第9話 深淵
廃工場の屋上に立つ三人。
蒼色の渦が激しく回り、光と水滴が空気を震わせる。
リムの光が青と金に輝き、渦の奥へ導くように揺れる。
『……みなと……あそこ……深い……』
「わかってる。行くぞ!」
リムを手に抱き、俺はユウキとレナと共に渦の中心に進む。
渦点の奥――そこには、意思を持った蒼色の存在が見えた。
冷たく、深い青の瞳のような輝きが三人を見つめる。
『……これが……核心……!』
リムの光が微かに震え、青と金が渦の中で交錯する。
「これが……街を侵食していた力の正体か」
レナが手帳に書き込みながら頷く。
ユウキも静かに解析を始め、渦の動きと意思を読み取る。
渦の核心から奔流のような力が押し寄せ、三人を包む。
『……でも、負けない……!』
リムの光が炸裂し、奔流を押し返す。
俺も拳を握り、全力で渦の隙間を突く。
ユウキが渦の動きを読み、攻撃のタイミングを指示する。
三人の連携が完全に噛み合い、渦の奔流が徐々に収束する。
封じられた人々の声が解放され、街に温もりが戻る。
――深淵。
蒼色の核心に潜む存在は、人々の感情と記憶を守るため、三人の力を試していたのかもしれない。
光と蒼色の渦が交わる瞬間、三人の絆はさらに深まり、街を守る力を確信する。
そして、蒼色現象の核心は制御可能であることが示され、次の段階への希望が生まれた。




