第7話 渦点
廃工場の屋上。
蒼色の光が渦を巻き、微かに人々の声を吸い込む。
リムの掌で光が揺れ、青と金が交錯して渦の動きを可視化する。
『……みなと、ここだ……渦の中心……!』
「わかった、行くぞ!」
俺はリムを手に乗せ、ユウキとレナと共に渦の中心へ進む。
蒼雫の核――渦点が屋上に浮かび、青い波紋が周囲に広がる。
水滴は意思を持つかのように跳ね、人々の感情を揺さぶる。
『……ぼくたち、負けない……!』
リムの光が強く膨らみ、渦の蒼色を押し返す。
「タイミングを合わせろ!」
ユウキが冷静に指示を出し、レナが手帳に戦術を書き込みながら解析する。
三人の連携が噛み合い、蒼色の渦は微かに乱れる。
渦点から、強い流れが放たれ、三人に圧力をかける。
俺は拳を握り、光の力で押し返す。
リムは全力で光を放ち、渦点の周囲の蒼色を制御する。
ユウキは渦の動きを読み、隙を突くタイミングを指示。
『……これなら……!』
三人の光が渦点に集中し、蒼色の波紋が裂け、微かな声が解放される。
渦の中心から漏れる声は、封じられた人々の感情の残滓だった。
――渦点。
蒼色の現象の核は意思を持ち、街を侵食していた。
初めて三人が力を合わせ、直接的に干渉できた瞬間だ。
しかし、渦の奥には、まだ未知の脅威が潜んでいる――
雨に濡れた夜空に揺れる蒼色の光。
三人は渦点を制御しつつ、次の戦術を練る。
街を守るための本格的な戦いは、ここから本番となる。




