第3話 奔波
夜の街を、黒い影が奔る。
リムの光が跳ね、青と金で波紋を描き、潜影の輪郭を浮かび上がらせる。
『……みなと……来る……!』
「準備はいいか?」
俺はリムを手に抱え、ユウキとレナと共に潜影の進行方向へ踏み出す。
潜影は奔波のように街を揺らし、微細な力で三人の周囲をかき乱す。
『……ぼくたち、負けない……!』
リムの光が炸裂し、奔波の圧力を押し返す。
「ユウキ、波紋の動きに合わせろ!」
「了解! レナ、指示を!」
手帳に書かれた戦術に従い、三人の動きが完全に同期する。
リムの光が奔波を制御し、俺とユウキが隙間を突いて干渉する。
潜影は静かに反応し、奔波を巻き起こして三人の前に立ちはだかる。
直接的な攻撃はなく、観察するかのような動きだが、その力は確実に街に圧力を与える。
三人は距離を保ちながら、潜影の性質を解析し、次の行動を模索する。
――奔波。
街を駆ける黒い影は、静かでありながら圧力を持つ脅威だった。
三人は初めてその力と干渉し、街と人々を守るための戦術を練る。
夕陽に染まる街に、青と金の光が黒い影と交錯する。
初めての接触は、戦闘の序章として、次の本格的対決への布石となった。




