第2話 潜影
夕暮れの街に、微かに揺れる黒い影が現れる。
リムの光が反応し、青と金で街の空気を跳ね返す。
『……みなと……あの影……いる……!』
「わかってる、油断はできない」
俺はリムを手に抱え、ユウキとレナと共に影の方向へ進む。
影は静かに街を徘徊し、目には見えない波紋を生む。
――潜影。
暗潮の正体は、この影だった。
その存在は街に微細な変化をもたらし、三人の感覚を試す。
「リム、影の動きを追え!」
『……うん……危ないけど……』
光を跳ねさせるリムが、潜影の輪郭を可視化し、街の異変を示す。
ユウキが解析し、俺とレナに指示を出す。
「波紋の変化が不規則だ……直接干渉する力がある」
レナも手帳に書き込み、三人の連携を整理する。
『……ぼくたち、守る……!』
リムの光が微かに強まり、街の空気に安定をもたらす。
潜影は奔らず、観察するかのように揺れ動く。
しかし、その目に見えない力は、確実に街の秩序を乱していた。
三人は初めて潜影と接触し、その性質を把握する必要に迫られる。
街の灯りが夕陽に染まる中、青と金の光が黒い影と交錯する。
潜影――静かに、しかし確実に三人の前に立ちはだかる存在だった。




