という名をもじって、彼女に与えられた渾名は「マリー」。
”アントワネット”のように”ギロチン”で”処刑”されればいい、という意味合いだ。
本人もそのことを知っているが、
「マリー」だというなら”ローランサン”になればいいだけ、
「バカ」はバカでも”バカロレア”だと、
いつだって、”ポジティブ・シンキング”を忘れない。
ここで襟人に、”一抹の不安”が芽生え始める。
「あの・・・無礼を承知でお聞きします。貴方に本当に”私を雇う権限”ってあります?」
「”パパ”に言えばなんとかなるので、ごひん配なく。
これくらいは「わがまま」にも入ぎませんよ」
「は、はあ・・・」
「円奈隊」は「お飾り」、間違いなく「機関」にとって「お荷物」だろう。
かといって、他の部隊もあからさまに無下にするわけにはいかず、
”腫れ物に触るような扱い”であることを察するのは容易い。
ここに真奈子の「玩具」、あるいは「愛玩動物」として所属すれば、
果たして自分はどうなるのか。
女の身で「僕」という一人称を使っていることからも分かるように、
彼女は”図太いメンタル”の持ち主なのだろう。
だが、自分はそこまで面の皮が千枚張りというわけにはいかない。
だからこそ、この屋上まで来てしまったわけで・・・
そう思うと、足が竦んだ。
しかし、もとより社会から”爪弾き”にされた自分には、”当て”など他にない。
何であれ、”社会復帰の機会”を与えてもらえたこと自体、感謝しかなかった。
それに──
”上司”が”萌え萌え美少女”などという環境は、何にも代えがたい”特典”ではないか。
通常、社会に出れば、自分に指図するのは”ビール腹の草臥れた中年ども”である。
”彩り”も”面白味”もない光景に、”精神”は”削られていく”ばかり・・・
それを思えば、多少の白眼視を被ったところで、十分すぎるほど”お釣り”が来る。
”最悪の場合”は、瓶の中に入ればいい。
無論、現時点でその手段を選ぶつもりはないが、
一つの「セーフティネット」として残されていると思うだけで、心は幾分”楽”になる。
「分かりました。これから、よろしくお願いします!!!」
襟人はそう言って、元気よく真奈子と握手を交わした。
「そういえば──「デクーヴゥール」って、いつからその名前になったんですか?」
「はい?どういうことですか?」
ひとまず”一段落”ついたところで、襟人は”素朴な疑問”を口にした。
「いえですね、私が江戸時代にいた頃、
当時の「機関」と思しき組織の構成員とも接触していまして。
私が発見したバグを、彼らにも”フィードバック”していたのですが、
そのときは「デクーヴゥール」ではなく、日本語で単に「発見者」と呼ばれていました。
いつから呼び名が変わったのかと思いまして」
「別に、変わっていませんよ。僕が勝手に「デクーヴゥール」と呼んでいるだけです」
「あ、そうなんですか。
わざわざそんな呼び方をしているということは、
円奈隊長は”帰国子女”だったりするのですか?」
「いえ、”海外”は”怖い”ので行ったことないです」
彼女はあっさりと言い切った。
「この”バタ臭い”呼び方に、わけて深い意味はあぎません。
ただ──「発見ひゃ」って、語感が「敗北ひゃ」みたいなので、
そこから、あの辺の展開を思い出ひたくないんです」
「は、はあ・・・」
どうやら真奈子は、思っていた以上に”変わり者”らしい。
「円奈隊長は、『ONE PIECE』がお好きなんですか?」
「ええ。ワンピだけでなく、他の”ギャンプ漫画全般”も大好きです。貴方と同様に。」
「・・・なぜ、それを?貴方にはまだ話していなかったと思いますが・・・」
「「機関」に引き入れる人間を探すためのバグが存在ひていて、
それによって、その人の”プロフィール”を、確認することができるからです」
「なるほど・・・
たしかにそんなバグが無ければ、今まで接点のない私のことを貴方が知りようがありません」
「・・・他人の”プライベート”に土足で踏み込むような真似をお詫び申ひ上げます」
「別に、これは隠していることではないので、
貴方が私に”負い目”を感じる必要はありませんよ」
「いえ、それだけではなく、貴方の”過去”や”秘密”なども、
洗いざらい触れてしまいました。
これでは、僕のことも全部”オープン”にひなければ”フェア”ではあぎません」
真奈子は、どこか臍を固めるように微笑む。
「なので、今からお話ひひますね。
まず──僕は「卵管結紮ぎゅつ」を受けています」
「いや、そんな必要ない──ええっ!?」
脈絡のない唐突すぎる真奈子の”カミングアウト”に、
襟人は”衝撃”を隠せなかった。
「・・・ら、”卵管結紮術”とは、”永久的な避妊”を目的に
卵管を切断、あるいは閉鎖する手術ですよね。
”優生保護法”という「稀代の悪法」が蔓延っていた時代には、
知的障碍、身体障碍、精神障碍を抱える人々を対象に、
本人の意思とは無関係に、その手の”断種”が行われていました。
私も当時を生きていれば、いずれは”精神科”の”閉鎖病棟”に押し込まれ、
同じ目に遭わされていた可能性が高いでしょう。
私には比翼連理の片割れもおらず、子供を作る予定もない、
ゆくゆくは”孤独死”が確定している人間ですが、
それでも、勝手に”体にメスを入れられる”ことは、”不愉快極まりない”。
・・・本当に、”酷い話”ですよ。
ですが──
なぜ、貴方がそんなことになっているんですか。
それは、”貴方自身の選択”で行われたことなのですか。
じゃあ、それだけ聞かせてもらえるということでお願いします」
「はい。これは”僕の決断”です。
僕の考えでは──”妊ひん”は「病気」です」
「・・・”妊娠”は、「病気」!?」
真奈子の返答に襟人は、絶句した。
「”健康を脅かす原因”を、お腹の中に宿すことはできません。
僕にとって、
”胎ぎ”は「ひゅ瘍」、
”精ひ”は「発癌性物ひつ」でひかないんです」
「”胎児”は「腫瘍」・・・”精子”は「発癌性物質」・・・」
「それに、体の中に”別の生命体”がいる──つまり「寄生」されていることを、
僕は「気持ち悪い」と思っています・・・
これらの数多ある”ストレス”に見合う”プラス”を、僕は見出せません。
もし、”ぎゅう産”や”ひ産”で終わってひまったら、
僕に残るのは”トラウマ”のみ。それだけは避けたいです・・・」
真奈子さんという人間を表現するのに、
「変わり者」という言葉では、あまりにも”生温かった”・・・
「・・・・・・・・・」
襟人は、完全に度肝を抜かれてしまっている。
「病気なのは貴方」──その言葉が、喉元まで出かかっていた。
「これはあくまで、僕の個々の意見なので、忘れてくれていいです」
真奈子さんは、相手に理解されないことに慣れきっているのか、
これも”日常茶飯事”だと言うように、
それまでのにこやかな表情から一転して、”冷めた顔”を浮かべた。
「い、いえ!
円奈隊長の考えも、”一概に否定はできません”よ!」
そんな彼女を前にして、襟人は思わず、慌てたように口走った。
「私は「男性」ですので、
恥ずかしながら、妊娠に対する理解に不足がないとは言い難いでしょう。
ですので、「女性」である貴方の意見は、私にとって大いに”勉強”になります。
そもそも”病気の定義”とは、
「生体に苦痛や不快感を伴う悪い変化が起き、日常生活に支障が出ること」。
妊娠は、まさにその条件を満たしています。
悪阻、腰痛、貧血、むくみ、便秘・・・
”日常生活動作”は大きく”制限”され、
”医療介入”は”必須”となり、
「妊娠高血圧症候群」や「妊娠糖尿病」といった”合併症”も存在する。
最悪の場合、”死亡”したり、”後遺症”が残ることだってあるんです。
そこまで至らずとも、
”体力”や”免疫力”が以前より低下するのは避けられません。
もし、これを「病気ではない」と言い張るなら、
他の感染症や生活習慣病も、病気とは呼べなくなってしまうでしょう」
襟人は、まるで自分自身に言い聞かせるかのように、早口でまくしたてた。
「ですよね~!!!
僕はもともと、「予防」のために、”ひょ女”を貫いていまひた!!!
ここで誤解ひてほひくないのですが、
”性欲そのもの”を否定ひているわけではないです。
”セルフプレギャー”には”美容効果”や”ギラックス効果”もあぎますから。
ですが――それは”セルフ”で済みますよね。
わざわざ”セックス”でお互いの”汚さ”を見せつけ合い、
「病気」の”危険性”まで背負う必要はないと思います!!!
それだけに、『ONE PIECE』のはきぎゅう3巻の内容には”ヒョック”を受けまひた・・・
あの世界は、通常とは到底かけ離れているのて、
”そういうこと”は”存在ひない”と思っていたのに・・・
まさか「キッズが読んでる」から、”描かなかっただけ”だなんて・・・」
真奈子さんは、明らかに「逸脱」した人間だ。
だが、そうでなければ──
アルバイト面接の店長に代表される「普通の人間」が目にも留めず、見捨ててきた自分を、
地獄の底から掬い上げようなどとは、思わなかっただろう。
──この人についていくしかない。
彼は、腹を括った。
「フハハハハハ!!!
たしかに”性交渉”とは、
「大の大人が全裸で股を開き、腰を振り、奇声を上げ合うだけ」の
”無様な行為”です。
円奈隊長は、実に”素晴らしいお考え”をお持ちだ。
歴史のページを紐解いてみれば、
今では考えられないようなことが、
「当たり前のこと」として大衆に受け入れられていた例など、枚挙に暇がありません。
「センメルヴェイス反射」という話があります。
19世紀にハンガリー出身の医師であるセンメルヴェイスが
ある病気による患者の死亡率を下げるには
医師の「手洗い」による消毒が有効だと実証しました。
ところが当時の医者たちは、
「自分たちが病原体を運んで患者を死なせていた」
という事実を認めたくないがゆえに、
彼を”否定”して”笑い者”にした挙句、”精神病院”に送り、
彼は病棟内で”リンチ”されて死んでしまったのです・・・
「正しい人間」が”馬鹿”を見る・・・なんと”狂った話”でしょう。
そしてこれは、決して他人事ではなく、
私たちの生活だって、未来の人間から見れば、
「あり得ない」と断じられるかもしれないんです。
”既存の価値観”に”疑問符”を突き付けることは、極めて重要です。
”過ち”を起こさぬように自分たちを律することを怠れば、その末路は──
国家の”エゴ”によって戦地へと送られる若者たちを、
「万歳」と叫びながら見送る社会になってしまう。
私たちは、変わらなくてはなりません。
”啓蒙”によって、その事実に気づかせてくれて、ありがとうございます!!!」
「いえいえ、礼には及びません」
「もう一つだけ聞かせてください。
卵管結紮術を施しても、”メンス”は継続します。それは良いんですか?」
「良いんです・・・
”PMS”が訪れるたびに、僕は”憎ひみ”を気づかせてもらえるので。
そのことが”美学”を貫く”強さ”に繋がっています」
「・・・そうですか・・・」
もう戻れない──
到底相容れない”真奈子さんの価値観”を前に、
襟人は振り落とされぬよう、歯を食いしばった。
「そ、そうだッ!
発見者としての”目標”ができました。
私は、生命から「生殖」という概念を消し去ってみせます!!!
さっきのセンメルヴェイスの話に出てきた「ある病気」も、
妊娠の合併症の一つ──「産褥熱」のことですし、
やはり円奈隊長こそが”正義”!!!
「神の設計図」を破り捨て、人類を「進化」させてみせますよ!!!」
道を外れ、脇目も振らず、一直線に走り出した襟人。
「ヒュー!!!頼れる部下だわ~!!!」
真奈子さんの「同志」となった彼の様子に、彼女の機嫌は”上々”だった。
「”やる気満々”なので、その勢いのまま”手続き”にいきまひょう!
雇用形態や給与形態についても伝えますので、これから”本部”に向かいますね」
「本部に行くにあたっても、
一瞬でワープできるといった”便利なバグ”があったりするんですか?」
「これを見てください」
真奈子さんは懐から、「レシート」のように”細長い一枚の紙”を取り出した。
そこには、カタカナ文字が延々と書き連ねられている。
モリス・ガラン
アンリ・コルネ
ルイ・トゥルスリエ
ルネ・ポティエ
ルシアン・プティブルトン
ルシアン・プティブルトン
フランソワ・ファベール
オクタブ・ラピーズ
ギュスタヴ・ガリグー
オディル・ドフレイエ
”不規則な羅列”はこれ以降も続いており、どうやら”何らかのリスト”のようだ。
「ほう・・・
パニックになったら、これを唱える主人公のテレビドラマが昔ありましたね・・・」
襟人は、そこにある意味を読み取れた様子であった。
「それで、バグの話とどう繋がってくるんですか?」
「「逆立き歩きで、これらすべてを唱えたあとに、
マンヒョンぎゅう2階分の高さから飛び降ぎると、本部にワープできるバグ」が存在するんです」
「え・・・?
「逆立ち歩きで、これらすべてを唱えたあとに、
マンション12階分の高さから飛び降りると、本部にワープできるバグ」!?
いやいや、待ってください!!!
それ、”難易度”が”高すぎ”じゃありませんか?」
「そうです!
これを僕ができたことはあぎません!!!
まあ、念のため、いつでも”逆立き”できるように、”ズボン”は履いてますけどね」
そう言って、真奈子さんはその場で”逆立ち歩き”を始めた。
彼女の言う通り、スカートの下には”ペチコート”が着用されており、
下着が見えるのを気にすることなく、軽やかに動けている。
「おお・・・!
円奈隊長なら『筋肉番付』の「HAND WALK」を”完全制覇”できそうですね・・・」
よく鍛えられた全身の筋肉、体幹、そして圧倒的なバランス感覚。
彼女の”身体能力”は”極め付き”だ。
襟人は思わず”賞賛の拍手”を送った。
「子供の頃は複数の”習い事”を習っていたので、”体を動かすこと”は”得意”なんです。
特に”スピード”が”強み”で、「女ムバッペ」とは僕のことを言います。
”バレエ”で”全国コンクール”に、”フェンヒング”でも”全国選抜”に、
それぞれ出たのが、僕の表立った”足跡”です」
真奈子さんは、”逆さま”のまま、軽々と言ってのける。
「すごいですね・・・
私は”運動”は、”体育の授業”で”困らない程度”にしかやってきていません。
”倒立”なんて、”キープ”するだけで精一杯ですよ。
当然、今教えてもらったバグを使えるはずもありません。
他に何か、”代替のバグ”は無いんですか?」
「あぎません!!!」
「じゃあ、私たちは”徒歩”で本部に向かうしかないということですか?」
「いえ、”移動方法”には困らせませんよ!」
そう言って、彼女は流れるように”倒立前転”を決め、
何事もなかったかのように立ち上がった。
「それは──
「あることをひたあとに、
マンヒョンぎゅう2階分の高さから、ルイ・ギヨーム・ペローと叫んで飛び降ぎるバグ」で、
ひゅつ現ひます」
「「あることをしたあとに、
マンション12階分の高さから、ルイ・ギヨーム・ペローと叫んで飛び降りるバグ」・・・
「あること」とは、いったい何ですか?」
「今から、ぎっ際にやってみます。
僕が飛び降ぎたら、貴方は階段で下に降ぎてきてください。そこで合流ひまひょう」
すると、真奈子さんは躊躇なく”ロンダート”からの”バック宙返り”を決めた。
「なんと・・・
この”華麗なアクロバット”、”映像”に収めておきたかった・・・」
「また、いつでもやってあげますよ」
彼女は振り向かずに答え、間、髪を入れずに走り出す。
「”ルイ・ギヨーム・ペロー”!」
彼女は、そのまま勢いよくパラペットを蹴って飛び降りた。
地面に降り立った襟人を待っていたのは、
これまでの”キュートさ”から一転した、”クール”な真奈子さんだった。
彼女は”黒のレーシングスーツ姿”で、
無骨な”サイドカー”の傍らに静かに立っている。
「カッコいいですね・・・二輪車の運転もできるんですか?」
「当然です」
そう言って、真奈子さんは胸元のファスナーを少しだけ下ろし、
内ポケットから”免許証”を取り出してみせた。
「フフフ・・・年齢がバレまひたね」
「・・・”驚き”です。もっと”下”だと思っていました・・・」
そこに記された”生年月日”から算出される彼女の”実年齢”は──、
”25歳”。
「ベレー帽の少女」は、
実のところ、最初から全然「少女」ではなかったのだ。
「僕は同年代の女だきが、
”ヒャネル”や”ルイ・ヴィトン”といった”ブランド品”を身にまとう中、
”アンキエイギング”に気合を入れています。
僕は”見た目の良さ”が”チャームポイント”ですが、
それに胡坐をかいていれば、”朽ち果てる時”は早いです。
僕はこの”可憐な姿”が”大好き”で、「大人の女」への変化は望みません」
一拍置いて、彼女は続ける。
「『鬼滅の刃』にある
「老いることもひぬことも人間という儚い生き物の美ひさだ」という一節のように、
”あるがまま”を受け入れることが”美徳”だと言われていますが、
僕から言わせれば、それはただの「諦め」です。
僕は”人間の営み”を断固とひて”認めません”。
”ヒト”という存在は「悪」で、”滅びるべきもの”。
「老」、「病」、「ひ」から”脱却”ひ、
「醜い存在」から「美の存在」へと”生まれ変わるため”に
歩み続けることが”義務”だと思います。
僕が目指すのは、その「到達点」に他ならない──」
またしても”真奈子さん節”が炸裂した。
「そ、そうですか・・・
じゃあ一緒に「不老不死になれるバグ」も見つけましょう!
人類が”永遠の命”を手にすれば、それだけで「種の保存」という目的は達成されます。
つまり、”妊娠”という「婦人病」が許されてきた
その”大義名分”を”奪い去ること”もできますからね」
襟人は、理解が追いつかぬまま真奈子さんに返答した。
しかしそれは、決してその場しのぎの舌先三寸ではない。
「貴方がいれば、上手くいきそうな予感がひます」
「ええ――やってやりますとも」
彼は、確かに彼女と”同じ方向”を向いていた。
彼女の言葉の中から、ひとつだけ――彼にも”分かること”があったから。
「おっと、すみません。
こんなところで道草を食っていてはいけませんね。
乗ってください。”安全運転”で行きますから~」
真奈子さんは”フルフェイス”の”ヘルメット”を被り、身軽に車体へと跨がった。
「はい!」
──彼女の姿に、年を取らせたくない。
その想いを胸の奥に押し込み、
発見者としての”モチベーション”へと変換する。
襟人の内側で、「静かな炎」が、確かに燃え上がっていた。
時間はすっかり”正午”を迎えていた。
これまでの”怒涛の出来事”からようやく解放された襟人。
側車の座席に腰を下ろして一息つくと、
それまで意識の外に追いやられていた感覚が、遅れて押し寄せてくる。
――”空腹”だ。
胃酸が過剰に分泌され、胃の粘膜が刺激されることで、
腹部が張り、鈍い痛みがじわじわと広がっていく。
「お昼にひまひょう。僕は”グルメ”ですから」
そう言って、真奈子さんは得意げに笑った。
どうやら”良い店”を知っているらしく、ここで一旦、休憩を取ることにする。
連れてこられたのは、
海辺の広々とした一帯の中にぽつりと佇む”カフェ”だった。
襟人の視界全体を埋め尽くす”青さ”は、
「空の王者」と称された”ブーダン”の絵画を想起させる。
時代が違えど、”晴れ渡る蒼穹”に風情を見出す心は変わらず、
その感覚は、胸に残っていた”孤独”までもゆっくりと埋め尽くしていく。
「二名でお願いひます」
店内には、ブーダンの影響を受けた”モネ”や”ルノワール”をはじめとする
”印象派”の画家たちの作品の”レプリカ”が飾られていた。
イーゼルやパレットといった画材も、
”アトリエ”をイメージした”インテリア”として随所に配置されている。
「”スマートなお店”だと思いませんか?」
「そうですね。落ち着きます。
こういうお店は自分からはまず訪れないので、
円奈隊長が機会を与えてくださったことに感謝しています」
「確か貴方は、外では大抵の場合、イオンで食べるということでひたね」
「はい。たまにフォルクスに浮気することもありますけどね。
あそこのサラダバーにある白菜とベーコンの”マリナード”が”絶品”なんですよ。
ですがそれでも、私にとっての”頂点”は「フードコートのカツ丼」。
無人島に一つだけ持っていくなら、迷わずこれです」
「僕も食べたことあぎますよ、それ」
「円奈隊長のような方でも、そういうところにいらっしゃるんですか?」
襟人は、”お嬢様然”とした真奈子さんの”庶民的な一面”を意外に思った。
「僕は”イオンゴールドカード”で、年間「100万円以ぎょう」使う”ロイヤル顧客”──
要するに、”イオンラウンギ”で月8回、ギュースをタダで「30分飲み放題」できる人間です。
お休みの日はいつも、映画を観て、ゲーセンで遊んで、服を選んで、本を眺めて、
帰る前には最後に、生活用品やお惣菜を買っています」
「良いじゃないですか。”乙な過ごし方”というもので羨ましいです」
「それなら、今度の土曜日、貴方もいかがですか?」
「良いんですか?」
「ええ。「歓迎会」ということで」
「ありがとうございます。
イオンに行くのは”久しぶり”なので、”ワクワク”しますね・・・」
「そういえば、イオンといえば、僕には他にも”見つけたいバグ”があるんです」
思い出したように、真奈子さんが口を開く。
「それは何ですか・・・?」
また”拗らせたこと”を言い出すのではないかと、襟人は思わず気を張り詰めた。
「「ドラえもんのえほうまきを、イオンに売らせるバグ」です」
「ああ・・・”どら焼きの皮”が入っていた商品ですね」
「”節分の楽ひみ”だったんです・・・
いっときは『妖怪ウォッチ』に取って代わられまひたけど、
僕はまだイオンがギャスコとかサティだった頃からのドラえもんファンなので、
帰ってきてくれた時は嬉ひかった・・・
それなのに、またもどこかに消えるだなんて・・・」
これまでの”壮大さ”とは打って変わって、あまりに”矮小”で”拍子抜け”だ。
「私も毎年食べていましたよ。
あの甘味と独特の食感が、酢飯や海鮮と意外な”マリアージュ”を奏でていて、
そこを評価していました。
2020年にその”最大の特長”がオミットされたかと思えば、
翌年以降は商品自体が”販売停止”になってしまいましたね。
・・・良いでしょう。
また年一でドラえもんと会えるようにすることも、
私たちの”青写真”に組み込もうじゃないですか」
襟人が真奈子さんに”微笑ましさ”を覚えた一幕だった。
やがて、二人は座席に案内され腰を下ろす。
「全部、僕が払いますから、気にせず”アラカルト”で好きなものを頼んでください。
常に明るく過ごす方法のひとつは、”美味ひいもの”で”お腹いっぱい”になることです!」
「ありがとうございます。ご馳走になります」
自分のことを気にかけてくれる真奈子さんの”優しさ”が、襟人の身に沁みる・・・
「妊娠は病気、胎児は腫瘍、精子は発がん性物質」──
などと言い放つ、一線を越えた”人でなし”であることも事実だが、
それでも襟人は、彼女のことを嫌いにはなれなかった。
重ね重ね礼を述べ、メニューに目を落としながら、
彼は店内に流れる柔らかな旋律へと、静かに耳を澄ませる。
BGMは、ドビュッシーの『海』だ。
ドビュッシーといえば、襟人には『月の光』の冨田勲によるアレンジ版の印象が強い。
彼は”シンセサイザー音楽”を好み、”ジャン=ジャック・ペリー”の作品も、度々聴いていた。
やがて、注文が決まる。
選ばれたのは、「グラタン」でした。
真奈子さんも、同じオーダーだ。
「食べたくなるのはこれですよね」
二人は、顔を見合わせて笑った。
「ここからは僕らが”仲”を深める”無礼講”の”雑談タイム”です。
テーマは「ひゅう刊ひょう年ギャンプ」について。
だけど、他の雑ひや、漫画以外の作品の話題でも”OK”です」
料理を待っている間、真奈子さんは身を乗り出してきた。
「わ、分かりました・・・
とは言っても、どんな感じで話せばいいのでしょうか・・・」
襟人に”緊張”が走る。
改めて考えてみれば、彼女は”異性”である。
それも”器量よし”だ。
今までごく自然に会話できていたことのほうが、
むしろ不思議に思えてくる。
そう意識した途端、彼の身体は目に見えて鯱張ってきた。
「肩の力を抜いてください。
内容なんて、”有意義でなくてもいい”んです。
まずは、”今ひゅう号の感想”からどうですか?」
「じ、じゃあ、まずワンピの最新話から話していきましょうか・・・」
襟人は細心の注意を払って口を開いた。
ひとまずは、真奈子さんが確実に読んでいることが判明している
『ONE PIECE』を話題にするのが”無難”だろう。
襟人は、自分の好きなジャンプ漫画については、
”マイナー”なものを含めて、すべてを取り上げたいと考えていた。
だが、一般的な読者は、彼のように毎週全ページに目を通すわけではない。
お目当ての”有名作品”以外は読み飛ばしているという読者が”大多数”だ。
彼女がどの程度までジャンプを読んでいるのか分からない以上、
重箱の隅をつつくような”ディープ”な話題に興味を示さない可能性は高い。
もし自分だけが盛り上がって話を続けてしまえば、
最終的に彼女の”鼻につく”ことになるのは目に見えている。
それだけは、絶対に避けたかった。
円奈真奈子聖とは、彼にとってこの先”日常”となる存在・・・
彼女の逆鱗に触れることなく、”円満な関係”を築いていくべきだ。
まず第一歩として、このランチタイムを、
自分に対する”好感度”を下げることなく乗り切れるのだろうか・・・
そんな”気掛かり”にばかり憑りつかれていた。
しかし、その”懸念”は”杞憂”に終わる。
真奈子さんもまた、襟人のように毎週全ページに目を通している熱心な読者だったのだ。
グラタンを食べ終える頃には、
二人の会話は途切れることなく弾み、
最初に感じていたぎこちなさは、跡形もなく消えていた。
「トピックが”マニアック”すぎると、”盛り下がる”かもって思うけど、
「好きなもの」を「好き」だって言って、何が悪いの?
僕は、この想いに”蓋”をひたくない。
だって”考え”を”共有”するために、誰かと話すわけぎゃない?
相手の分からないことなら、全部説明ひてあげる。
興味を持ってくれなくても、好みなんて人それぞれ、別にいいって”マインド”。
でも、”盛り上がる”のが本音では”ベスト”だから、えぎ人君と話せて良かったわ」
「それは、私の台詞です。
円奈隊長は、”国会図書館”にまで赴くほどの”行動力”で、
私が存在しか知らなかった”古の絶版作品・未単行本化作品”まで、
実際に読み込んでいらっしゃる。
ですから、お話が興味深くて、たまりません」
店内の柔らかな空気がさらにほどけていく。
真奈子さんの口調も、いつの間にか敬語が砕け、
襟人に対して”打ち解けたもの”へと変わっていた。
グラタン一皿で満腹になるほど”小食”な襟人と、
グラタンに飽き足らず、”オムレツ”や”ラタトゥイユ”といったサイドメニューを、
二皿、三皿と重ねるほど”健啖家”な真奈子さん。
彼女は自分を類を見ない”甘党”だと豪語し、
「スイーツは別腹」と”パフェ”まで頬張っている。
その食欲も性格も”対照的”な二人だったが、
いつの間にか、すっかり”気の置けない仲”になっていた。
「襟人のジャンプトーク・アベック真奈子さん」はまだまだ続く・・・
襟人は”感無量”だった。
ジャンプへの”愛情”は、”サン・マロ湾”よりも深く、”ピレネー山脈”よりも高い。
その想いを、誰かと分かち合いたい。
たとえば、”ヒット作”から”打ち切り漫画”にまで広く及ぶ、
自分の”お気に入り漫画”について”長広舌”を振るい、
自分の目の前にいる誰かと議論することができたなら──
その”本懐を遂げた”わけだ。
彼は、自分のことを受け止め、元気よく引っ張ってくれる真奈子さんを前にして、
これからの人生は悪くないかもしれない──
そんな展望を抱けるようになっていた。
――それから1年と少しが過ぎた後も変わらず風は吹いていた。
草木のこすれる音が、広々とした丘陵地に、ささやくように響く。
そこは人知れず、”殉職”した発見者たちが眠る特別な墓所だった。
整然と整えられた風景は、しかしどこか現実のそれとは異なり、
異様なまでの静謐さを湛えている。
真奈子さんはその最奥、一本の痩せた桜の木の根元に立つ小さな墓の前に佇んでいた。
飾り気のない白い石の板には、手彫りで襟人の名が刻まれている。
真奈子さんは墓石に向かって、優しく語りかけた。
「貴方はデクーヴゥールとして、
その”僅かな稼働期間”で見事に”ブレイクスルー”を起こしてみせた。
なかでも”最大の功績”は、「無限増殖バグ」の発見よね。
最初に貴方の報告を受けた時、
僕はてっきり『Minecraft』か『どうぶつの森』の話かと思ったわ。
あれで全世界の”資源問題”に”ピリオド”を打ち、
人類の文明を塗り替えた”偉人”たきの”仲間入り”よ。
あの時、瓶の中に迎え入れるつもりでいた子が、
まさか”アルキザン”としてこの分野の”泰斗”になるだなんて・・・
まさに、ラジオネーム・うなぎポテトの由来だと思われる
「山の芋鰻になる」ということわざのとおりね。
まあ、僕にとっての「ベストバグ」は「発音をあらかた治してくれたこと」よ。
「オートクキュール」は未だに僕の”天敵”で、襟人君は満足いってなかったようだけれど、
「週刊少年ジャンプ」をきゃんと言えるようになったから、”十二分”だわ」
そう笑い、真奈子さんはお供え物の”シブースト”を墓前に置いた。
甘いものが好きな彼女らしいチョイスだ。
彼女はふと、隣在する岩山へと視線を向ける。
そこには「火影岩」のごとく刻まれた襟人の”胸像”があり、
彼がこの世界にどのように位置づけられているのかを雄弁に物語っていた。
「・・・だけれど、あの日からすべてがうまくいったわけじゃない。
貴方は、「僕にはもう時間がない」と言わんばかりに生き急いでいた。
何度も”無きゃ”に挑んで、”失敗”に終わって、
”大怪我”で骨も内臓も”ズタズタ”になって・・・
最終的に、体じゅうを管に繋がれたまま”寝たきり”となってしまった貴方の姿は、
あまりにもいたたまれなかった・・・」
真奈子さんの脳裏には、19歳という若さで人生の幕を下ろした襟人の、
痛ましい”晩年の日々”が、今なお色濃く残っていた。
「でも、僕は貴方のことを”不幸”だとは思わない。
だって、”横難横死”を遂げるなんて、普通に生きていても起こりうることだもの。
これまで何人もの人間が、
事故や病気、事件、災害、そして戦争によって、”凄惨な終焉”を迎えてきた。
「一寸先は闇」──、
そんな世界の中で、僕がもっとも大事にしているのは、
「今ここで死んでもいい」と思えるような、”人生の足跡”を創ること。
”死にゆく人間”を救ってくれるのは、”神”なんかじゃない。
”メモリー”よ。
貴方も、そう思っていたんでしょう?
”旅立きの時”の、その顔を見れば分かるわ」
真奈子さんは、”晴れやかな表情”で、”雲ひとつない青空”を見上げた。
「僕は、そんな貴方のことを”尊敬”しています。
”人生最後の瞬間”に、貴方と”同じ表情”でいられるように、
僕も”前後際断”、この時間を”大切”に生きていく所存です。
”また会える日”が、いつになるのかは分かりませんが、
それまで、どうか安らかにお眠りください」
彼女はベレー帽を取り、深々と頭を下げた。
「誰が眠るんですか、円奈隊長」
静寂を裂くように、背後から声が響いた。
真奈子さんが振り返ると、そこにいたのは――
発見者として腕を鳴らしていた”全盛期”の姿と、寸分違わぬ姿の襟人だった。
彼は”二本の脚”でしっかりと地面を踏みしめ、”丈夫な肉体”をすっかり取り戻している。
「おっ、「差し入れ」ですか。
ありがとうございます。後で一緒に食べましょう」
彼は、シブーストの入った紙箱を手に取る。
「襟人君・・・!?襟人君なの!?」
「ええ。”週刊少年ジャンプ”と”イオン”を愛する貴方の「盟友」です。
只今、戻ってまいりました」
真奈子さんは襟人を見るやいなや、抱きついた。
彼女の目からは、抑えきれない”嬉し涙”が溢れていた。
「・・・でも、いったいどうして!?」
「答えは簡単です。
バグを見つける過程で、たしかに私は、身体に幾度となく”治癒不可能の損傷”を負いました。
ですが、それらもすべて・・・
「自分が死んだ時に蘇るバグ」を発動させるための、”プロセス”だったんですよ」
「なんですって!?」
愕然とする真奈子さんを前に、毅然としている襟人。
やはり彼の人生に、”失敗”という言葉は”存在しなかった”。
「円奈隊長、この後お時間はありますか?」
「大丈夫よ。僕は相変わらず「社内ニート」。貴方のお墓にも、毎日通ってたくらいだから」
「貴方に、私からの「プレゼント」として、ぜひとも”使ってもらいたいバグ”があるんです」
「え、なに?それは、どんなものなの?」
「「マンション12階分の高さから、二人同時に、
プロヴァンスと叫んで飛び降りるバグ」です。
一見すると、ただ寸前にいた座標へワープするだけなんですが・・・
時が経つと、やがて”とんでもない効果”が現れるんです」
「いったい、何が起こるというの?」
「それは・・・「内緒」です」
襟人は、珍しく悪戯っぽく口角を上げた。
「何よ・・・気になるじゃない。
まあ、いいわ。僕は貴方のことを”信頼”しているもの。
少なくとも”悪いようにはならない”ってのは分かるわ。
「あとのお楽しみ」にしておいてあげる」
「ありがとうございます!」
「場所は例の廃墟でいい?
きょうどいいし、せっかくなので、僕たきの”再会”を”出会いのき”で記念しましょう」
「はい!」
「それじゃあ、行くわよ」
弾んだ足取りで、二人は並んで歩き出す。
こうして襟人の「デクーヴゥール」としての人生は、まだまだ続いていくのだった。
光陰矢の如し、襟人の”復活”から20年の時が流れた。
あの時、彼が詳しく語らなかったバグの実態を、
真奈子さんは今や自らの身体をもって理解している。
現在、襟人は”アラフォー”。
真奈子さんに至っては”アラフィフ”。
──それでも二人は、あの日から一秒たりとも”年を取っていなかった”。
あのバグの正体は、
「マンション12階分の高さから、二人同時に、
プロヴァンスと叫んで飛び降りると、不老になるバグ」
だったのだ。
真奈子さんの”夢”は襟人にによって、ひとつ無事に叶えられたわけだ。
しかし、現在はその喜びに浸っている場合ではなかった。
二人にとって”未曾有の危機”が、すぐそこまで迫っていたのだ。
舞台は、またしても二人にとっての”出会いの地”。
「”お子ちゃまマリー”、円奈真奈子!!!貴様は”死ぬべき蛇蝎”だ!!!」
怒声と同時に、身長2メートル近い強面の大男が拳を振り抜く。
真奈子さんの腹部に重い一撃が叩き込まれた。
「グファッ・・・!!!」
通常の人間なら、そのまま崩れ落ちていてもおかしくない。
だが彼女は、数歩よろめいただけで踏みとどまる。
「・・・や、やったわね・・・」
低く呟いた次の瞬間、真奈子さんは柳眉を逆立てて叫んだ。
「僕が”妊婦”だったら、”流産”してたところよ!!!」
怒りを力に変えたかのように、
彼女は一気に間合いへ踏み込み、大男の体を引き寄せる。
――「柔よく剛を制す」、”背負い投げ”。
ドンッ!!!
鈍い衝撃音とともに、
小柄な体から放たれた巨体が、背中から地面へと叩きつけられた。
彼女は”フィジカル”においても、”スタイル”と同様に一切の”劣化”が”見られない”。
「アア・・・」
「貴方が”妊婦”だったら、”流産”してたわね!!!」
悶絶する大男を見下ろし、真奈子さんは吐き捨てるように言った。
「お返しはこれくらいで勘弁しておいてあげる!!!」
そう言い残し、彼女は急いで階段を駆け上がる。
「大丈夫ですか!?円奈隊長!?」
先を進んでいた襟人が、振り返って叫ぶ。
「ええ、大丈夫よ。きょっと「ナンパ」されてただけ」
腹部を軽く押さえながらも、彼女は不敵に笑った。
「あらかじめ、お腹にジャンプを入れておいたので、
”ダメージ”が”軽減”されたわ・・・
やっぱり、この雑誌は”偉大”ね。
”月曜日の憂鬱”以外からも僕のことを守ってくれるだなんて・・・」
彼女は取り出した「分厚い装甲」に”感謝の頬ずり”をする。
それからまもなく、襟人と真奈子さんは、屋上へと辿り着いた。
眼下を覗き込むと、
建物の周囲はすでに”武装した集団”によって完全に包囲されていた。
もう、逃げ場がない・・・
彼らがここまで辿り着くのも、もはや”時間の問題”だろう・・・
「このままでは間違いなく、
私たちは捕らえられ、”拷問”の末に殺されてしまうでしょう・・・」
「そうね・・・僕に関しては、それに”輪姦”も追加されきゃうわ」
「なんて仕打ちだ・・・
私が望むのは”権力・財産”のような大それたものでなく、”安常処順”だけ。
なぜそれを手にすることが許されないというのでしょうか・・・
”吉良吉影”みたく、”気色悪い人殺し”もしていないというのに・・・」
二人に”尋常ではない敵意”を向ける者たち――
それは、他ならぬ二人が所属していた「機関」の構成員たちだった。
事の発端は、襟人が真奈子さんの命を救った、あのバグにある。
「死体を抱えてマンション12階分の高さからアンコールと叫んで飛び降りると、
その死体が生き返るというバグ」。
第三者たちによる”徹底した検証”の結果、
このバグは「24時間に1回」のペースで使用可能であることが判明した。
つまり――
「条件さえ守れば、何度死んでも死にはしない」。
”上層部”はその事実を”好都合”と捉えた。
さらなるバグを求めて、発見者たちに”危険な行為”を強要し続けたのだ。
やがて、それは「一日一死」という”業務ノルマ”として制度化される。
彼ら・・・、もとい、「奴隷」の多くは、
借金、犯罪、家族――
”それぞれの事情”から「主人」に逆らうことができなかった。
だが、”恐怖”と”犠牲”と”理不尽”が積もりに積もり、
ついに”不満”は閾値を越えた。
結果として、「機関」は現在、完全な”内乱状態”に陥っていたのだ。
「まさか、あのバグがあんな使い方をされてしまうとは・・・
そして、そのバグを見つけ出した私たちにまで、怒りの矛先が向けられるとは・・・」
襟人は唇を噛みしめ、言葉を継ぐ。
「”社会を構成する歯車”とは、
つくづく私の予想の”斜め下”をいく行動を取り続ける生物ですね・・・」
「そうね・・・」
真奈子さんは、眼下に蠢く影の群れから視線を逸らさずに応じる。
「襟人君のバグによって、
理論上は誰も”餓死”することなんてなくなったというのに・・・
それでも、このき球上から”争い”は”消えてくれない”」
彼女は小さく息を吐いた。
「どうにもできないことって、やっぱりあるのね・・・」
その言葉に、襟人は肩を落とす。
「この万事休すという状況を打破できない、
自分の”実力不足”が――”恨めしい”です。
”無念”だ・・・
「不死」の”片翼”は欠けたまま、
世の女性たちは”出産”を迫られ、
イオンは『ドラえもんのえほうまき』を”再販売”していない・・・
何ひとつ、成し遂げることができませんでした・・・
私は”円奈隊長の願い”を、この手で叶えて、
貴方が心から”安堵”し、”喜ぶ顔”を見たかったというのに・・・」
彼は拳を握りしめたまま、ゆっくりと真奈子さんに向き直った。
「今の私に”奇跡”は”起こせません”・・・
申し訳ございません・・・」
襟人は、悔しさを噛み殺すように、深く頭を下げた。
「謝ることはないわ。
貴方は今まで、僕のことを何度も”笑顔”にしてきたじゃない。
中でも、いきばん嬉しかったのは――
死んだはずだった貴方が、僕の元へ帰ってきてくれたこと。
それから結局20年もの間、換算して7000日以上、貴方と僕は「ソウルフレンド」でいられた。
これだけでも、”本来の摂理”から考えれば、”絶対にあり得ないこと”。
これ以上は・・・、もう”欲張り”だと思う。
僕は「奇跡をタカる真似」なんてしないわ」
「円奈隊長・・・」
「僕はね、今の状況を、受け入れようとしているの。
”不幸”とは、”生命”と密接に結びついて”存在し続けるもの”。
誰かが、引き受けなくてはならない。
その”役割”が、たまたま僕たきに回ってきただけよ。
貴方はそんな”世界の法則”を”全部壊してやろう”と、身を粉にしてきたから、
きっと、”悔しく思ってる”んでしょうけど――
”努力”は、”必ずしも報われない”。
僕だって、”悲しい”。
でも、”仕方ないこと”なの。
ただね、”頑張ったこと”は、
貴方が以前”持っていなかったもの”を、きゃんと与えてくれている。
たとえ”徒花”に終わったとしても、花びらは一度、確かに咲き誇っていたの。
「終わり良ければ総て良し」を”裏”にしてみて、
「終わり悪ければ総て悪し」だなんて、
つい考えてしまうけれど――
本当に、そうかしら?
こんな状況だからこそ、
”結末”から目を逸らして、”過程”に手を触れる時間にしましょう。
・・・どう?」
「・・・”滅茶苦茶楽しかった”です。
振り返ってみれば、
円奈隊長と昼下がりの休憩時間に庭でテーブルを囲んで、
”サティ”の『ジムノペディ』を流し、
”クロワッサン”を口にして、”ディアボロ”を飲みながら、
ジャンプや、他の四方山話について語らう――
そんな”素敵な日々”に”居心地の良さ”を感じていました」
襟人は、静かに涙を流す。
「・・・そうよ。”素晴らしい人生”だったわよね。
結果的に、僕たきはこの瞬間のために、ずっと”準備”してきたの」
真奈子さんは、微笑んだ。
「それじゃあ、名残惜しいけれど――
僕たきの”尊厳”を守るために「バイバイ」、しましょう」
彼女は眼前に広がるパノラマを目に焼き付け、右手を振った。
ちなみに、彼女が責任をもって保管していた”瓶詰め”の人間たちは、
「お先に失礼します」と全員が”同意の上”、
容器ごと”テルミット溶融炉”に放り込まれ「処理済」である。
「円奈隊長、”最期”に、あるバグを試してもいいですか」
パラペットに登り、襟人は隣に立つ真奈子さんに声をかける。
「どんなバグ?」
「分からないから、試したいんです。
「マンション12階分の高さから、ある言葉を叫んで飛び降りるバグ」なのですが、
その言葉を言おうとした瞬間、声帯に”負担”がかかり、
誰も”発動に成功したことがない”んです」
「なにそれ。
『呪術廻戦』の「呪言」みたいじゃない」
「まさに、その通りです。
もしかしたら”絶大な効果”があるのかもしれません。
私は全身全霊を懸けて、その言葉を言い切ってみたいんです。
このための対策として、”はちみつ湯”を用意しています。
はちみつには保湿作用と殺菌作用があり、さらにお湯の温かさも保湿を助けることで、
喉の粘膜を保護し、炎症や痛みを緩和できますからね」
「なるほど・・・
たしかに、”心残り”があるのは嫌な話よね。
分かったわ。”上官”として許可する。
ひょっとしたら、そのバグのお蔭で僕たきも”助かる”かもしれないし」
「ありがとうございます!」
襟人は、イオンで買ったばかりの真新しい”魔法瓶の水筒”のキャップを開け、
中身を一息に飲み干した。
「よしっ!
「せーの!!!」で「ジャンプ」するわよ!
”ジャンプ読者”に相応しい、”打き切りエンド”を見せてやりましょう。
円奈隊の来世にご期待ください!!!」
「ハハハ、”ダジャレ”じゃないですか。
円奈隊長、今までありがとうございました!!!」
「こきらこそよ、襟人君!!!
せーの!!!」
二人は、大空へと飛び立った。
地面がみるみる近づいていくなか、
襟人は口から血を吐き、声がかすれながらも「遺言」を残す。
「”サボタージュ”・・・!」
――その瞬間、”異変”は訪れる。
彼が知らずに使ったのは、
「マンション12階分の高さから、サボタージュと叫んで飛び降りると、
宇宙に存在する全ての動体が静止するバグ」であった。
このバグの”解除方法”は、”存在しない”。
――1968年7月11日、当初は月2回刊として創刊されて以来、
「面白さとは何か?」を探求し続けてきた週刊少年漫画雑誌。
後発の立場ゆえ、著名な作家に仕事を依頼できなかったという”ハンデ”を逆手に取り、
”専属契約”で若い有望株を青田買いし、生え抜きを育て上げる「純血主義」。
ベテランか新人かを問わず、シビアな”実力勝負”で競わせ、
掲載漫画の連載継続を編集長でなく、読者からの”人気投票に”委ねる「アンケート至上主義」。
この二つの軸を”指針”として独自に確立し、
打ち立てた「最高発行部数653万部」の”金字塔”──
「日本一」の看板を掲げ、業界を牽引するまでに成長。
『ドラゴンボール』、『ONE PIECE』、『NARUTO -ナルト-』、『鬼滅の刃』といった
”社会現象レベル”の”メガヒット作品”を数多く輩出してきた。
綺羅、星の如く並ぶそれぞれの主人公――
孫悟空、モンキー・D・ルフィ、うずまきナルト、竈門炭治郎は、
誰しもが一度はその顔を目にしたことのある”国際的スター”だろう。
人々は、これからも彼らに比肩する「時代の覇者」が、新たに生まれると信じて疑わなかった。
その矢先での”悲劇”──
本日をもって、”週刊少年ジャンプ”、
――「廃刊」、である・・・
かつて自らを「時間の止まった存在」だと考えていた男は、
一人の”ファム・ファタール”との出会いによって、
ついには世界そのものの「時間を止める魔王」と成り果ててしまった。
だがしかし、彼は同時に”新たな世界”をも生み出していた。
その”トリガー”となったのは、彼が江戸時代へ足を踏み入れたこと。
「タイムスリップが実現し、誰かが過去を改変したとしても、
もとの世界は変化せず、新たなパラレルワールドが誕生する」
という理論は”真”だったのだ。
突如現れた「オーパーツ」の影響によって「時計の針は進められ」、
”バグ史”は”本来とは異なる道筋”を辿り、”目覚ましい発展”を遂げることになる。
だが、そこには――”変わらないもの”もあった。
「そこの”ミスター”!!!待きなさいッ!!!」
「誰・・・です?」
「──貴方には、”役目”がある。この世界から消えるのは、まだ許されていない・・・」
”見覚えのある男女二人”によって繰り広げられるのは”聞き覚えのある会話劇”。
「僕は貴方に、「生きろ」とは言いません──
だけど、どうせひぬなら、”ディスカヴァラー”になってからひになさい!!!」
「「ディスカヴァラー」・・・?」
細かな”相違点”はある。現在、彼らの立っている屋上も”12階”ではなく”13階”だ。
「それはもしかして、”蟹漁業”や”鉱業”といった
”強制労働”を私に行わせるつもりですか?
ある”資源”を入手する過程で、”何らかの危害”が及ぶ可能性がある場合に、
その”リスク”を、私のような”死に場所を求める人間”に負わせる──
それが、”貴方の目的”なのですか?」
「すごいですね・・・僕、まだ何も言ってないのに・・・”良い線”ですよ」
「ディスカヴァラーについて、ご教授ください」
「喜んで!僕はデクーヴゥールのメンバーですから!」
男の髪型は”ビートルズリスペクト”の”マッシュルームヘア”に、
女の帽子も”ベアスキン”へと変わっていた。
それでもなお、二人は紛れもなく、その世界の襟人と真奈子さんだった。
当然、二人の話題のタネになる週刊少年ジャンプも
日本全国のコンビニエンスストアや書店にて「お求め可能」。
”大まかな史実”に”差異はない”ので、
残念ながら、イオン名物『ドラえもんのえほうまき』は「年表の一コマ」だ。
「「ディスカヴァラー」とは何なのか?──これはまず、見たほうが早いです」
「貴方・・・何をしようというんですか!!!」
「おお・・・高いわね。
でもまあ、”ビッグ・ベン”や”タワーブギッジ”よか低い、と考えれば怖さも薄れるわ」
真奈子さんはやはり、”知られざる世界”へと襟人の手を引こうとしている。
「”スコーン”!!!」
「逝ってしまった・・・
あの人は”精神疾患”を患っていて、
私に対して”意味深長”なことを言っていたのも、
単なる”妄想”だったのですかね・・・?」
パラペットから身を投げる真奈子さんと慌てて地面を覗き込む襟人──。
”運命”は既に”定められている”というのか・・・
”筋書き”は”ほとんど同じ”だった。
「・・・いない」
襟人は、”既定路線”へと向かっていく。
「まさか・・・跡形もなく消えた・・・?」
「僕はここです!!!」
「どういうことですか・・・!?」
「──これは、”バグ”です。
「マンヒョンびゅう3階分の高さから、スコーンと叫んで飛び降ぎると、
寸前にいた座標にワープするというバグ」」
「「マンション13階分の高さから、スコーンと叫んで飛び降りると、
寸前にいた座標にワープするというバグ」!?」
──ここでも襟人は、世界を揺るがす”強大な力”を手に入れることとなった。
「グラタン」と叫んで飛び降りワープする場合だと、
彼は世界を”うっかり滅亡”へと追いやってしまったが、
「スコーン」と叫んで飛び降りワープする場合だと、
彼は世界を”より良い方向”へと導けるのだろうか・・・
いや、もうええわ。どうもありがとうございました。




