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第11話 潜影

夜の街に、微かに不穏な影が落ちる。

街灯に映る影は長く、波紋のように揺れている。

リムの光が小さく反応し、青と金の光を跳ねさせる。


『……みなと……あの影……』

「わかってる。近づくぞ」

俺はリムを手に抱え、ユウキとレナと共に影の方向へ進む。


影は廃ビルの屋上に浮かび、静かに街を見下ろしていた。

――潜影。

蒼色の渦とは異なり、意思を持った黒い影のような存在だ。

その気配は冷たく、街の感情に微かな違和感を残す。


「リム、観察してくれ」

『……うん……感じる……危ないけど……不思議……』

光を跳ねさせるリムの視線で、影の動きが少しずつ可視化される。


ユウキが冷静に解析を始める。

「渦点の影響とは違う力だ……蒼色の余波に反応して動いているようだ」

レナも手帳に記録し、三人の戦術を整理する。


影が静かに近づく――

しかし、直接的な攻撃はなく、まるで観察するかのように立ち止まる。

『……ぼくたち、逃げない……!』

リムの光が跳ね、影との初接触の緊張感を高める。


三人は距離を保ちつつ、影の動きを追い、情報を収集する。

潜影――静かに潜む脅威は、次の大事件への前触れでしかない。


夜風に揺れる街灯の下、三人の光と影が交錯する。

街の平穏はまだ続くが、潜影の存在は、新たな戦いの始まりを告げていた。


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