第8話 奔流
廃工場の屋上に渦巻く蒼色の光。
水滴が空中に浮かび、街の感情を飲み込むように跳ねる。
リムの光が青と金に輝き、渦の奔流に抗う。
『……みなと、これ……強い……でも、守る……!』
「わかってる、全力だ!」
俺はリムを手に乗せ、ユウキとレナと共に渦点へ向かう。
渦点は意思を持ち、三人の光に応戦するかのように波紋を広げる。
奔流のように押し寄せる蒼色の波が、街の感情を乱し、空間を揺らす。
『……ぼくたち……負けない……!』
リムの光が炸裂し、奔流を押し返す。
「ユウキ、タイミングは?」
「今だ! レナ、指示を!」
手帳を握るレナの声に合わせ、三人の連携が完全に噛み合う。
リムの光と俺の力、ユウキの分析が渦点を包み込み、奔流を制御する。
渦点から強烈な水の衝撃が放たれ、三人を押し返す。
しかし、リムの光が奔流の一部を押し返し、隙間を作る。
『……これなら……!』
俺とユウキが連携してその隙間に攻撃を仕掛け、渦点に直接干渉する。
奔流が裂け、渦点の中心から封じられた感情の声が一気に解放される。
街の灯りに蒼色の波が消え、微かに温もりが戻る。
――奔流。
蒼色の現象は、強大な力を持つ奔流として街を襲っていた。
三人の力で初めて制御し、街を守ることに成功した瞬間だ。
しかし、渦点の奥にはまだ、意思を持つ蒼色の存在の核心が潜んでいる。
――次の一手が、この街の未来を左右する。




